日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「野菜の保存方法と食べ方のヒント」です。

Contents
■野菜のルーツは大切です⁉
わたしはレッスン中に「この野菜の原産地は…」と、野菜のルーツについてお話をすることが多いです。なぜなら、そこには野菜の保存にまつわるヒントや食べ方のヒントが隠されていることが多いからです。
野菜と野生の植物は異なります。人間の手が入り、栽培に適した種が残っています。これが野菜。
しかし、そのルーツをたどっていくと、自然界に存在するひとつの植物に行き着きます。
ルーツを知ると、その野菜が本来生き抜いてきた環境を知ることができます。その環境こそが、野菜がサバイバルしてきたもの。つまり、植物が適合してきた環境ということになります。
だからこそ、野菜のルーツを知って近い状態をつくってあげることは、野菜にとって嬉しいことなのです。わたしたち人間も同じですが、嬉しい環境にいると元気で過ごせますよね⁉ それと同じです。
ここでは、具体例をあげながらルーツと野菜の保存方法について考えてみましょう。
◇乾燥が好きな野菜
ちょうどこのブログを書いている6月頃から店頭に一気に増えるトマト。
トマトもルーツを知っていると、食べ方や選び方を工夫できる野菜のひとつです。
トマトは、中南米のアンデスの山間が原産地だと言われています。
アンデスの標高が高い位置…雨は少なく、空気はとても乾燥しています。そのため、トマトは「少しでも水を吸うチャンスがあったら逃すな!」という本能的に(という言葉が野菜に当てはまるのかなぞですが)反応します。
実際、トマトの苗木を見てみると全身に細かな産毛がいっぱい生えています。これは空気中の水分をあますところなく取り入れようと進化したためです。
だから、日本の梅雨は苦手です。水分過多になりやすく、味も水っぽくなりがちです。
もちろん、それはそれで美味しいのですが、梅雨明けのトマトとは同じ味にはなりません。農家さんのなかには、水を極限まで減らして(アンデスの環境に近づけて)トマトの味を濃くするように工夫されている方もいます。塩を少量混ぜることでさらに厳しい環境をつくる工夫をしている方も。これは「塩トマト」という商品名で販売されているので、ご覧になったり、召し上がったりしたことのある方もいらっしゃるかもしれません(美味しいですよ)。
トマトの持つ性質、その性質を知っておくと、「今のトマトは水分が多いから、加熱して食べよう」と考えることができるようになります。そして、加熱に向いている品種を選ぶこともできます(サンマルツァーノ種がこれにあたります)。反対に「水分が少ないトマトが出回っているから、そのまま食べよう」と判断することもできます。
◇水が好きな野菜
水というと語弊があるかもしれませんが、トマトとは逆に「高い湿度を好む野菜」とも言い換えられます。
たとえば…クレソン!
クレソンは水辺に生息している野草から野菜として栽培されるようになりました。原産はヨーロッパの水辺。
だから、水が大好きな野菜です。水辺に根を張ってグングン成長するので、水が近くにあって吸収しやすい環境がクレソンにとっての喜ばしいものです。
クレソンを元気のよい状態で保存するには、根に近い部分(中には根をつけた状態で販売されているものもあります)を水に浸しておくのが一番です。わたしの場合、使用済み牛乳パックにビニール袋を入れ、そこにクレソンを挿しておきます。葉の部分も乾燥が苦手なのでさらに別のビニール袋をふんわりかけて覆っておきます。これでかなり持ちます。時々水を換えますが、これも綺麗な水が大好きだからです。
そして、当然ですが、良い状態で保存したクレソンはみずみずしくシャキシャキとした歯ごたえがあります。生食が断然おすすめです。
このように野菜の原産地には、それぞれの野菜が好む環境のヒントが隠されています。そして、食べ方のヒントもあります。すべての野菜の原産地を覚える必要はありませんが、ご自身がよく召し上がる野菜、好きな野菜については知っておくと美味しく食べられます。
■畑を覗いてみるのもおすすめです
野菜の原産地と共に、畑にどのような状態で育つのかも大切です。実際に、ベジ楽のレッスンでは畑の話もたくさんします。
ベジ楽は料理教室なので、調理に関することはきちんとお話していますよ。ただ、野菜の畑での状態は保存にもかかわる大切な部分なので、やはり大切に考えています。
◇縦に置きたい野菜
畑の状態と同じように置くことは、野菜にかかるストレスを減らすことができます(野菜にストレスという言葉を使ってよいかどうかは別として)。
たとえば…人参、アスパラガスなどが当てはまります。
とくにアスパラガスは、収穫後もがんばって伸びよう伸びようとしてしまう性質があります。横に置くと、穂先をそこからぐぐっと曲げて天に向かって伸びようとします。この「穂先を90度曲げて伸びる」という行為は、アスパラガスにとってエネルギーをとても必要とします。人間もそうですが、エネルギーを使い果たすとくたびれてしまいますよね。野菜も同じです。伸びて伸びて、そしてくたびれてしまう…。これでは美味しいはずがありません。
…と、かつて取材したアスパラ農家さんに教えていただきました。
人参も同じです。畑の土のなかで下に向かって伸びています。だから、人参にとって心地良い状態は縦置きです。
これと同じように考えると、畑で縦になっている野菜は縦置きが基本であることがおかわりいただけると思います。
■省エネを目指す!
