みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「野菜料理のコツ」です。
ベジ楽のレッスンに参加してくださった方から頂いた質問にお答えしていこうと思います。
勝手にシリーズ化します。
質問は随時、受け付けております。気になることがあったら、ぜひお問合せください。
今回の質問の内容は、「野菜は水から茹でるの?」というものです。
正確には、「水やお湯でどんな区別があるのか」とういことです。
Contents
■野菜はお湯から? 水から?
野菜の調理方法で、「茹でる」は比較的いろいろな野菜で使える方法です。
そして、多くの人が「簡単」だと感じる方法ではないでしょうか。
ただ、実際にやってみると案外難しいことに気づく方も多いと感じます。わたしも、「難しい!」と思うひとりです。
茹で加減や茹で方によって、どうにもこうにも「残念な仕上がり」になってしまうことも多いためです。
ひと口に「茹でる」といってもお湯からスタートするのか、水から始めるのかでは違います。
そして、結論から言えば湯か水かには、ルールがあります。
もちろん、例外もあるのですが、それでも、湯を使うのか、水から始めるのかは一定のルールあるので、そのルールに従うのが失敗を減らすコツです。
というわけで、少し前置きが多くなりましたが、今回は「茹でるのコツ」に絞ってお話を進めましょう。
■野菜を茹でるルールはズバリこれです!
まずは基本的なルールを抑えましょう。
- 地面の下にできるものは、水から茹でる
- 地面の上にできるものは、湯から茹でる
ルールはこれだけです。
その違いを生む理由は、火のとおりやすさにあります。
■水から茹でるのは、根菜⁉
地面の下にできるもの…サツマイモ、ジャガイモ、ゴボウ、ニンジン…いわゆる根菜と呼ばれる野菜の数々は、総じて硬いので茹でるのに時間がかかります。
だから、水から!
水からじっくり時間をかけて茹でることで柔らかくします。そして、甘みも時間をかけることで増します。
だから、水から茹でるのが基本です。
■お湯から茹でるものは、葉菜と果菜⁉
反対に、地面の上にできる葉物や果菜の多くが柔らかく、火のとおりが早いものが多いです。さらにいうと、茹ですぎは歯ごたえが失われ、色も沈んでしまいます。
具体的にあげると…ホウレンソウ、小松菜、ブロッコリー、オクラ、キャベツ、アスパラなど。
しかも、これらの野菜がもっているビタミンCは熱に弱いことが多いので、長時間茹でることは栄養面からいっても不向きです。
短時間でさっと茹でる。
だから、お湯から!
■例外的に水から茹でるもの
ただ、地面の上にできる野菜であっても、ちょっと変わっていて「水から茹でる派」もいます。…いつでもひねくれものがいる人間界にちょっと似ています。
それは、カボチャとトウモロコシ。
どちらも果菜と呼ばれるもので、地面の上にできる実を食べる野菜です。
本来のルールでいうなら、このふたつもお湯から茹でるのが基本ですが(これでも食べられなくないです)、水から茹でたほうが美味しく仕上がります。
それは、どちらもでんぷん質を多く含むから。
でんぷんは、じっくり加熱することで甘みを増して美味しくなります。つまり、水から茹でて時間をかけたほうが甘みが引き出されて美味しい、ということ。
カボチャの煮物を作るときには、先に砂糖(はちみつでも、みりんでも)をふっておき、水を加えて加熱します。その後、カボチャが柔らかくなったら、しょうゆ等を加えます。
トウモロコシは蓋がしっかり締まる鍋(わたしの場合、ル・ク〇ーゼを使うことが多いです)に入れ、水を底から1~2cm程度注ぎ入れて蒸し煮にします。これは本当に美味しい。
ちなみに、トウモロコシの芯は「だし」がでるので、実を外した後に利用することも多いです。これまたおすすめです。
■水か湯か、迷ってしまう筍
筍は、皆さんもご存知のように春の食材です。
これからたくさん出回ってきますね。美味しいですよ~!
