日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「豆腐」です。

わたしたち日本人の食生活に欠かせない(と、いっても過言ではないほど身近な)食材、豆腐。今日は豆腐について考えてみます。
Contents
■そもそも豆腐ってなに?
皆さんは、日頃どのような豆腐を召しあがっていますか?
身近な食材なだけあって、それぞれこだわりがたくさんあるようです。
実際にこのブログを書くにあたって、スーパーの豆腐売り場を見てきたのですが、あまりの種類の多さにびっくりしました。いえ、日頃から豆腐は購入しているのですが、自分の好みが比較的はっきりしているので、あまり比較検討せずさっさと購入している傾向があるようです。と、改めて豆腐売り場を見ていてい気づきました。
木綿や絹ごしといった一般的なものも、枝豆を使ったものや「男●」といったネーミングセンスが光るものも(まあ、名前はあまり関係ないかもしれませんが)、大きいものも小さいものも(なかには素麺のようなものも!)あって、見ているだけで楽しめました。
まずは、豆腐とはなんぞや、というところから始めましょう。
◇材料は大豆とにがり
簡単にまとめると、
豆腐とは、豆乳ににがりを加えて固めたもの。
では、豆乳は?
豆乳は大豆から抽出した液体です。大豆を一晩水に浸した後、ミキサーで細かくします。
それに水を加えて混ぜながら煮ます。それを濾して、液体だけ取り出したものが「豆乳」です。また、豆乳を除いた後に残るものを「おから」といいます。
先ほど書いたように、豆乳ににがりを加えて固めたものが豆腐です。
にがりは、マグネシウム塩類です。
大豆たんぱくは、このマグネシウム塩類に反応して固まります。
一般に「にがり」を使うことが多いのですが、ほかにも硫酸カルシウムや塩化カルシウムにも反応して固まるので(これらをまとめてカルシウム塩類といいます)、これらが凝固剤として使われることも多いです。
表示にすると『凝固剤(にがり)』と書かれていることが多いですね。
なお、凝固剤となるマグネシウム塩類やカルシウム塩類は70度くらいまで加熱すると凝固するので、豆腐も加熱して作ります。
豆腐の種類がいろいろありますが、「豆乳を固めたもの」という基本的な部分は同じです。
ここでは、一般的によく食べられている豆腐について考えてみたいと思います。一般的…皆さんがご家庭でよく召し上がっていそうなところで、木綿豆腐と絹ごし豆腐について取り上げます。
◇木綿豆腐
木綿豆腐は、にがりを加えた豆乳を木綿の布を敷いた型に入れて固めたものです。この型には穴が開いていて、水気を切って固めます。だから、歯ごたえのしっかりした豆腐ができあがります。
白和え、煮物、炒め物など豆腐料理全般に対応できる優れものです。
◇絹ごし豆腐
絹ごし豆腐は、木綿豆腐とは異なり、水切りをしないで固めます。水切りをしない分、水分が豆腐に含まれているので柔らかい口当たりにしあがります。
冷奴やサラダなど、そのまま食べるのにぴったりです。
◇そのほかの豆腐
ソフト豆腐…木綿豆腐と同じように作ります。ただし、水切りは短時間で圧搾形成しています。
充填(じゅうてん)豆腐…絹ごしと同じ方法で作りますが、ごく低温でにがりを混ぜて型に入れます。型をフィルムラップ等で密閉した後、あらためて型ごと熱を加えて固めたものです。豆腐のなかでも比較的日持ちがするのが特徴です。
■豆腐の水切り方法
「豆腐の水切り」という言葉を聞いたことのある方もいると思います。
豆腐は水をたっぷり含んでいる食材なので、料理によってはその水気を取り除くと美味しく仕上がります。水切りといっても、いろいろな方法があるので、ここでは水切り方法について書きます。
なお、レシピ等で「水切りして●●する」という表現で書かれるような場合、木綿豆腐を指すことが多いです。
◇水切りをしない場合
水切り方法について書く、と宣言したところですが、水切り不要のケースも多々あります。
水切りを要らない豆腐料理の代表格が、冷奴です。鍋料理も味噌汁もそのままでOKです。
そのまま置いておくだけで実は水は多少切れます。冷奴を置いておくと、水が皿にたまりますよね。この水が「自然に切れた水分」です。15分ほどおくことで、約5%の水気を着れます。
◇水切りをする場合
味をしっかりキープしたいとき。加熱したいとき。
水分が邪魔なとき、です。
水切りの方法はいくつかありますが、しっかり水をシャットアウトしたいのか、軽くでいいのかによって方法が異なります。
