日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは、「花 その2」です。前回に続いての「食べる花」についてです。
Contents
■エディブルフラワーには基準がある
前回、少し書きましたが、あらためて。

エディブルフラワーとして(つまり食用として)販売されている花には、一定の基準があります、と書きました。それについてちょっと復習を。
エディブルフラワーには基本的に必要とされている基準が2つあります。その基準とは…
1.花に毒性がないことが確認できているもの
2.食用として農水省が定めるガイドラインに沿って栽培されているもの
という2つ。
とくに大切なのは2です。エディブルフラワーのなかには、観賞用として知られている種類も多いのですが、いわゆる園芸用と食用とでは栽培方法が異なります。いえ、正確には栽培方法ではなく、
栽培する際に使用できる薬物の種類が異なります。
とくに園芸用として栽培されているものの場合、「美しく咲く」ことを目的にしていることもあり、使用できる薬剤が「食べることを目的とした花」とは異なります。
食用として販売しているものを選んでください。
ざーっくりまとめてしまえば、エディブルフラワーを購入したければ生花店ではなく、青果店へ出向きましょう、ということですね。
■エディブルフラワーの種類
エディブルフラワーは食用花の総称であって、個別名称ではありません。
たくさんの種類があります。一般的に入手しやすいものをあげてみましょう。といっても統計をとっているわけではなく、福岡に暮らすわたしが皮膚感覚で「よく見かけるなぁ」と感じるもの、です。
インパチェンス
ストック
キンギョソウ(スナップドラゴン)
トレニア
ナスタチウム(ナスタチューム)

パンジー

ビオラ

いかがでしょうか? 見かけたことがありますか?
花だけに、見た目がとても美しくきれいですよね。それぞれ味も香りも異なります。ただ、「エディブルフラワー」と書くと特別な印象を与えてしまいますが、日本の場合、菊や桜など、古くから食用として親しまれてきた花もたくさんあります。また、サフランやカモミールのようにハーブとして有名なものもありますが、これも立派な食用花です。花は食材として決して新しいわけではありません。

■エディブルフラワーの味と香り
先ほど書いた、(福岡で)よく見かけるエディブルフラワーの特徴や味についてもう少し具体的に書いていきましょう。

インパチェンス・・・ホウセンカという呼び名のほうが知っている方が多いかもしれません。実は、インパチェンスはとても種類が多く、世界的には約800を超えるともいわれています。食用にしているものはその一部ですが、八重咲きと一重のものがあります。とくに八重咲のものはボリュームがあるので、1輪で花を添えられます。6月頃から10月にかけて出回ります。
ストック・・・淡い色彩の花は、とても甘い香りがします。甘い香りなので、味もスイートなものを想像しがちですが、これが期待を裏切るスパイシーさ。ピリッとした味が新鮮です。10月ごろから3月にかけて出回ります。お花屋さんでも比較的よく見かけるので、外見はお馴染みかもしれません。ただし、先ほどから書いているように花屋で購入するものは栽培基準が食用とは異なるので、食べてはいけません。
キンギョソウ(スナップドラゴン)・・・キンギョソウも園芸用として知られています。この花の魅力は、なんといっても色が多いことです。黄色、ピンク、紫、白、ブルーと本当に多くの種類があるので、見ているだけでもウキウキします。しかも、花の形が立体的でちょっとユニークなので盛りつけたときにインパクトが大きいのです。香りも強く、甘い香りが漂います。ただ、味に関していえば、ほのかに苦味があります。見た目のかわいらしさを裏切る苦味は「目が覚める!」と感じる方も多いかもしれません。
トレニア・・・夏場はディブルフラワーの種類が減ってしまうのですが、盛夏にも元気よく咲き続ける花としてとても貴重です。「夏すみれ」とも呼ばれています。ブルー系の花がとても涼やかな印象です。また、香りがほとんどありません。香りのある料理やお菓子に使う場合、花の香りが邪魔してしまうケースもあります。しかし、トレニアならその心配がありません。味はかすかに苦味が残りますが、気になるほどではありません。
ナスタチウム(ナスタチューム)・・・日本では「金蓮花」とも呼ばれています。開花時期が5月頃から11月と長く、比較的色数が多いです。ふわ~っと柔らかな甘い香りがします。香りに反して口にすると、「ワサビ⁉」というくらいインパクトのある味がします。ただ、とても爽やかな辛味なので料理のアクセントになります。茎の部分も食べられます。
パンジー・・・ビオラよりも大きなタイプ。香りも味もクセがないので、調理しやすく食べやすいのが特徴です。エディブルフラワー初心者におすすめです。お菓子にも向いています。開花期は11月から5月頃と比較的長め。ドライタイプは周年出回っているので、手に入れやすい花でもあります。
ビオラ・・・パンジーに見た目はよく似ていますが、さらに小型です。味、香り、開花時期など、パンジーにかなり近いです。ただ、小さい分かわいいと感じるので、個人的には(あくまでもわたし自身の感想ですよ)パンジーより使いやすいです。
■エディブルフラワーの調理法と楽しみ方
エディブルフラワーの使い方にルールはありません。

