みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ディル」です。
ディル? 野菜??
首を傾げる方もいらっしゃるかもしれません。
ディルはハーブの一種です。
先日立ち寄った直売所で新鮮なディルを見つけてごっそり買い占めて帰ったこともあり、今日のテーマはディルです。
■ハーブの香りはお好きですか?
ハーブと聞くと、皆さんはどんなイメージがあるでしょうか?
ベジ楽のレッスンにご参加される方の多くが「どうやって使ったらいいのかわからない」とおっしゃいます。
細かいことを言えば、いろいろありますが、実際のところ「ルールはない」というのがわたしの考え方です。ただ、それぞれに香りや味が違うので、ご自身の好みやインスピレーションを大切に使ってみて頂けたら、と考えています。
ルールが少ないことが、ゆるベジらく膳料理の特徴でもあるので、「このハーブは肉(魚)でないといけない」ということはなくていいのかな、という感じです。
意外に思われるかもしれませんが、皆さんが「食べたことがほとんどない」「使ったことがない」とおっしゃるハーブ類ですが、そのうちのいくつかは絶対に「お馴染み」だと思うのです。
たとえば…ワサビ、ショウガ、ミョウガなどはいかがでしょう?
いわゆる「ジャパニーズハーブ」です。
薬味としてお馴染みですよね。
これらから考えると、自然と「ねばならい」という思い込みを外せるのではないでしょうか。
ワサビを例にとって考えてみましょう。
ワサビの食べ方として一般的なのは「刺身に添える」だと思います。
でも、蕎麦にも使いませんか? 佃煮にもしますね。
変わり種でいえば、ソフトクリームなどのお菓子類にも使われます。
王道的な使い方はありますが、応用は自在にできる、と感じて頂けたと思います。
この方法は、ディルに限らず、バジルでもオレガノでもすべて同じです。ルールに縛られずにいろいろと試してみてくださいね。
ただ、それぞれに薬効がある植物なので、それに関しては知っているとお得かもしれません。
■ディルってどんなハーブでしょう?
ディルはセリ科のハーブです。
原産は地中海沿岸から西アジアにかけての地域だと言われています。そのため、比較的乾燥に強いハーブです。
ハーブ類は栽培しやすいのでプランター等で栽培されている方もいらっしゃると思うのですが、ディルは乾燥に強い分、栽培しやすいとも言えますね。
全体にとても爽やかですーっとした香りがあります。
葉の形状が「フェンネル」ともよく似ているので、混同されがちです。茎がより太くガッシリしているのがフェンネルです。葉の香りが強いのがディルです。
ディルの葉と花は生のまま使います。
種子はスパイスとして使われることが多いです。
細い葉が柔らかく、噛むとすーっとした香りとわずかな甘味を感じます。
わたしはこのパヤパヤした葉が好きで(見た目が)、グラスに水を注いでディルをポイポイッと入れて楽しむこともあります。…これが一番簡単かも。
寒い日にはお湯を注いで即席ハーブティーとしても楽しんでいます。
■ディルは魚に合います
楽しみ方にルールはないのですが、「相性のよい食材」はあります。
ディルの場合は魚と酸味。あ、酸味は食材ではないですね。味の方向性として「すっぱい」ものと相性がよいのです。
ソテーした魚に添えたり、ピクルスにしたりしてみてください。
レストラン等のメニューでもおなじみなのが、サーモンのマリネにディルを添えたものです。マリネは酢を使いますから、酸味の観点からいってもぴったりです。サーモンとの相性については言わずもがな、ですね。
■ハーブは薬効が高い??
一般にハーブは薬効が高いと言われています。
ディルも同様です。ディルの薬効成分として有名なのが、カルボンやリモネンと呼ばれるもの。
これらの成分には食欲増進、消化促進、鎮静作用があることで知られています。安眠効果も高く、眠る前に飲むハーブティーの材料としてもおすすめです。
さらに、胃もたれを防ぐはたらきがあります。魚のように消化するのに身体に負担がかかるもの(一般に動物性たんぱく質は野菜よりも消化するのが大変だと言われています)と一緒に食べると、スムーズな消化活動を促してくれます。
さらに、産後の女性がとることで母乳の分泌を促すとも。
良いこと尽くめです。そのため、古くは古代エジプトですでに薬として使われていたという記録が残るほどです。
さらに、ディルの種は生薬としても知られています。
ディルの種は「蒔蘿子(じらし)」と言って、生薬として用いられています。ここでいう生薬とは、動植物や鉱物などの天然由来のものを指します。自然が生み出す「食べる薬」だと理解してくだい。
薬膳の世界では「生薬」はそんなに珍しいものではないのですが、どうも皆さんとお話をしていると「生薬=苦い=ハードルが高い」と思われているように感じます。
確かにあまり一般的でないものもありますが、ハーブや薬味と言い換えてみると「あ、それなら食べています」「それならわかります」と皆さんにっこりされます。
ディルに限らずですが、難しそうだと身構えずに楽しんでいただけたらいいな、と思います。