しっかり水切りしたいとき…ちょっと時間をかけてください。およそ20分が目安です。豆腐をキッチンペーパーでしっかり包み、皿やボウルなどを重石としてのせます。このとき豆腐はまな板などの端におき、まな板の下に布巾やバットを置いて斜めになるようにします。すると重石の力で水が出て、斜めにしたまな板を伝い落ちます。これで約20%の水気が切れます。重石を豆腐を約2倍にして(ボウルなどに水をはるといいですよ)約30分おくと、50%近くの水気を切れます。時間と重さで調整してみてください。
なお、時間がないときには、キッチンペーパーで包んで電子レンジで加熱しても大丈夫です。600Wで3分を目安に加熱してみてください。
揚げだし豆腐や入り豆腐のように、しっかり固めにしあげたいときにおすすめです。
軽く水切りしたいとき…さっとゆでます。熱湯に入れて、豆腐がゆら~っと動けばそれでOKです。白和えや麻婆豆腐に使うような場合はこのくらいで大丈夫です。
■ゆるベジらく膳料理的 豆腐の栄養①
豆腐の材料は「大豆」ですが、薬膳では大豆と豆腐の性質は少しだけ分けて考えます。
大豆は「平・甘」ですが、豆腐は「涼・甘」。
やや身体を冷やす特性が加わります。冷えが気になる方は、水切りを含めいったん加熱してから召し上がるとよいでしょう。
身体の余分な熱を冷まし、うるおいをプラスするという良い面もあります。自分の身体の状態をみながら食べてくださいね。なお、うるおいをプラスすることで、喉の渇きやせきの症状緩和、母乳不足を補うといった効果を期待できます。
■ゆるベジらく膳料理的 豆腐の栄養②
現代栄養学の視点から、豆腐の栄養を考えてみましょう。
メインの栄養素として頭に浮かぶのが、タンパク質です。良質のタンパク質が多く含まれています。
わたしたち人間の生命維持にはタンパク質が欠かせません。
そして、女性の多くが「ダイエット」や「低カロリー」という言葉に敏感なのも事実です。その点、豆腐は低カロリー。
たとえば…
木綿豆腐100g=72kcal
絹ごし豆腐100g=56 kcal
和牛肩ロース100g=411 kcal
豚肉肩ロース100g=253 kcal
鶏ささみ100g=114 kcal
ざっとタンパク質と聞いて皆さんがイメージするところをあげてみました。
もちろん、カロリーだけが食べ物を選ぶうえで基準になるわけではありません。そこは誤解のないように。牛肉や豚肉、鶏肉でないと摂れない栄養素もあるので、ここで例としてあげたからといって、これらの食材を避けてください、という意味ではないので、そこは誤解しないでくだしね。
豆腐単体で食べるのもいいのですが、よく水切りした豆腐と牛ひき肉(合い挽きも可)と合わせて「豆腐ハンバーグ」にするのもおすすめです。牛肉だけのハンバーグよりもあっさりして、胃が疲れているようなときにおすすめです。ご家族が遅く帰宅して食事をするときなどにもいいですよ。
■豆腐は地域差がある食材です
ここまで豆腐について書いてきましたが、豆腐を使ったレシピをご覧になる際に皆さんに気をつけていただきたいことがひとつ。
それは…
豆腐の大きさには地域差がある!
ということ。
わたしは以前、日本各地の郷土料理を取材してレシピ化する仕事にかかわっていたことがあります。そのときに、豆腐は古くから全国的に食べられている食材だということを知りました。そして、その大きさや硬さに関してはかなり地域差がある、ということも体験しました。
同じ「豆腐1丁」でも、大きさも硬さも全く違います。
ベジ楽でも豆腐はよく使うのですが、レシピには1丁ではなく「〇〇g」と記載しています。レッスンでは「この硬さのもの」というようにお話をすることもありますが、パッケージをご覧いただいて「これを使っています」と話すことも多いです。そのほうがわかりやすいからです。
もし、皆さんがいろいろなレシピをご覧になっていて、材料に「1丁」と記載されているような場合には、「どのくらいの大きさなのだろう?」という視点を持っていると、失敗がぐーんと減ります。
わたしが取材をしていて、大きいなぁと感じた地域は、沖縄・鳥取・富山・石川・秋田です。最近は、全国展開しているような豆腐も多くあり、それは地域差というより単なる個体差になってしまうので、一概には言えません。いわゆる地元のお豆腐屋さんで扱っているものに関していえば、という注釈がつきます。
しかも、全部の地域をくまなく豆腐にフォーカスして取材しているわけではないので、「これが絶対です!」とは言い切れません。
もし皆さんがご自身の住んでいる地域や旅先で、このブログを思い出してくださることがあればぜひ「豆腐のサイズ」をチェックしてみてください。わたしの皮膚感覚では、大きい豆腐がある地域は「豆腐を使った郷土料理」が残っていることが多いです。そして、とても美味しいです。
たかが豆腐。されど豆腐。
いろいろなシチュエーションで豆腐と上手におつきあいしてみてくださいね。