日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「調味料のさしすせそ」です。
調味料を使わずに料理をすることは、なかなか難しいですよね。ほぼ不可能ではないかと思います。どうせ使うなら、上手につきあってほうが「オトク」です。というわけで、今日は調味料やその手順について書いてみます。ぜひ参考にしてみてください。それこそ、美味しいところ取りをしてオトクを感じていただけたら嬉しいです。
Contents
■今更ですが、調味料の「さしすせそ」を復習してみましょう
料理をに興味のある方はもちろんですが、興味関心のあまりない方も一度くらいは聞いたことがある、という言葉があります。
それが、「さしすせそ」です。

五十音ではなく、調味料を表しています。もっというと、調味料を加える順番を意味しています。
まずは、「さしすせそ」がそれぞれ何を指しているのかを取り上げます。
■調味料「さしすせそ」の意味
◇さ
「さ」は砂糖です。ここでは、上白糖、グラニュー糖、ザラメ、黒糖、きび砂糖といった、種類は関係ありません。砂糖類全般をまとめて砂糖といっています。

薬膳では砂糖はもう少し細かく分類して考えます。
上白糖は「涼・甘」で、黒糖は「温・甘」に分類されます。精製度が高い白い砂糖は身体を冷やし、精製度が低い黒い砂糖は身体を温めます。上白糖が悪くて黒糖が良い、という意味ではありません。適量とバランスが大切なのだと考えてください。
◇し
「し」は塩です。塩も精製塩や岩塩など、いろいろありますが、塩としてひとくくりにします。

塩は薬膳でいうと「寒・鹹」。人間が生命を維持するために、塩は必要です。人間だけではないですね、動物が生命活動を行うために塩は大切です。ただ、一方で摂りすぎると生活習慣病の原因になるとも言われています。厚生労働省でも1日に摂取すべき塩の量を定めています。成人男性の場合は8g、成人女性の場合は7gです。ただし、高血圧の方の場合未成年の場合などは、事情が異なります。
◇す
「す」は酢。酢は材料によって米酢、ワインビネガー、アップルビネガーに分かれますが、基本的に全部同じです。

さて、酢についてですが、先日レッスンにご参加くださった方に「米酢と穀物酢ってどう違うんですか?」と聞かれました。
穀物酢と米酢は同じものを指していることもあり、別物を指していることもあります。
ちょっと話がそれますが、米酢と穀物酢について触れておきます。
穀物酢…穀物や穀物のでんぷんを発酵させて造った酢のこと。法律で穀物の割合が決められており、1ℓの酢に対して穀物が原材料として40g以上含まれているものです。
具体的に材料として使われる穀物には、米・小麦・酒粕・大麦・ハト麦などがあります。
商品名では、『穀物酢』と書かれることが多いです。材料はわたしが近所のスーパーを見て回った範囲では(とても狭いサンプリングですが)、小麦を主たる原料にしているものが『穀物酢』として販売されていました。
米酢…穀物酢のなかでも米を原料にしているもの。米でも玄米を使っているものは「玄米酢」を呼んでいます。また、米を主原料にしている酢であっても、アルコールや糖類を添加せずに作っているものは「純米酢」といいます。
どちらが良い悪い、ということはないのですが、味が違います。
穀物酢はツーンととんがった味がします。キリッとしている酸味。一方、米酢はまろやかです。ただ、特有の臭いがあります。
わたしの場合、酢とフルーツで「フルーツビネガー」を作りたいときには穀物酢を使うことが多いです。すし酢を作る時には米酢一辺倒。このように分けています。もちろん、先ほど書いたように正誤の問題ではないので、自分の好みを見つけてみてください。
◇せ
「せ」は「せうゆ」のこと。「せうゆ?」と首を傾げる方もいるかもしれませんね。「しょうゆ」のことです。

しょうゆは、日本人のソウルフードならぬソウル調味料だと思うのですが、いかがでしょうか? レッスンでカレーを作ったことがあるのですが(スパイスだけで作りました)、ほぼ全員がしょうゆを隠し味に少量加えたもののほうが「美味しい」「好き」と答えてくださいました。
しょうゆはどこかわたしたち日本人を安心させる味や香りなのでしょう。
これまた余談ですが、1週間以上日本を離れていて(2~3日ではありません)帰国すると、空港でかすかにしょうゆの香りを感じます。わたしはこの「しょうゆ臭」で日本に帰ってきたことを実感します。皆さんはいかがですか??
なお、しょうゆは薬膳では「寒・鹹」。身体を冷やします。逆にいえば、身体にこもった余分な熱を冷ましてくれます。身体を冷やすことが悪いように考えがちですが、必ずしもそうではありません。身体の状態、季節…いろいろな要素をいっしょに考えて(感じて)、ご自身にとって心地良いバランスを考えてみてください。
◇そ
「そ」は、味噌です。原材料は大豆、麹、塩の3つで、古くから日本人が食べてきた調味料です。しょうゆよりも、造りやすいので「自家製味噌」を作っている方もいらっしゃるかもしれません。