それでも、美味しく茹でて食べたいですね。
もちろん、店頭には茹で筍も並ぶので、そちらを購入する方法もあります。ただ、茹で筍は特有の臭いがあるので、それを苦手とする方もいらっしゃいます。そんなときはぜひ「自分で茹でる筍(皮つきの筍)」に挑戦してみてください。臭いが気にならずに、美味しくいただけますよ。
さて、この筍。
地面の下の部分と上の部分とが両方混じるので「水? 湯? どっち?」と迷ってしまいます。
この場合は、水から茹でてください。それも、単なる水ではなく、ぬかと鷹の爪を入れた水で茹でます。
というわけで、具体的な筍の茹で方も書いておきます。
◇筍の茹で方
筍はまず、穂先を斜めに落とします。皮に縦方向に切れ目を入れます。
水、ぬか、鷹の爪を入れた大きな鍋にドーンと筍を丸ごと入れて、ひたすら茹でます。
もし、ぬかが手に入らない場合は、米の研ぎ汁や米粒そのものを入れても同様に茹でることができます。
ひたすら茹でて、竹串がすっと通るくらいまで柔らかくなったら、火を止めます。そして、そのまま放置して冷まします。
◇なぜぬかや米を入れるのか?
これも、よくいただく質問です。
でんぷん質のものは、筍の表面をしっかり覆ってくれます。そのため、筍が直接空気に触れるのを防いでくれます。
酸化せずに茹でることができる=筍の白さをキープできる
ということです。だから、米ぬかを入れたり、とぎ汁や米粒を入れて茹でるのです。
最近は、スーパーの筍売り場に小袋に入れたぬかも一緒に置いてあることがあります。販売しているところもあれば、「筍をお求めの方はひとつサービス」と表記していることもあります。
そういったスーパーを上手に利用することもおすすめです。
◇なぜ皮つきで茹でるのですか?
これも、聞かれたことがあります。
皮には、亜硫酸塩と呼ばれる成分が含まれています。この亜硫酸塩には、繊維質を柔らかくする力があります。筍は繊維の塊のようなものですから、全体的に柔らかく仕上げるのに必要です。
しかも、亜硫酸塩には酸化を防いで筍を白く仕上げる効果も期待できます。
ふたつの意味で皮つきで茹でることをベジ楽では推奨したいと思います。
■それでもお湯から茹でたい!
急いでいるときに、水から茹でるなんて悠長なことを言っていられません!
という声が聞こえてきそうです。
そうですよね。そういうときもあると思います。
ちゃっちゃと作って、パッパと食べたいときってありますよね。
それについて非難するつもりは毛頭ありません。わたしも同じように「あああっ! 急いで終わらせたい!」ということはたくさんありますから。
そんなときは、地面の下にできる野菜もお湯からさっと短時間で茹でる方法があります。
それは…
小さく切ること。
「は?」とツッコミが入りそうですが、いたって真面目な話です。
小さく切れば当然ですが、火のとおりが早くなります。早い分、湯から茹でても大丈夫になります。
切る手間さえ惜しいときは?
そんな声も聞こえてきそうですね。そんなときは、文明の利器を使いましょう。
フードプロセッサーです。
これに入れてガーッとすれば、一瞬でカット終了です。
でも、野菜の繊維方向をまるっと無視するので、煮崩れしやすくなったり、形がふぞろいだったりします。そこは時間を優先するなら、片目をつぶりましょう。
わたしがこの話をすると、多くの方が「いいんですか?」と驚かれます。
いろいろな考え方があるので、それぞれの考え方を尊重していただいて構いません。でも、「野菜を食べられないストレス」「料理していないストレス」を感じるなら、「時間を優先して丁寧に切っていないストレス」を無視してしまうのも、ありだと考えるのです。
ストレスを少なく。
心も身体もラクになる料理。
これが、ゆるベジらく膳料理の極意です。ぜひお試しを!