みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ウレンソウ」です。
Contents
■ホウレンソウってどんな野菜
ホウレンソウといえば…ポパイ?
ポパイが食べるとみるみるうちにパワーアップして…というお決まりのシーンで食べているのがホウレンソウです。
アニメーションでは缶詰のホウレンソウが使われていましたが、当時のわたした「spinach」という英単語の意味がわからず、「なんだろう?」と思っていましtた。
後に「ホウレンソウなんだ」とわかったときの衝撃といったら(笑)。ただ、ホウレンソウの缶詰は正直あまり得意ではありません。1度だけ食べたことがありますが(日本ではありません)。
ここでは、ホウレンソウについてもう少し掘り下げてみてみましょう。
◇ホウレンソウが美味しいのはいつですか?
ホウレンソウの旬は、12月から2月ごろ。1年中出回っている野菜ではありますが、やはり美味しいのは寒い時季です。
◇ホウレンソウはどこで生まれましたか?
野菜の原産地を知ることは、食べ方や保存方法、その野菜の特質を知るうえでヒントになります。
だから、このブログでは意識して原産地について書かせていただいています。
ホウレンソウの原産地は、西アジア。その後、アジアとヨーロッパとでそれぞれ広まりました。このアジアとヨーロッパで広がったというのが、その後のホウレンソウの品種にも大きくかかわっています。
■ホウレンソウは品種が多いってご存知ですか?
アジアに広まったホウレンソウは、「東洋種(日本種と記載されることもあります)」として品種改良されつつ広く食べられるようになりました。
一方、ヨーロッパに広まったホウレンソウは、その後「西洋種」へと変わっていきます。
当然ですが、アジアとヨーロッパとでは気候も食文化も異なります。それぞれまったく違う特徴を備えるようになっていきました。
まず、東洋種は葉が薄いのが特徴です。食べやすいのですが、葉が薄いぶん、鮮度が落ちやすいのが難点です。和食の「お浸し」などに向いています。
続いて西洋種です。西洋種は葉が厚い分、日持ちがします。しかし、しっかり加熱ことが美味しく食べる前提です。そうでないと、口当たりが悪くなってしまいます。これが欠点。
現在、わたしたちの回りにもっともたくさん出回っているのが、東洋種と西洋種を掛け合わせた「交配種」です。それぞれの良いところ、美味しいところをギュッと合わせました。
おもしろいですね、もともと同じ野菜だったはずなのですが、人々に食べられる過程で大きく2つ分かれ、そしてまたひとつになっていくのですから。
■ホウレンソウの保存法
ホウレンソウはみずみずしさが損なわれやすい野菜のひとつ。だから、鮮度を保つには水気をしっかり逃さないことが大切です。
購入したらすぐに調理して食べるのが理想ではありますが、なかなかそうもいかないこともあるでしょう。
そこで、おすすめなのが新聞紙を使う方法です。
といっても、特別なことではありません。
湿らせた新聞紙でホウレンソウを包んで、さらにそれをビニール袋で包みます。それで冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
最近は野菜保存用のビニール袋もあるので、それらを利用するのもおすすめです。
そして、もうひとつのポイントが、野菜室での置き方です。
野菜はホウレンソウに限らず、畑と同じ状態でしまうと、より鮮度が維持できます。
だから、ホウレンソウの場合は「縦置き」。使用済み牛乳パックを使うのもいいですね。
それでも数日中に食べてくださいね。これがもっとも大切なコツかもしれません。
それでも、やはり食べきれない場合は、冷凍保存しましょう。
この場合、茹でてしっかり水気を絞ってラップで包んでください。このとき、硬めに茹でるのがポイントです。
■ゆるベジらく膳料理的 ホウレンソウの栄養①
「ポパイ」で登場することでもわかるように、ホウレンソウは栄養たっぷりです。
薬膳ではホウレンソウを「涼・甘」に分類します。
「涼」の性質は、どちらかというと身体を冷やす、という意味です。
のぼせやほてりのある場合、クールダウンして身体を平常の状態にしてくれます。鎮静効果もある、とされます。
このクールダウン効果は、便秘に有効だと考えられます。
というのも、便秘にはいくつか原因があるのですが、そのなかのひとつが「腸に余分な熱がたまってしまったため」と薬膳では考えるからです。
つまり、腸の余分な熱をホウレンソウによって取り除けば、便秘の原因を取り除くことに繋がってスムーズな排便ができるようになる、というわけです。
便秘は肌荒れの原因になります。ひどい場合は、腹痛に加え頭痛を引き起こすことも。ホウレンソウで適度にクールダウンをして、余分なものそスッキリ出しましょう!
