日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
今日のテーマは、菜の花です。

本来の美味しい時季よりも少しだけフライングですが、菜の花について書いていきます。どうぞお付き合いください。
Contents
■ひと足早く春を見つけました
先日、いつもの直売所へ野菜の仕入れに行きました。
クリスマス前ということもあり、ミックスリーフやトマト、キュウリといった野菜がいつもより並んでいました。海老芋など、お節料理やお雑煮向きの野菜もちらほら。
トマトやキュウリは旬とは違うものの、行事観点からいえば立派に「今のもの」。
野菜売り場で季節を感じながら、店内をウロウロ…。
そして、見つけたのが「菜の花」です。
いつもよりちょっと早いかな、と思いつつお買い上げ。ウキウキしながら帰りました。
■菜の花ってどんな野菜?
そもそも菜の花ってどんな野菜でしょうか。

関東出身のわたしは、「菜の花」と呼びますが、関西の方は「菜花(なばな)」と呼ぶことが多い野菜です。
原産は地中海沿岸や中央アジアだと言われています。
もともと菜の花は、「菜種油」と呼ばれる植物油をとるために栽培されていました。それが、油だけでなく食用として用いられるようになった、と言われています。
実は、菜種油用として栽培されていたのは、特定の植物ではありません。
アブラナ科の野菜…ブロッコリーやキャベツ、カリフラワー、カブなど…をざっくりまとめて「菜の花(菜花)」と呼んでいます。
どれも同じような黄色い花を咲かせます。野菜や果物はこの「〇〇科」というのが結構ポイントです。栽培もそうですが、食べ方も同じ科に属する野菜や果物は同じようにできることが多く、料理のヒントが隠されていることが多いのです。
さらに余談ですが、アブラナ科の野菜である大根だけはあの黄色の花を咲かせません。白い花を咲かせます。不思議ですね。
ざっくりまとめられているくらいですから、菜の花は細かく言うと品種がとても多いです。菜の花(菜花)として販売されているもの以外にも、「のらぼうな」「アスパラ菜(オータムポエム)」「菜心(さいしん)」「紅菜苔(こうさいたい)」といったものがあります。
さらに、地域によって「博多アスパラ菜」といった呼び方をしてさらに細分化されています。
細々ありますが、ここではざっくりまとめて「菜の花」として書いていくので、ご了承くださいね。
それぞれ少しずつ味わいは違いますが、共通しているのが苦味です。この苦味こそ、菜の花の魅力なんです。そして、菜の花の旬とも深い繋がりがあるんですよ。
■菜の花の旬はいつ?

菜の花の旬は12月の終わりごろから3月いっぱいくらい。
4月にも出回ることは出回りますが、菜の花よりアスパラ菜のようなお仲間が出回ります。
つまり、寒い時期が終わりに向かい、少しずつ春めいてくるころです。
この冬から春に向かう時季は、「血の騒ぐ時季」と表現することもあるほど、多くの人の身体に変化が訪れるときです。
薬膳の考え方で言えば、血の流れも実際に騒いで(スムーズでなくなって)のぼせやすくなります。しかも血液が上半身に滞りやすいと言われています。
菜の花でケアできることもあるので、ぜひ対応してください。
次に実際に菜の花がどうして身体にプラスなのかを考えていきます。
■ゆるベジらく膳的 菜の花論
◇薬膳ベースで考える菜の花
菜の花は薬膳で分類すると「温・苦辛」。
温には、身体を温める働きがあります。
また、全身の気や血のめぐりを司る「肝」にはたらきかけ、気や血のめぐりをスムーズにしてくれます。とくに生理不順などに悩んでいる方におすすめです。

また、血行がよくなることで、肌にもプラス。とくに吹き出物に悩んでいる方は、菜の花を召し上がってほしいと思います。さらに、血行がよくなることで冷えにもプラスです。
また、先ほど触れた苦味もポイント。
苦味は身体の中の余分な熱を取り除く性質があるので、血が騒いでのぼせ気味の方にはぴったりです。さらに、精神を安定させる力もあります。
冬の終わりから春にかけて、受験、進学、進級、就職と人生の節目を迎える方には「落ち着き」や「リラックス」「イライラ緩和」といったプラス面を取り入れることもおすすめです。
◇現代栄養学ベースで考える菜の花
現代栄養学の観点からいっても、菜の花はとても魅力的。
まず、緑黄色野菜に分類される菜の花はβカロテンがとても豊富。ほかにはビタミンB1やB2、ビタミンC、カルシウム、葉酸、鉄などをたくさん含んでいます。
とくにビタミンCは野菜類のなかで抜群の含有量です。
ビタミンCは、風邪の予防にも効果がありますよ。
葉酸は妊婦さんに嬉しい栄養素です。さらに、カルシウムも含まれています。
■美味しい菜の花の見分け方

菜の花は、花の蕾部分も一緒に販売されていることが多いです。
実際に手にとって選ぶ際には、蕾が開いていないものを選びましょう。
花が咲くと、植物のエネルギーはそちらに注がれてしまいます。すると、どうしても菜の花の野菜としての味は落ちてしまいます。
葉物ですから、当然ですが全体にみずみずしく、シャキッとしているものがおすすめです。
そして、できるだけ緑色が鮮やかなものがおいしいです。
購入してきたら数日のうちに召し上がるのも、ポイントです。葉野菜である菜の花は、あまり日持ちがよい野菜ではありません。冷蔵庫の野菜室で保管して、早めに食べましょう。
ちょっとフライング気味ですが、菜の花を見かけたら春を感じつつぜひ召し上がってくださいね。