「自分自信をほめる行為」を「手前味噌」という言葉で表現することもあります。つまり、こういった言葉が生まれるくらい味噌や、味噌を造る行為はわたしたち日本人にとって身近なものだったのでしょう。
■調味料の「さしすせそ」はどの順で加えますか?
「さしすせそ」の個々の意味はおわかりいただけたと思います。
さらに、調味するときに加える順番についてです。
必ずしもそうではないのですが(そうです! 例外もあります)、基本的にさ(砂糖)→し(塩)→す(酢)→せ(しょうゆ)→そ(味噌)の順で加えていきます。
砂糖が一番先なのは、砂糖の粒子が大きいからです。大きい分、食材にしみにくいとされます。だから、一番先に投入します。それだけではありません。砂糖には、食材を柔らかくする、というはたらきがあります。ゆるめる、と言い換えても構いません。
これまた余談ですが、「味がしみ込む」は日本語的にはNGです。よく耳にしますけれどね、正確には誤用です。「味がしみる」が正しい表現です。…と、かつて習いました。
でも、誤用して「しみ込む」と表現するケースを多々耳にしますけれども。言葉は生き物なので、たくさんの人が長く「しみ込む」と言い続けたら、誤用ではなくなるのかもしれませんね。
続いては塩を加えます。塩は砂糖よりも粒子が細かく、味がしみやすいので後から投入します。塩には砂糖とは逆に、食材を締める、というはたらきもあります。
ゆるめて締める! この流れは味つけにおいては大切です。
酢は早くから投入してしまうと、酸味が飛びます。逆にいえば、マイルドに仕上げたいなら先に投入します。
わたしは酢は「キリッ」としているほうが好みなので、後から加えることが多いのですが、特性を知っていると順番をあえて入れ替えることもできますね。
しょうゆと味噌のタイミングについては、「香り」がポイントです。これは早く入れ過ぎてしまうと、香りがとんでしまうことが多いのです。とくに味噌は独特の香りが料理の決め手になることが多いので、香りを飛ばさないように(加熱しすぎないように)することがコツです。よい例がサバの味噌煮です。味噌煮と書いてあっても、味噌でぐつぐつにてはいけません。最後にサッと加えてみてください。味噌汁も同様です。
■味つけと味見のタイミング
さて、皆さんはどのようなタイミングで「味見」をしますか?
味見をしない? それもアリです。確実に調理したい場合は、味見をすることをおすすめします。ただし、

大切なのは味見のタイミング!
調味料を投入してから最後に味見している方はいませんか? それはちょっと危険かもしれません。というのも、味付けは足し算することはできても、引き算することはほぼ不可能だからです。
皆さんの多くが、調味料本来の味を経験上ご存知だと思います。塩はどのくらい塩辛いのか、しょうゆはどの程度しょっぱいのか。
もし「あれ? どんな味だった?」と迷ってしまうようなら、日頃使っている調味料を少しだけなめてみてください。調味料は地域によっても、商品によっても味が異なります。自分が使っているものが、どのような味なのかを知っておくことは味つけのスタートラインだと思ってくださいね。
さて、味つけです。
鍋やフライパンに入っている食材に対して、どのくらいの量の調味料を加えるか、という考え方が調味の基本です。だから、まずは食材が現状どんな味(硬さ等も含めた状態)を知っていなくてはいけません。
先ほど、調味料をなめてみてください、と書きましたが、調味料を加える前の状態もやはり味を知っておかないといけません。
これが味見です!
実際にやってみると、味をつけたいもの(鍋やフライパンの中身)を確認して、記憶のなかの調味料をそれに対して加える、という流れがご理解いただけると思います。
そう、一度でもたっぷりの調味料を入れてしまうと、引き算はできません。味つけは基本的に足し算だけなのです。
調味料を加える前に味見をします。
そして、調味料を加えた後に「確認」をします。
日頃何気なくやっていることですが、もしかしたら皆さんは調味料を入れた後に「確認」だけをしているのではないでしょうか。
実は、レッスンをしていると、確認作業はしているけれど、味見はしていない、という方が意外と多いのです。
味見でご自身の調理にさらに自信を持ってくださいね。
ベジ楽のレッスンでは、こういった味見など、調理の基本的なコツについてもお話をしています。ぜひ「はじめてレッスン」でベジ楽のレッスンを「味見」してみてください。
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