と、書いてしまうと身もふたもないのですが。でも、ルールはなく、自由に使ってもらって構いません。
ただ、エディブルフラワーには、フレッシュタイプとドライタイプがあります。どちらも魅力がありますが、その区別について触れておきます。
◇フレッシュタイプ
いわゆる「生花」です。色や栄養はこちらがきれいです。
とくにエディブルフラワーの栄養素として期待できる、βカロテンやビタミンCに関してはフレッシュの方が優秀だとされています。
また、生花なので花そのものの形を立体的に楽しむことができます。この「立体的」というのが、料理の盛りつけには意外と大切。高さや奥行きがある料理は美味しそうに見えます。
◇ドライタイプ
ドライフルーツの花バージョンですね。こちらは花を押し花のようにしたものも、花びらをひとつひとつバラして販売しているケースもあります。
ドライタイプは、そのまま使うよりひと手間かけたほうがおすすめです。ハーブのように塩と混ぜると見た目も華やかです。ドレッシングなどに使うといいですね。お気に入りの茶葉があれば、混ぜてみるのもいいですよ。クッキーにトッピングして焼いてもいいのですが、熱にさほど強い食材ではないので加熱しすぎには注意が必要です。
ベジ楽では、入手できるときに使っていますが、「あしらい」として使うことが多いです。色や形の美しさやかわいらしさがディブルフラワーの最大の魅力だと思うので(これも個人的な意見ですよ)、それを損なわないように心がけています。
見た目に華やかなので、じーっと見ていて「こうしてみたい」という気持ちがムクムクわきあがってきたら、それに従ってしまうのも手。ハーブティーに浮かべたり、ケーキに添えたり。あるいは、ディップに混ぜ込んでみるのもいいですよ。クッキーに添えると、単なるおやつがちょっとしたティータイムになったりもします。
エディブルフラワーには明確なルールがありません。おすすめはありますが、制約でもないのです。だから、ぜひご自身がウキウキするような使い方をしてみてくださいね。
■エディブルフラワーの保存法
野菜と花の違いはありますが、基本的には保存方法は同じです。
野菜室で保存してください。日持ち具合も葉物の野菜とさほど変わりません。ただ、キッチンペーパーなどに水を含ませ、茎の部分を包んでおくとより長く持たせることができます。といっても、せいぜい4日程度です。早めに使ってくださいね。
製氷皿で凍らせてしまうのも手。これならフレッシュな状態でキープできます。この氷をそのまま飲み物に浮かべると(単なる水でも、もちろんOKです)、おもてなしにぴったりです。
ベジ楽のレッスンで時折登場するエディブルフラワー。興味のある方はぜひお問合せください。