また、涼の性質の食べ物は、身体全体をうるおす効果があるとされます。
もし、皆さんのなかに「渇いた咳」に悩んでいる方がいたら、ホウレンソウをおすすめします。乾いた咳は、喉が乾燥している証拠として薬膳ではとらえます。
逆にいえば、喉がしっかりうるおっていれば咳はでない、ということになります。
この乾いた咳の怖いところは、風邪の原因になること。風邪のウイルスは喉や鼻を通じてわたしたち人間の内側に入り込みます。しかも、ウイルスは乾燥した環境が大好きときてきます。
つまり、喉や鼻が渇いていると元気のよいピチピチのウイルスを取り入れてしまうことに繋がります。
さらに、ホウレンソウは「肝」にきく、とされます。この場合の「肝」は五臓のひとつで、漢字からイメージする「肝臓」とは微妙に異なります。
肝は精神を安定させる、血を蓄えて各臓器に分配する、目の健康にプラスにはたらきかけることに力を発揮ます。
つまり、肝の状態をよくするホウレンソウは
- 精神安定に効果的
- 血を生み出して、全身に行き渡らせる
- 目にプラス
このようにも言えると思います。
ホウレンソウを食べたくなってきませんか? わたしは食べたくなりました(笑)。
■ゆるベジらく膳料理的 ホウレンソウの栄養②
薬膳でホウレンソウがいかに優秀な野菜かがわかったところで、今度は現代栄養学の視点でもホウレンソウを見てみましょう。
やはり、注目すべきは「鉄」です。
鉄分は造血作用があることで知られる栄養成分ですが、いわゆる「貧血予防」を期待できます。ほかにも、鉄の吸収率をよくするビタミンCも、造血にやはり効果があるとされる葉酸もしっかり含まれています。
これだけ貧血予防に効果のある成分がガッツリ含まれているのですから、食べない理由がありません。
ここまでは「予防」の話。
ただ、女性のなかには「慢性的に貧血気味」という方もいるかもしれません。かつてのわたしもそうでした。
この「慢性的に貧血気味」という方の場合、顔色が悪かったり、唇に赤みを感じられなかったり、白髪が多い、皮膚と髪が乾燥してしまいカサカサする方も、貧血状態であることが影響している可能性が。
予防だけでなく、辛さを和らげる意味でもホウレンソウを食べましょう!
さらに、抗酸化作用が高いことでもホウレンソウは有名です。抗酸化作用…アンチエイジングです!
■ホウレンソウは茹ですぎに気をつけて
ホウレンソウを調理する際にいちばん気をつけたいのは「茹で加減」です。
炒める際にも加熱しすぎないようにしたいのですが、炒めるときよりも失敗しやすいのが茹でるときではないか思われます。
茹で時間の目安は約1分。
柔らかめがお好みなら、約2分。これ以上はダメです!
その際に根本に十字に切れ込みを入れておくとスムーズです。そして、お湯に投入するのは根本から、ですよ。
それから、時折質問を受けるのですが、茹でる際の塩の分量についても書いておきます。
目安は「1.5%濃度」。
つまり、お湯1リットルに対して約大さじ1の塩です。
この塩の量は青菜を茹でる際は、どれも同じです。
さらに、色よくゆで上げるには、お湯の温度もポイントです。70度以上の温度が必要です。青菜が色よく仕上がるには、青菜に含まれているクロロフィルがクロロフィリンに変化しなくてはいけません。この変化に必要な温度が70度なのです。
料理は化学ですよ、という話をよくさせていただきますが(とはいえ、難しいことはないのですが)、このあたりからも「なるほど」と思っていただければ嬉しいです。