みなさん、こんにちは。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「たけのこ」です。
先日、「茹でる」をテーマに書いたときに、軽くたけのこに触れましたが、たけのこは今!
今こそ食べたいものなので、あらためてしっかり書いてみようと思います。
というわけで、今日のテーマは「たけのこ」です。
Contents
■たけのこはどんな字を書くのか、ご存知ですか?
たけのこは漢字で書くと「筍」と書きます。
「竹かんむり」に「旬」と書きます。
「竹かんむり」については、意味を表しているととらえてください。
下の部分の「旬」。
これが、たけのこの肝です!
旬はもともと10日という意味です。つまり、たけのこは10日ほどの命ということ。美味しい期間がとても短い、ということです。
誤解がないように改めて書くと、筍という食べ物が美味しい期間が10日ほど、という意味で、1本の筍がそんなに長く保存できるわけではないですよ。
もっとも干したけのこになると話は別ですが。そもそも「干す」とう行為が保存性を高めるものですから、これは例外です。
■たけのこを買うタイミング
たけのこは、収穫してできるだけ早いタイミングで食べることをおすすめします。
掘りたてのたけのこは、お刺身で食べられるくらい柔らかくクセがありません。
しかし、時間がたつほど「えぐみ」を感じるようになります。
このえぐみの正体は、ホモゲンチジン酸とシュウ酸です。どちらも掘ってから時間が経過するにつれてドンドン増えていきます。
だから、たけのこは自分で掘るのがいちばん美味しく食べられます。…とはいえ、たけのこ堀りからスタートするのではハードルが高すぎますよね(笑)。
スーパーで購入するなら「朝採り」や「堀りたて」といった表記があるものを午前中のうちに買いましょう。これがえぐみの少ない美味しいたけのこを楽しむコツです。
なお、このホモゲンチジン酸とシュウ酸によるえぐみは、たけのこの種類が変わってもそんなに変化はありません。
たけのこの種類? と、首を傾げた方もいらっしゃるかもしれないので、続いてはたけのこの種類についてご紹介します。
■たけのこの種類
もっともたくさん出回っているのが、孟宗竹(もうそうちく)です。
鹿児島地域のものが2月ごろから出回りはじめます。5月の連休頃まで出回っています。
孟宗竹のブランドとして広く知られているのが「京たけのこ」です。京都のたけのこですね。
これは、たけのこ界のスーパースターのような存在です。その昔、わざわざお取り寄せした先輩からお裾分けをいただき、そのお値段にひっくり返るほどの衝撃を受けました。白く、柔らかで、えぐみはほぼなかったように記憶しています。
しかも、図々しい後輩だったので「ごちそうさまで~す」の一言でお礼を済ませたような記憶も。Kさん、その説はごちそうさまでした。
それから、淡竹(はちく)もよく見られるたけのこです。
淡竹が出回るのは、孟宗竹よりも少し後です。細く、味も薄め。品がある味わいです。
えぐみも本当に少ないので、苦手な方も食べやすいのではないかと思います。
真竹(まだけ)はアクが強く繊維質を強く感じるたけのこです。皮に黒っぽい斑点があるのが特徴です。
東北地方では根曲がり竹(ねまがりだけ)も多いです。細い竹のたけのこで、香りや味がとても上品で美味しいのです。これが、実はわたしのイチオシ!
