みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
わたしは1年を通じて田んぼ作業に参加しています。
わたし…というより、家族全員で参加しています。
「田縁プロジェクト」と呼ばれる年間を通じた活動で、毎週末なにかしら作業があって参加できます。理想は毎週末参加ですが、なかなかそうもいかないので我が家では「毎月1回以上は参加する!」と決めて参加しています。
このプロジェクトには、たくさんのベテラン指導差者さんがいらっしゃるので、さまざまなことを教えていただけます。
なにより「身体を動かす」「労働する」という姿勢を学べます。みなさん、それぞれの分野のベテランさんが集まっているので、教えていただくことがたくさんあります。男性も女性も、それぞれの分野で第一線で活躍されていた方ばかりなので、話題も豊富でとても楽しいのです。
今日は先日収穫した大豆をつかって味噌を作りました。
麹も全部田縁隊(プロジェクトの事務局の皆さんの相称)による手作りです。
というわけで、今日のテーマは「味噌」です。

■まずは味噌の作り方をざっくりご紹介
まずは味噌とは何ぞや、というところから始めましょう。
簡単にいってしまえば、発酵調味料です。
蒸した(ゆでた)大豆、麹、塩を混ぜて発酵させたものを味噌といいます。
手順としては、麹と塩を先に混ぜておき、その後蒸した(ゆでた)大豆をつぶして混ぜ合わせます。それをボール状に形成し、味噌樽等に投げ入れて密閉容器にねかせます。
ボール状にしたものを投げ入れると書くと、「ずいぶん乱暴ね」と思われるかもしれませんが、これは麹のためです。味噌の発酵に空気は邪魔です。難しい言葉で言うと、味噌づくりに必要な麹は「嫌気性」といって、空気があると発酵がスムーズにいかないうえにカビが生えやすくなります。
だから、ボールを作る際にもハンバーグのように両手でポンポン投げ合うようにして形成します。
この「投げ入れる」作業…実は結構楽しいのです。日ごろ、食べ物を投げるなんてとんでもない、と思っていますし、実際に投げることはしません。ですが、味噌に関しては堂々と投げられるので、「禁断の…」という感じがしてとても楽しいのです。

このように、麹が味噌づくりには欠かせません。いえ、味噌だけでなく日本の多くの伝統的な食品に麹は欠かせません。
麹はカビです。カビと聞くと、「え? 食べて大丈夫なの?」と聞かれることもあるのですが、大丈夫です!
カビには大きく2つの種類があります。食べてOKなもの(むしろ身体にいいもの)と、食べてはいけないもの、と。麹は「食べてよい、身体に嬉しいカビ」です。
米や麦に生えます。もわもわした産毛のようなものです。「麹」という名称で販売されてもいるので、スーパー等でも見ることができます。
この麹は実は日本独特のカビです。
日本の風土のなかで生まれ、食べ継がれてきたものなので、日本人の身体にあっていると、個人的には思っています。
この麹が大豆を食べてさらに増殖し、発酵したものが味噌です。
「手前味噌」という言葉に代表されるように、味噌は地域によってかなり違います。
米をベースにした米麹を使うか、麦をベースにした麦麹を使うかで、味わいが大きく変わります。九州は麦みそですが、名古屋あたりは豆みそが食べられています。
色で名称が決まることもあります。たとえば京都の「白みそ」がそれにあたります。
どれが良い、どれが美味しい、ということはありません。
レッスンにいらっしゃる方と味噌談義をすることもあるのですが、それぞれ育った地域で食べてきた味噌がイチバン好き、とおっしゃることが多いです。やはり食べなれたものが良いということなのでしょうね。
■味噌づくり
今回、皆さんと仕込んだ味噌は、大豆150キロ分! ちなみに、2日間かけて味噌を仕込むのですが、150キロは1日分の量です。
つまり、2日間で300キロもの大豆を仕込みます。
家で一人で作っていた際には大豆5~7キロといったところなので、その量に最初はビックリしました。
えええ? 15キロの間違いじゃないの? と。
しかも、家で作っているときには、フードプロセッサーで大豆をガーッとやってつぶしていましたから、かなり省エネスタイル。ところが、田縁プロジェクトではほぼ手作業(笑)。
厚手のビニール袋に塩を混ぜた麹とゆでた大豆を入れて手で潰し、手で混ぜていきます。
それなりにハードですよ。
でも、一緒に参加している方たちとおしゃべりをしながらの作業はとても楽しくもあります。
と、同時にご準備してくださっている事務局の皆さんに尊敬の念を抱きます。同時に感謝の気持ちも。皆さんがいろいろなご準備をしてくださるから、スムーズなんだよなぁ、と。
なにしろ一人でせっせと仕込んでいた身としては、大豆をつぶして混ぜるまでの工程を知っているので、準備の大変さが容易に想像できてしまうのです。ああ、ありがたや。
■ゆるベジらく膳的 味噌の話
味噌は、薬膳では「温」の性質があるので、身体を温めると考えます。
この場合、味噌の種類が赤みそだろうが、白みそだろうが関係ありません。味噌と呼ばれるもの全般、同じ性質があると考えます。
温性なので、寒い日にぴったりです。実際に、寒い朝にお味噌汁をいただくと身体が内側からポカポカするように感じませんか?
