みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「サトイモ」です。
無骨なまでにゴツゴツとしたサトイモを取り上げます。おそらく、この記事を読み終えたら、サトイモを食べたくなりますよ。
そのくらいサトイモってすごいのです!
Contents
■サトイモってどんな野菜でしょう?
「サトイモはどんな野菜ですか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?
いも。
ねばり。
洗うのが面倒。
こんな声が聞こえてきそうですね。
サツマイモのように、色が鮮やかなわけでも、お菓子に使われるほど華やかではありません。
ジャガイモのように主食になったり、ファストフード店の人気者になったりすることもありません。
わたしは、サトイモを地味な野菜だなぁ、と思っています(ごめんなさい、サトイモさん)。
なにしろ、見た目がモジャモジャの茶色の塊です。おまけに漢字で書くと「里芋」ですからね。地味な感じがしませんか?
でも、この地味は「滋味」に通じると、わたしは勝手に思い込んでいます。
なんというか、地味なのですが、滋味あふれる味わいで料理をしみじみ美味しくしてくれる野菜だと常々感じています。
実は、サトイモの歴史はとても古いのです。
日本で稲作が始まるよりずっと前から食べられてきた野菜です。縄文時代の遺跡から、当時の人々がサトイモを食べていたことがわかるくらい、日本人にとってなじみ深い野菜です。
歴史が古いことに加え、比較的カロリーが高い芋類においてもっとも低カロリーなのも、わたしがサトイモをおすすめする理由です。
サトイモの旬は10月から1月にかけて。ちょうどわたしたちがクリスマスやらお正月やらで、胃腸を酷使したり体重増加が気になったりする時季と重なります。なんて嬉しいことでしょう。あ、いつも書いていますが、だからといって食べすぎは禁物ですよ。
今はちょうど旬が終わりかけているときですが、まだまだ出回っているので駆け込みで食べてください。
なにしろ、サトイモはいろいろな面でとても優秀な野菜なのですから。
■ゆるベジらく膳料理的 さといもの栄養①
薬膳ベースのゆるベジらく膳料理ですから、まずは薬膳でサトイモの栄養をひも解いていきましょう。
サトイモは「平・辛」に分類されます。
「平」は冷え性や汗っかきなどといった体質にかかわらず、多くの方におすすめできるという意味です。体質を選ばずに食べられるという意味で、「万能選手」と呼んでもいいでしょう。
「辛」は芋類ではかなり珍しい性質です。
サトイモやジャガイモなどはほとんど「甘」に分類されるのですが、サトイモだけは「辛」。人によっては「辛甘」と分けることもあるのですが、わたしが「まあ、孤高の存在!」とマイナー路線を支持するタイプなので、「辛」で考えています。
辛は、気をスムーズにめぐらせて興奮を冷まして気持ちを落ち着けてくれる役割を果たします。また、血行をよくする力もあります。結果として、ニキビや吹き出物を解消する効果も(肌荒れ防止!)。
ほかに胃腸をいたわる力もあります。しっかり消化することで、排便を促すことも。
書いていて興奮するくらい、イイコト尽くめです!
■ゆるベジらく膳料理的 さといもの栄養②
現代栄養学の観点からも、サトイモの栄養をご紹介しましょう。
おもな栄養分は「でんぷん」です。そこは他の芋類と同様です。
そして、やはり「ネバネバ」について無視することはできません。この粘り(ぬめり?)の正体は、ガラクタンと呼ばれる成分です。
このガラクタンは、脳細胞を活性化させて免疫力を強化するはたらきがあることがわかっています。
ほかにも食物繊維が豊富で、スムーズな排便を促してくれます。このたくさんの食物繊維とたっぷり含まれている水分が低カロリーの秘密でもあります。
ほかにカリウムが豊富で、高血圧予防にも効果が期待できるという医師もいます。悪いところが探せない野菜ですね。
■サトイモのネバネバはどう料理する?
