日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
「なのり」って、ご存知ですか?
静岡県の伊豆では家庭でよく食べられている海藻の一種です。
今日はこの「なのり」から、「のり」全般について書いていきます。
◾️「なのり」は不思議で美味しい海藻です
実は、私のなのりデビューはここ数年。冒頭に書いたように静岡県伊豆近辺ではポピュラーですが、わたしは当地とはほぼ縁がなかったからです。
しかし、夫の母は伊豆出身。母にとっては、子供の頃から食べ慣れた味。スーパーを覗けば、大きな袋に入ったなのりが売り場の一角に鎮座しています。
今でも帰省の際に伊豆に集合することも多いこともあり、母が買ったなのりを食べる機会も増えました。食べ方も習いました。
そして、すっかりファンになった次第です。
下の写真の細かな繊維が絡まったような状態のものがなのりです。

味は海苔に近いです。香りは海苔よりももっと強く豊か。
母直伝のおすすめの食べ方は、フライパンでから炒りして手で細かくし、かつお節を混ぜて醤油をひと垂らししたもの。
ごはんのお供に、お餅の衣に最高です。
しかも、薬膳的視点から言っても、冬に食べるふのりは最高なのです。
◾️ご当地海藻を見逃さないで!
さて、ここまで「なのり」についてアツクルシク語ってきましたが、これを読んでくださっている多くの方が「でも買えないし」「見たことないし」と思われているかもしれません。
そうですよね、そのお気持ちはよ~くわかります!
でも、ちょっと待ってください!
日本はご存知の通り、四方を海に囲まれています。そのため、古くから海藻類をたくさん食べてきました。
しかも、日本の海はとても豊かで、寒流もあれば暖流もあり、様々な種類の海藻が育ち食卓を豊かにしてきました。
もし、皆さんがお住まいの都道府県が海に接しているならば、ご当地海藻があるのではないでしょうか?
古くから地域の人々が当たり前のように食べてきた海藻です。もちろん、それが昆布やワカメのようなメジャーなものであってもいいのです。

例えば、 わたしが暮らす福岡!
こちらでは「おきゅうと」と呼ばれる海藻を食べます。皆さんがご存知のものに例えると、寒天が近いかな。煮詰めて固めてプルプルのゼリー状にしていただきます。
初めて見た時は「黒っぽい葛きり」に見えました(福岡の皆さん、ごめんなさい!)。
この「おきゅうと」は、名前は異なりますが山口や新潟県の佐渡島でも食べられています。
また、福岡の前に住んでいた佐賀!
佐賀を代表する海藻といえば海苔です。
佐賀に住んで海苔が収穫される時期によって味が大きく異なることを知りました。香りも全く違います。
このように地域によって様々な海藻が出回っているので、「なのり」がない地域の方はご当地海藻をチェックしてみてくださいね。
海がない地域の方は、昆布やワカメといった入手しやすい海藻で構いません。
もしかしたら、代わりに山がちの土地ならではの「海産物の食べ方」があるかもしれません。その場合は、その食材や食べ方を暮らしに取り入れることをおすすめします。
奈良の塩鯖、山梨の煮貝などがこれに該当します。もっとも鮑の煮貝を毎日食卓に並べるのはリアルではないようにも思いますが。
なのりに限らず、海藻類は冬にこそ積極的に食べたいもののひとつです。
その理由を薬膳的視点からご紹介しましょう。
◾️冬こそ海苔を食べましょう
冬の間、わたしたちの身体でとくに養生したいのは腎です。腎は寒さに弱い五臓のひとつで、冬はその動きを停滞させがちです。

では、実際に腎が動かないとどうなるのでしょう?
薬膳では腎を「水」と深い繋がりがあると考えます。ここでいう「水」とは血液以外の体液のこと。リンパなども含みます。
寒さで腎が弱ると、身体の水がスムーズにめぐりにくくなります。排尿のリズムが崩れてむくみやすい方は要注意です。
また、腎は「気力」とも関係が深いと言われています。
「気」や「気力」という言葉は、どこかスピリチュアルな印象を与えるようで(わたし自身も薬膳を学ぶまではそうでした)、首をかしげる方もいるかもしれませんが、そこはちょっと騙された気分でもいいので、最後まで読んでくださいね。
この「気力」とは生きる力とも、ポジティブな姿勢とも言い換えても構いません。「活力」でもいいですよ。
朝起きてエンジンがすぐかかる方と、なかなか気持ちも身体も動き出せない方とがいますが、前者は気力たっぷりの方、後者は腎が弱って気力も弱り気味の方だとイメージしてください。
また、腎は成長や発育(老化も)とも深い関係があり、同時に生殖をも司ると考えます。どれもとても大切ですよね。
腎が健全な状態であれば、身体が健やかだとおわかりいただけると思います。身体が健やかであることは、綺麗の絶対条件! とベジ楽では常々考えています。そのため、当然ですが腎のスムーズなはたらきは、綺麗へ1歩近づくための大切な要素です。
この腎を助けるのが、「鹹(かん)」の性質を持った食材です。
そう、先ほどからアツクルシク書いている「なのり」やら「海苔」やら「昆布」やら「ワカメ」はすべて鹹に分類されます。鹹は一般に海に関係するもの、と書くと覚えやすいかもしれません(例外もありますが)。

■黒の食材で元気も綺麗も手に入れて!
薬膳では、食材の色にも注目します。
食べ物が持つ色を「青・赤・黄・白・黒」の5つに分けます。それぞれ関係があるとされるのが「青=肝」「赤=心」「黄=脾」「白=肺」「黒=腎」です。
つまり、腎をいたわるには、黒の食材を選んで食べると良い、と考えるわけですね。
海藻は基本的にすべて黒で考えます。ほかには黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ゴボウが該当します。

なのり…もとい、海藻の魅力が伝わったでしょうか。海藻をしっかり食べて、むくみ知らず、朝から元気いっぱいでいきましょう! 身体がシャキシャキ動くと、心も前向きになって、綺麗な自分を実感できますね。
もっとも、何事もほどほどが大切。海藻だけをムシャムシャ食べずに、他のものも楽しく美味しく召し上がってくださいね。ほどほどこそ、ゆるベジらく膳料理の得意とするところです。
ご興味のある方はぜひご参加ください。お待ちしています!