福岡に暮らしていると、根曲がり竹を食べるチャンスがほぼないのが残念です。瓶詰や缶詰に加工されることも多く、東北エリアでは年間を通じて比較的購入する機会があります。実際にわたしは出張にいくたびに買って帰っていましたが、春だけではなかったように記憶しています。
■美味しいたけのこの見分け方
たけのこは、先ほど書いたように「鮮度が大切」です。だから、新鮮なもの=美味しいと考えて選びましょう。
まず、切り口(根本の部分)が瑞々しいものを撰んでください。切り口がひどく乾燥しているものや、持ってみて「あれ? 意外と軽い?」と感じるものは避けてください。
この重量に関しては、どの野菜もおおむね共通している見分け方でもあります。というのも、野菜の多くが水分を含んでいるからです。
収穫後時間がたつほど水分は抜け、その分軽くなります。
だから、鮮度のよい野菜ほど重くなる、というわけです。
それから、もうひとつ。これは、たけのこ特有の見分け方ですが、根本部分にピンク色っぽいイボイボが少ないものがおすすめです。これが少ないものが、筋っぽさがないたけのこです。
■ゆるベジらく膳料理的 たけのこの栄養①
薬膳ベースのゆるベジらく膳料理ですから、たけのこも薬膳で分析してみましょう。
たけのこは、薬膳で考えると「寒・苦」。
「寒」は身体を冷やす役割があります。と、書くと「身体に悪いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、ときと場合によっては「身体の余分な熱を取り除く」こともとても大切です。
とくにたけのこが旬を迎える春は「血が騒ぐ季節」とたとえられるように、気温の上昇と共に血が高ぶってカッカしやすくなります。そんなときに、たけのこの「寒」の性質はぴったりなのです。
たけのこには、ほかに血液を浄化する役割があります。また、尿や便の排泄をスムーズにするといった効果もあります。
冬の間、わたしたち人間はなるべきエネルギーを放出しないように過ごすようにDNAがプログラミングしています。これは、人間が動物として厳しい寒さを生き抜く知恵のようなもの。冬眠する熊を例にあげるとわかりやすいのですが、食べ物が少なく寒い時季をなるべる動かないようにエネルギーを放出しないように過ごします。
今は便利な時代で、寒い日にはストーブやエアコンが快適な空間を生み出してくれますが、それでも人間の本能的なところは変わりません。
だから、冬が終わったころの身体は放出せずしなかった老廃物までもが体内にガッツリキープされている状態です。
たけのこがもたらすスムーズな排泄は、まさに老廃物除去に効果的。デトックス効果です!
ほかにも胃腸の動きを活発にし、消化を促進する役割を果たします。さらに咳を静める効果も期待できる優れものです。
ただし、先ほど書いたように「寒」の性質なので、冷え性の方は要注意です。
木の芽やショウガ、鷹の爪など、「温」の性質をもつものと組み合わせてバランスをとってくださいね。
■ゆるベジらく膳料理的 たけのこの栄養②
現代栄養学でいうと、たけのこは食物繊維が豊富です。
食物繊維…これもまた排泄やデトックスに効果的な栄養素ですね。
現代栄養学の観点から考えると、えぐみの元であるシュウ酸についても無視できません。実はシュウ酸はカルシウムの摂取を妨げると言われています。
たけのこを食べる分、カルシウムのある食材を意識して食べてくださいね。
たとえば、若竹煮。
これは、たけのことワカメを煮たものです。実は、ワカメは比較的カルシウムの多い食材なので、シュウ酸を含むたけのことの相性が抜群です。
どちらも春に旬を迎えるから、それらを炊き合わせたのがそもそもの始まりだとは思うのですが、栄養学的にもぴったりの組み合わせです。
ほかにも、味の成分として疲労回復効果のある「アスパラギン酸」なども含まれています。ほかにグルタミン酸、チロシンなども入りますが、これらは旨味成分としても知られています。
■たけのこを上手にゆでましょう
たけのこは、茹でずには食べられません。茹で方のコツについても触れておきましょう。
といっても、ここでほとんどの内容を書いてしまったので、リンク先をご覧いただければと思います。
■たけのこの節の間にある白いものは?
これが気になる方も多いようです。
パカッと縦に包丁を入れると、節と節の間に白っぽい粉状のものが入っていることもあると思います。
これは、チロシン。
チロシンはアミノ酸の一種です。旨味を感じる素でもあります。
そして、同時に脳内物質のドーパミンを増加して、気力をアップさせる効果があることが、研究によってわかっています。
気になる方は洗い落としても構わないのですが、そのまま食べても大丈夫です。
さあ、本格的なたけのこの美味しいシーズンが始まります。
ドトックス効果の高いたけのこをぜひ召し上がってください。
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