みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「人参」です。
というのも、今朝の福岡はとても寒かったから!
福岡って、寒いのです。東京よりも寒いと感じます。
ざっくり言えば日本海側の気候なのです。雪こそ降り積もりませんが、風が強いなぁと感じます。
とくに我が家は玄界灘を臨む場所にあります。北側の玄関を開けると海が見えるのです。
というわけで、玄関を開けると北側から風邪がびゅーっと吹き込んで参ります。寒い、寒い。
今日は所用で短時間ですが外出をしなくてはいけなくなったので、肩をすくめてブルブル。小学生のムスメは果敢にスカートで登校しましたが、帰ってきたらやっぱり寒いだろうと考えて、血行促進野菜を使った食事を作ることにしました。
そこで、選んだのが人参です。と、今日のテーマを説明するのに、ちょっと遠回りをしましたが、いつものとおりお付き合いください。
■人参は寒いときに身体を強力にサポートします
人参は、パワフルな野菜でもあります。それも、とてもパワフル。
中国の『本草綱目』という書物には、「益あって損なし」と記録されていたほどです。
とはいえ、これは昔から親しまれている薬用ニンジンについてだと言われています。
現代のわたしたちが食べている人参は「セリニンジン」と呼ばれる、品種改良をされたものです。実際によく食べられるようになったのは、17世紀に入ってからですから、薬用ニンジンほど歴史があるわけではありません。
今、ニンジンはどんどん品種改良されていて、苦みやえぐみがどんどん少なくなっています。品種によってはとても甘い!
その証拠に昔は「小学生の苦手な野菜ナンバー1」に堂々と輝いていたのに(ピーマンと常に上位を争うイメージ)、現在ではランクインするどころか、「好きな野菜」のランキングに堂々と入っていますものね、変われば、変わるものです。
最近は、ニンジンもとてもカラフルになりました。
オレンジだけでなく、紫色や黄色などとてもカラフルです。カラフルな野菜は観ているだけで元気をもらえますね。
とくにビビットなオレンジは、見ているだけでワクワクします。
もちろん、ニンジンは見た目だけじゃありませんよ。とはいえ、この強烈な色に秘密があります。
■人参の色は風邪予防とアンチエイジング!
カラフルな人参が出回っている話を書きましたが、今日はオレンジ色の人参を中心に書いていきます。
オレンジ色の正体は、ベータカロテンです。
ベータカロテンは、体内にとりこまれると活性酸素を取り除くのに効果があると言われています。「活性酸素?」と首を傾げられた方もいるかもしれませんね。
「活性酸素」とは、老化の原因です。
わたしたち人間は、酸素を取り入れて(呼吸して)生きていますが、同時に酸素は身体を老けさせてもいます。わかりやすく言えば、身体を錆びさせる原因とも。
生きるのに必要な酸素が老化の原因…これ、なかなかショッキングですよね。わたしは初めて知ったときに、ひっくり返りそうになりました。
つまり、わたしたち人間は「オギャー」と生まれた瞬間から、呼吸をするたびに身体が老けていくのです。
ニンジンのベータカロテンは、この老化の原因である活性酸素と戦ってくれるのです。
あ、もしかして「人参だけ食べたらアンチエイジング効果が高い?」と思われましたか? それはおすすめできません。
これはあくまでもわたし自身の考えなので、一個人の意見として読んでください。と、前置きをして。
ゆるベジらく膳料理は野菜をメインに考えていますが、決して「〇〇だけを食べればOK」と推奨しているわけではないのです。薬膳ベースで誕生したゆるベジらく膳料理では、「バランス」も大切にしています。
「〇〇だけ」は一見とてもよいようですが、バランスが偏りがちです。
人参だけを食べてアンチエイジング効果を期待するのは、ベジ楽では躊躇してしまいます。だから、わたし個人としては推奨しません。
と、話がまた少しずれましたが、ベータカロテンには他にも注目すべきはたらきがあります。それは、皮膚や粘膜を健全に丈夫にキープする力があること。
皮膚が健全=肌荒れ防止
粘膜が健全=風邪予防
とくに鼻や喉の粘膜が弱くなると、風邪のウイルスを身体の入り口で歓迎しているようなもの。粘膜は身体に悪いウイルスをシャットアウトするはたらきもあるので、ここを強化することは入り口のガードマンを増やすのと同じです。
今の季節、風邪もインフルエンザもはやっています。ウイルスに負けない元気な粘膜は、とても大切です。
■ゆるベジらく膳的 人参の栄養
薬膳では人参を「温・甘」と分類します。
もう少し詳しく、わかりやすく見ていきましょう。
「温」は、温かいという字が表すように身体を温めるはたらきがありますよ、という意味。冷え性の人には身体を温める野菜として、本当におすすめです。
とくに人参の場合、五臓(薬膳でいうところの臓器)を温めると言われています。簡単に言えば、身体を内側から温める、となります。
そして、血を補って血行をよくします。これは、身体を温めることにも通じます。
現代栄養学の観点からいっても、人参は鉄分が含まれているので貧血予防に効果を期待できます。
さらに、「甘」の性質についても注目です。
甘は、単に味が甘いという意味ではありません。味の性質…ちょっとややこしいですが、薬膳では食べ物を味の性質によってはたらきが違うと考えます。だから、味に関する名称がついていますが、それぞれの性質を表している、と捉えてください。
甘の性質には、いくつかありますが、おもなところとして
- 胃腸をいたわって、食欲不振を改善する
- 緊張をゆるめる
- 滋養強壮効果がある
- 気力を充実させる
といったはたらきがあります。
食欲不振はまわりまわって、体力アップにも繋がります。
さらに、人参は五臓でいう「肝」が元気になるようにはたらきかける性質があります。
肝は目の機能と関係が深いと、薬膳では考えます。
つまり、目によい。もっというと、現代人特有のドライアイや疲れ目などにもプラスにはたらきます。
人参を食べたくなったのではないですか?
では、次に実際に人参を調理する際のコツについてお話をしましょう。
■人参は2割がポイント!
人参を料理する際には、「2割」という数字を頭に入れておくと失敗がありません。
2割…なんのこと?
不思議ですよね。でも、この2割って料理上手かどうかを分ける分離点なのです。
人参は先ほどから書いているように、色も栄養も強烈です。味も人参ってしっかりしていて、どんな料理に入っていても自己主張してきますよね。
いろいろな意味でとても目立つ野菜です。「野菜の女王」と表記する方もいるくらいなので、そのパワフルさは伝わるでしょう。
そのため、料理をする際に
人参は2割小さく、または2割少なく
と意識してください。
他の材料とまったく同じ大きさに切り、まったく同じ量を入れると、人参が圧倒的に多いように感じます。
でも、2割小さく切っていれると、気になりません。
大きさが同じ場合は、他の材料より2割少なく加えます。これで、人参モリモリ感が薄れてバランスが保てます。
人参料理のポイントは2割です!
と、書いておきながら、わたしが今日作ったドライカレーには、人参がやや多めです(笑)。
2割減ではなく作っているので、全体にオレンジ色! トマトも少量ですが入っているので(わたしは冬場は滅多にトマトを買わないので)なおのこと暖色系です。
ちなみにスパイスで作っています。
スパイスもこれまた薬膳的に効果がとても高いのです。
それについては、また明日!