さらに過熱することで温の性質が強まるという説もあります。つまり、味噌汁や味噌焼きおにぎりはポカポカ効果がさらに高まっている、ということです。
さらに、身体の中の水がスムーズにめぐって排出されるのを手伝う「鹹(かん)」と呼ばれる性質がある食材です。
余分な水をスムーズに排出することで、むくみ防止に効果がありますよ。お酒を飲んだ翌日も、水分と味噌をとることでアルコールがスムーズに抜けていきます。
ところで、アルコールを飲んだ翌日には、「しじみ汁が効く」というお話を聞いたことがる方もいらっしゃるかもしれませんね。これはしじみが持っているタウリンと呼ばれるアミノ酸の一種が肝機能をサポートすることが理由です。オルチニンが原因だという説もありますが(多くのシジミ成分食品ではそう謳っています)、あくまでもわたしが過去に学んだことをベースにするならタウリンが理由、ということです。
まあ、成分がなんにしろ肝機能をサポートしてくれるのはうれしいことです。
このタウリンに関しては、薬膳とはまったく無関係で、栄養学でいわれていることです。
でも、薬膳でもシジミは水分排泄に力を発揮すると言われているので、やはりアルコールを飲んだ翌日にぴったりです。
味噌としじみ。素晴らしい組み合わせです。
■ゆるベジらく膳的 みその食べ方
わたしが味噌をどう食べているかについても、ご紹介します。そして、調理のコツも。
メインはやはりお味噌汁です。毎朝いただいています。もちろん、手前味噌ですよ。
それから、煮物や炒め物の隠し味にも使います。
同じ発酵食品ということもあって、味噌とチーズは相性がよいので、おつまみ的に使う際にはこの組み合わせでディップを作ることもあります。
味噌漬け…そういえば最近やっていませんが…も作らなくないです。
ドレッシングとしても使います。
かわったところでは、ホワイトソースの隠し味に使います。味噌を入れるとコクが出ておいしいですよ。それから、コロッケの隠し味にも使います。
クッキーにも少量入れて焼くこともあります。どちらかというと、クラッカーのような味になります。
グラタンやクッキーの場合は難しいのですが、それ以外の調理方法に関して言えば、味噌は香りを楽しむ調味料でもあります。ただ、香りは長時間の高温の加熱に耐えられるほど強いものではありません。できれば、火を止める直前に入れて香りもいっしょに楽しんでいただければ、と思います。
そうそう、ご夫婦共お忙しい方やお一人暮らしの方の場合、朝のお味噌汁を作る手間が面倒という方も少なからずいらっしゃると思います(わたしも同じようなものです)。
どうしても時間的に厳しいというときは、お椀に直接味噌と削り節(またはおぼろ昆布)を入れてお湯を注ぎ入れます。具は乾燥わかめやうず巻き麩などを入れれば、即席のお味噌汁をいただけます。朝、温かいものをいただくと、身体がポカポカするのでおすすめです。
基本的にベジ楽で使っている味噌はほぼ手作りなので、レッスンにご参加くださる方は召し上がる機会も多いですよ。ぜひ、お味噌を召し上がりにいらしてくださいね。