先ほど書いたように、サトイモの特徴でもあるネバネバですが、苦手とする人もいるようです。本当は、免疫力アップにも脳細胞活性化にもプラスにはたらくネバネバを取り除くことはおすすめしません。
わたしの場合、煮物類は粘りを食べるというつもりで、そのまま調理してしまいます。
料亭で食べるようなサラリスッキリといった美しい煮物にはなりませんが、「家庭料理」ならありだと割り切っています。
もっとも、あの粘りは吹きこぼれの原因になるので、調理の際には注意する必要がありますが。
でも、気になる方がいるのもよくわかります。スッキリサラサラの煮物も美味しいですから。もし、皆さんのなかに気になる方がいらしたら、水にさらしてから塩でもんでみてください。これでだいぶ粘りが減ります。
もしくは、下茹でする方法もあります。
ただ、先ほど書いたようにこれはガラクタンと呼ばれる栄養成分を取り除くのと同じことです。気にならなければ召し上がってみてくださいね。
■サトイモの品種を知っていますか?
サトイモの品種の前におまけの話を少し。
サトイモは、根っこではありません。茎です。地下の茎ということで「地下茎」と言います。そして、サトイモには「親」と「子」がいることをご存知でしょうか。
親子⁉
そうです、親子です。
親と子があります。正確には親芋と子芋です。
親芋は行ってみれば茎の中心のような存在ですね。そして、子芋は親の回りにできる、いわば枝のようなものです。
そして、ここで品種の話に戻りましょう。
わたしたちが食べているサトイモには、親芋を食べる品種と子芋を食べる品種とがあります。もっとも食事の際に、「親芋だからこう調理する」あるいは「子芋だからこう食べる」といった区別は必要ありません。
ただ、この親に子がいっぱいできる様子から、「子孫繁栄」「子宝」に通じるとして縁起のよい食べ物だと考えられた地域も少なくありません。
たとえば…お正月のお煮しめにサトイモを入れる地域や、お雑煮にゴロンと大きなサトイモを入れる地域が残っていることからも縁起物としての側面を見ることができます。
ようやく本題の品種に戻りましょう。
サトイモはとても品種が多い野菜です。
形もいろいろです。一般的なのは、コロンとした楕円のようなややずんぐりむっくりしたものです。「石川早生」が有名です。
似たような形では「土垂れ(どたれ)」と呼ばれる品種があります。このふたつは、子芋を食べる品種です。
ゴツゴツとした塊が特徴的な「八ツ頭」。
細長く大きな「タケノコ芋(京芋)」。タケノコの節のような横に縞模様が入っています。
このふたつは親芋を食べる品種です。
あとは、大きく長細くエビ用にやや曲がっていることから名づけられた「えび芋」。
赤っぽい色が特徴的な「セレベス」といった品種もあります。
こちらは、親も子も食べます。
■サトイモ調理の秘密兵器とは?
サトイモを購入してきたら、まずは洗わないといけませんね。
このときに、「面倒」という感情が湧き上がってくるようです。土もまだついていますし、ゴツゴツしていて洗いにくい…確かに。
でも、わたしはそんなときに「秘密兵器」を登場させます。
それは「たわし」。それも、「亀の子だわし」がイチバンおすすめ!
これでゴシゴシこすると、あっという間に綺麗になります。ちなみに、根菜なら大抵のものはこの秘密兵器で何とかなります。ジャガイモも、人参も、ゴボウも。
ベジ楽のキッチンにはいつも亀の子だわしが置いてあるので、いらしたらぜひチェックしてみてください。
ちなみに。お掃除用とは分けているので、ご安心ください。
購入してから野菜用として使い、ちょっとくたびれてきたかなと感じたら掃除用へスイッチ。これが、わたしのキッチンでのマイルールです。
さといもの魅力を感じていただけたでしょうか?
地味が滋味。
このことをぜひ料理をとおして感じて頂けたら、と思います。