みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「電子レンジってどうなの?」です。
ざっくりとしたテーマですが、ベジ楽のレッスンにご参加くださった方の質問におこたえするシリーズとしてお届けします。
なお、このシリーズでは質問を随時受け付けております。気になることがあったら、ぜひお問合せください。
今回の質問の内容は、「電子レンジでチンっていけないことですか?」というものです。
どうやら世間には、電子レンジ調理をよろしくない、という雰囲気があるのでしょうか。この質問を以前からちょくちょくいただくのです。
そこで、あらためて電子レンジ調理について書いてみようと思います。
Contents
■そもそも電子レンジの仕組みとは?
理系的話になるので、正直なところ苦手分野ではあるのですが(笑)、料理は化学! と考えているので文系のわたしにも理解できる範囲でしっかり書かせていただきます。
まず、電子レンジは火を使いません。「知っています」という声が聞こえそうですが、火の代わりになるもので食品を加熱します。
火の代わりになるもの…それが「マイクロ波」です。いわゆる電波です。
このマイクロ波を食品に当てることで、食品に含まれる水分がエネルギーを得て振動します。
水分子が揺れ動く、と考えてください。
すると、水分子同士がぶつかり合うことで、熱が生まれます。つまり、電子レンジに入れた食品が温まるのは、食品の内側に含まれる水によって生まれる熱が理由です。
そして、熱を発生すると同時に水分が分離しやすくなります(揺れ動くから)。
これが電子レンジによる加熱のとても大きな特徴であり、問題点でもあります。
■電子レンジ調理の失敗をさぐる
◇でんぷんの変化に電子レンジは向いていない?
皆さんに心当たりはありませんか?
たとえば、パンや肉まんなどを電子レンジで加熱すると最初は美味しいのですが、時間がたつとパサパサして固くなってしまった、という経験が。これは、まさに電子レンジの加熱の特徴を表しています。
肉まんを電子レンジで加熱する際に、霧吹きなどで水分をプラスしてからラップフィルムで覆う方法がありますが、これは揺れ動いて分離してしまった水分を補う役割を果たしているのです。
◇酵素との相性はイマイチ?
サツマイモを例に挙げて考えてみましょう。
電子レンジで加熱したサツマイモと、蒸し器でふかしたサツマイモ。同じサツマイモですが、甘みが違うことをご存知でしょうか?
サツマイモには、「でんぷん糖化酵素」である「アミラーゼ」がたくさん含まれています。
糖化という言葉から想像できるように、多くの糖分(甘み)を生み出す酵素です。
ただ、この酵素は時間をかけてゆっくりはたらく性質があります。
先ほどから書いているように、食品内部の水分子が揺れて内部で熱が発生するのは、ごく短時間の間です。
したがって、酵素がはたらく前に加熱が終了してしまいます。だから、甘みが少ないのです。
◇電子レンジで起きるタンパク質の変化
電子レンジによる水分子の揺らぎと、それに伴う熱発生は、急速に起こります。
肉が硬くなってしまい、「ん??」と首をかしげた経験はありませんか?
これには、急速な変化が大きくかかわっています。
肉にはタンパク質繊維が含まれています。この繊維は、螺旋状の構造をしています。
急速に熱が発生すると、タンパク質の繊維が急激に収縮して螺旋がギュッと引き締まってしまいます。
これが、肉が硬くなってしまう原因です。
口当たりが悪いのも、マイクロ派による変化だと理解できると思います。
■電子レンジ調理はNGですか?
そんなことはありません。
確かにこれまでマイナス要素をあげてしまっていますが、逆にいえば、特徴がわかれば固くなることを防げるわけです。
最近はオーブン機能など便利な機能を備えているものもありますから、特徴を知って使ってはどうかな、と思います。
結論としては、「理解して使う」ことをおすすめしています。
では、ベジ楽ではどうしているの? と聞きたくなった方もいるかもしれませんね。
加熱調理という意味ではほとんど使いません。
理由は、わたしはどうも失敗してしまうことが多いからです。特徴を知っていても、です。
あまり器用ではないから、当然といえば当然なのですが、どうにも失敗率が高い気がします。そして、美味しくないものは食べたくない、と思っています。
これはほとんど信条のようなものですね。
だから、というわけではないのですが、電子レンジ調理はほぼしません。
使うのは、オーブンとしての機能がメインです。
それから、酢飯を作る際に合わせ酢を準備します。そのときに、合わせ酢の材料を入れて加熱するのに使います。
それ以外…うーん???
今のところパッと思いつかないので、その程度ですね。
ですが、先ほどから書いているようにわたしは電子レンジを使うことを否定はしません。そこは誤解をしないでくださいね。
■電子レンジ調理は危険でしょうか?
実は、この質問が本当に多いのです。
確かに、マイクロ波をあびると健康障害が起きるという説もあります。
これについては賛否両論あると思います。
わたしとしては、そういう説もある、としか言えません。医師でも研究者でもないので。
だから、健康障害が起きるという説を支持して、「電子レンジは使わない」と結論づけるのもありだと思います。
ただ、皆さんもご存知のように電子レンジはとても便利です。スピーディーに調理ができます。だから、手軽さや時短を選択したから電子レンジを使う、という選択肢もあると思います。
わたしは、そのどちらの立場でもありません。
リスクも知っているけれど、便利だから使うこともある。
でも、美味しいと思えないから、多用はしない。
これが、わたしのポジションです。
このような書き方をすると、「結局どっちにしたらいいの?」と感じるかもしれませんね。
おすすめしたい基準は「心地よさ」です。
■心地良さを大切に選んでください
これは、すべてのケースにおいてわたしが大切にしていることでもあるのですが、「心地よい状態」になるにはどちらを選ぶか、を基準にすることをおすすめしています。
食事は毎日のことです。
食べずに生きられる人はいません。だからこそ、自分の心が納得していることが大切だと思うのです。
「なんか違う」「なにかおかしい」と感じながら食べるものと、「わたしが納得して選んだもの」を食べるのとでは、身体や心に与える影響が違うと感じませんか? わたしは、絶対に違うと思うのです。
だから、電子レンジに限らず、「自分が納得できる心地良さ」を基準に選んでいただけたらな、と考えています。
そして、ベジ楽のレッスンでは皆さんが納得するのに必要な情報や説明をたーっぷりご準備しています。もちろん、こちらのブログでもどんどんご紹介していく予定ですが、レッスンでは調理前の座学で薬膳の考え方とあわせて調理のコツや化学的根拠についてもしっかりご説明させていただいております。
「気になることがある」「こんな場合はどうしたらいいの?」など、どんな些細なことでも構いませんので、ぜひお問合せくださいね。全力で皆さんの疑問に寄り添っていきます。納得できる、心地良い選択のためのお手伝いをぜひやらせてください。
ベジ楽では現在、3月の「はじめてレッスン」受講生を募集しています。これを機に、野菜についてはもちろん、調理についてもご一緒にマニアになっていきましょう。