みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ブリ(鰤)」です。
Contents
■ブリは冬に美味しい魚です
福岡で暮らしてブリが身近になりました。
もともと好きな魚ではあったのですが、福岡はブリがたくさん出回っているのです。
とくにお正月にブリは欠かせません。
お雑煮の具として食べられることもあり、年末には「ブリ予約承ります」と書かれたポップアップを店頭でも見かけます。
ブリをお雑煮に入れるのは、諸説あるようですが、「ブリが出世魚だから」という話を耳にします。縁起物ですね。
そう、ブリは成長と共に名前を変える魚です。
いなだ→わらさ(わかし)→はまち→ブリ
地域によって名称が多少異なりますが、おおよそこんな感じです。
また、「嫁ぶりがいい」という言葉にかけて、結婚して最初のお正月には女性の実家が大きなブリを贈るとかなんとか。「嫁ぶり」という言葉に時代を感じなくもないのですが、「なるほど」と思います。
縁起云々を考えなくても、冬のブリは脂がのっていてとても美味しいです。
しかも、冬の身体に嬉しい理由がちゃんと存在しています。
■ゆるベジらく膳料理的 ぶりの栄養①
ブリを薬膳で分類すると「温・甘」になります。
「温」は身体をポカポカ温める効果があることを意味します。ブリの旬は11月から3月にかけてなので、身体を温めたい季節と見事に重なります。
江戸時代に書かれた『本朝食鑑』という書物には「(鰤は)気血をうるおし、健やかに肥らせる」と記載されています。
もう当時から、ブリの「温」の性質は注目されていたのですね。
「甘」は胃腸をととのえ、食欲を刺激する性質です。さらに、気力をアップさせるとも言われます。
■ゆるベジらく膳料理的 ブリの栄養②
現代栄養学の視点から考えても、ブリはとても優秀です。
まず、DHA!
DHAはドコサヘキサエン酸のこと。脳を活性化する栄養素として知られています。
DHAと双璧をなすように言われる栄養素がEPAです。EPAはエイコサペンタエン酸のこと。こちらは血液をサラサラにしてスムーズな血流を生むと言われています。
スムーズな血流…これは、薬膳で考える「気血をうるおす」とほぼ同じです。
血行をよくして、身体を温める。気力をアップする。
薬膳でも、現代栄養学でもブリのとらえ方がとても似ていることがわかります。
◇おまけの話題「どう考える? ブリの栄養」
薬膳でも、現代栄養学でもブリが血行をよくする性質があることを、とても面白いと感じませんか?
立ち場が異なる学問(?)ですが、同じ食べ物を同じようにとらえているのはとてもユニークです。
しかし、薬膳や現代栄養学など、見方をかえても同じように身体にプラスになるものは、意外と多いのです。つまり、ジャンルにこだわらずに「バランスよく」食べることが大切であることを教えてくれているのだとわたしは思います。
だから、ゆるベジらく膳料理では「バランス」をとても大切にしています。
肉はダメ、魚はダメ。
ではなく、肉も魚も食べましょう。でも、バランスをとるなら野菜もとりましょう、というように。
話が少しそれましたが、「ダメ」を数えるよりも、「いいところ」を上手に取り入れたほうが気分もいいかな、と。
もしよかったら参考にしてみてくださいね。
■ブリの下処理のコツ
ブリは、独特の臭いがある魚です。
ブリを苦手だと感じる方のなかには、この「臭い」が理由だという方も少なくないようです。臭いの原因とされるのは、おもに血液や血合いと呼ばれる茶色の部分です。
それと、ブリ特有の脂を苦手とする方もいますね。
これらを取り除いて上手に調理すると、臭いや脂があまり気にならずに食べられます。
わたしは、熱湯を使います。とくにアラを調理するときに使う方法です。
刺身の場合は、そういうわけにはいきませんが。
熱湯をボウルに入れ、そこにブリをそっと入れます。熱いのを我慢しつつ(やけどには気をつけてくださいね)、そっとなでるようにして洗います。
このとき、乱暴にあつかってしまうと身がボロボロになってしまうので、注意が必要です。丁寧に、でもしっかり。
なお、切り身の場合は、ざるに並べて上から熱湯をざっとかけます。上下を返して、もう一度ざっとかけます。これでじゅうぶん。これを「霜降り」ということもあります。
ただ、栄養について考えると、すべてを取り除くことはおすすめできません。
血合いは鉄分が豊富な部分です。脂は不飽和脂肪酸がたくさん含まれています。不飽和脂肪酸とは常温でも固まらない脂のこと。おもに植物油や魚の脂を指します。
そして、血液をサラサラにする働きがあるとも言われています。先ほどから何度となく登場している「DHA」や「EPA」は不飽和脂肪酸の一種です。
■冬のお惣菜の定番「ぶり大根」
冬のお惣菜の定番といえば、ぶり大根ですね。
実は、この「ブリ」と「大根」の組み合わせはとても理にかなっています。
というのも、ブリは「温・甘」。大根は「涼・辛」。
どちらも相反する性質を持っていますが、それがバランスをとることに繋がります。
なお、ブリは消化するのに身体に多少負担がかかります。ブリに限らず、動物性のものは植物(野菜)に比べるとやはり負担がかかります。
そこで、ショウガを組み合わせることをおすすめします。ショウガは「温・辛」ですが、臭みをとる効果があります。さらに、胃腸を温めるので消化吸収を促すことができるためです。
ぜひ、ショウガもいっしょに召し上がってくださいね。