日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「昆布」です。
先日、業務用の高級昆布を購入する機会を得まして(ラッキーでした!)、お買い上げ。それなりのお値段でしたが、「食べたい欲」が留まらず…お買い上げした次第です。
この昆布は、某有名お寿司屋さん等で愛用されている品でして、本当に美味しいのです。
今ベジ楽にお越しの方は料理で使っていますので、お目にかかる機会がございますよ。
絶賛昆布祭り中につき(勝手に命名)ぜひぜひお召し上がりくださいね。
Contents
■昆布はおめでたい?
昆布はお節料理の材料としても知られていますね。
昆布巻き、です。

昆布巻きは一般にニシンを使うことが多いのですが、わたしの実家では牛肉を使います。どちらも好きですが、お正月になると牛肉を使った昆布巻きを食べたくなります。こればかりは習慣というか、クセというか。食べないと物足りない気持ちになります。
さて、この昆布巻きは、名前に由来しています。
「喜ぶ」
この言葉にかけているのですね。
昆布=喜ぶ
昔の人の言葉のセンスは素敵だな、と思います。皆さんはどう感じられますか?
余談ですが、昆布の歴史はとても古いのです。
かつて秦の始皇帝が、不老長寿の薬を手に入れようと東の方面へ使いを出したとされています。実は、このときの「不老長寿の薬」こそが、「昆布」であったのではないか、という説があるくらい、歴史が古いのです。
昆布が不老長寿の薬ではないことは、現代社会を生きるわたしたちには周知の事実ですが、そう思いたくなるほど栄養のある食材であることははっきりしています。
ただ、昆布の栄養と言われても、多くの方がピンとこないかもしれませんね。
むしろ、縁起物であると同時に、日本では古くから「だし」の素材としてのほうが、身近に感じられるかもしれません。実際にこのブログを読んでくださっている方の中にも、昆布をだしとして使われている方も多くいらっしゃると思います。
そこで、栄養トークに入る前に、昆布のだしについても書きますので、おつきあいください。
■昆布のだし
ここでは、昆布のだしについて少し詳しくみてみます。
◇昆布の旨味の正体は?
昆布のだし…旨味の正体は、グルタミン酸です。昆布の表面付近に含まれている成分で、60~80度の温度で抽出されます。
「昆布を水から入れて沸騰直前に取り出して、だしをとる」という表現をレシピ本等でご覧になったことのある方も多いと思います。
この沸騰直前に、というのは、先ほど書いたように「60~80度」がもっとも旨味成分を抽出できるからです。ただ、急激に温度があがってしまうと、旨味がじゅうぶん抽出される前に水が80度を超えてしまいます。そのため、強火ではなく、火加減は弱めにしてじっくり抽出するとよいでしょう。
また、沸騰すると昆布に含まれているアルギン酸が溶け出します。これが、「粘り」のもと。だしに粘りが出てしまうので、その手前で引きあげるようにしてくださいね。
昆布の表面についた、白い粉についても触れておきましょう。
白い粉は、マンニトールと呼ばれる成分です。主に「甘み」のもとです。
この甘みも昆布の美味しさです。
白い粉を洗い流してしませんか? 美味しさを逃すもとですよ。
基本的に昆布は水で洗うと、マンニトールだけでなく旨味成分も流れてしまいます。
せっかくの昆布です! 気になる方は湿らせた布巾等でサッとふく程度に留めてくださいね。
なお、昆布と水の量の関係ですが、水の重量の2~4パーセントの重さの昆布を使う、と覚えておくと間違いありません。水1ℓに対して、昆布2~4gといったところで、「え? 意外と少ない」と思われるかもしれません。でも、弱火でじっくり加熱すればじゅうぶん旨味を抽出できますよ。
◇「弱火でじっくり」が面倒です!
急いでいるときなどは、やはり「弱火でじっくり」は面倒に感じるかもしれません。わたしも同様に感じることがあります。
そんなときに便利な裏技を。
ピッチャーなどの容器に水と昆布を入れます。それを冷蔵庫に放置。これで「昆布水」ができあがります。それをそのまま「だし」として料理に使うこともできるので、おすすめです。なお、このときに昆布はキッチンばさみで3mm幅程度にカットするといいですよ。そのまま昆布ごと料理できるので、とても便利です。
放置時間は5~6時間が目安です。必ず「冷蔵庫」に入れてくださいね。とくに夏場などは常温でおいておくと傷んでしまうので要注意です。
■ゆるベジらく膳的 昆布の栄養①
薬膳の世界では、昆布はとても優秀な食材として扱われます。すでに、実際に中国で「不老長寿の薬」として考えられていたこともあると書いたことからも、昆布がすごいと思われていたことはおわかりになると思います。
その薬膳の世界では、昆布は「寒・鹹」に分類されます。
寒は身体を冷やす。ということで、マイナスイメージを抱かれるかもしれませんが、余分な熱を発散させてくれるという意味でプラスです。身体に熱がこもっていると、便秘の原因にもなり得る、というのが薬膳の考え方なのですが、これを防ぐ力を期待できる、というわけです。
鹹は、海に関連する食べ物の多くが持っている性質です。
鹹は、腎が正常にはたらくことを助けます。腎は身体の水分のめぐりを司っています。余分な水分を排出することから、浮腫み防止に効果を発揮することが期待できます。また、中国では古くから、身体のなかにある「しこり」をほぐす力があるとされてきました。ここでいう「しこり」とは、筋腫や腫瘍を指すとされます。

■ゆるベジらく膳的 昆布の栄養②
現代栄養学の視点からいっても、昆布はとても優秀です。
まず、食物繊維がとても豊富に含まれています。薬膳の視点からも、熱を冷ますことで便秘対策になる、と書きましたが、食物繊維もまた便秘予防に役立ちます。

薬膳と現代栄養学のどちらの視点から見ても、便秘予防を期待できる、というのは嬉しいことです。とくに女性の場合、便秘は肌荒れに繋がります。さらに便秘もひどくなると、腹痛や頭痛の原因になりますから注意が必要です。
ヨウ素にも注目です。ヨウ素は海藻類だけにしか含まれません。ヨウ素は甲状腺ホルモン機能を調整したり、新陳代謝をよくしたり、子供の発育を促したりします。ただし、過剰に食べることはよくありません。
とくに甲状腺の病気によっては、ヨウ素をなるべくとらないように(あるいは完全にとってはいけない)と医師によって指導されている方もいます。そのような場合は、医師のいうことを守ってくださいね。
■だしをとった後は昆布の佃煮を!
だしをとった後の昆布についても触れましょう。
細く切って料理と一緒に食べるのもおすすめですが、ある程度の量の昆布(だしの残骸としての昆布です)がたまるまで冷凍庫に入れておき、佃煮を作るのもいいですよ。
わたしの場合、昆布をもともと小さくカットしておいてだしをとります。だからだしをとった後の昆布も小さいサイズのまま。それをそのまま密閉容器に入れていきます。密閉容器は冷凍庫のなかへ。毎日のように昆布でだしをとるので、その都度密閉容器に足していく感じです。
昆布の佃煮を作る際のコツをひとつ伝授!
少量の酢といっしょに調理してみてくださいね。酢は昆布を柔らかくするので、ぜひお試しください。
砂糖、しょうゆ等と甘辛く煮詰めて、最後に粉ガツオをさっとふります。これで特定の昆布の佃煮が完成です。ここに桜エビや松の実をプラスするのもおすすめです。

昆布はトコトン最後まで。
ぜひお試しくださいね。
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