野菜の保存について考えると、どうしても「省エネ」という言葉を外せません。
先ほど書いたように、エネルギーを放出しすぎた野菜は「くたびれた状態」でもあります。
だから、できるだけエネルギーを使わない状態で保存することが大切なのです。
たとえば…大根!
大根は葉つきで販売されていることが多いです。しかし、葉っぱがついていると葉から水分がどんどん蒸散してしまいます。水分が失われるということは、スッカスカに乾燥してしまうということ。これでは美味しいはずがありません。
葉を付け根から包丁で落として、それぞれバラバラに保存することをおすすめします。
大根に限らず、葉つきのカブや人参なども同じように考えてください。
先ほどアスパラガスも、エネルギーの省エネともいいかえられますね。野菜を元気な状態でキープすることが、とても大切なのです。
■野菜は切ったほうがいい?
◇野菜は丸ごとキープが基本です
基本的に野菜はカットすると一気に味が落ち始めます。ものによっては、一気に腐りやすくもなります。
たとえば…カボチャ。
カットしなければ、1~2か月はじゅうぶん保存ができます。
夏野菜ですが、冬至に食べる理由もこの保存性の高さにあります。ところが、カットするとそこから一気に傷みやすくなります。
食べるときに切りましょう。これが、基本。
ただし、カボチャや大根は切らないと冷蔵庫の野菜室に入りません、という方もいるでしょう。あるいは、そもそも丸ごと買ってしまうと食べきれない、という方もいるでしょう。
そのような場合は、カットして断面をラップ等でしっかり覆って保存します。そして、やはり早めに食べきってください。
ただし、ジャガイモやカボチャの場合、加熱してマッシュすれば冷凍保存も可能です。
もっともジャガイモの場合は、冷凍のフライドポテトが商品として出回っていることからもわかるように、切って生の状態で冷凍保存可能です。この場合、霜にならないようにしっかり水気を拭き取ってから密閉容器に入れて保存しましょう。
◇みずみずしさキープするコツ
野菜のみずみずしさの正体は、「水分」です。適度な水分量は野菜にとって元気のバロメーター。
使いかけの野菜(切ってしまった野菜)であっても、それは変わりません。切り口がある分、水分がぬけやすいのでキッチンペーパーで包んだり、ラップを使ったりしてしっかり水分を逃さないようにしてください。
◇中途半端に残った野菜はどうしたらいい?
わたしの場合、中途半端に残った野菜はすべてまとめてタッパーウェアに入れて保存しています。ものによっては、ラップで包んでからタッパーウェアに入れて2重に包装してできるだけ鮮度を保つようにしますが、基本的には全部同じタッパーウェアにポイポイ入れていきます。
そして、早めに使う!
これに限ります。
「中途半端な野菜は使いようがない」というご相談もいただきます。たしかに丸ごと使うよりも量も少なく、形も半端な印象です。
しかし、ちゃんと使えます。ここでは、わたしがよく作る「中途半端野菜」のメニューを簡単にご紹介します。
- 味噌汁(スープ)
- チャーハン
- ドリア
- カレー
- 薬味
薬味は料理じゃない、という声が聞こえてきそうですね。
確かにそうかもしれません。ただ、香りのある野菜はとくに刻んで薬味のように使えます。冷奴にドサッとあしらってもいいですし、細かく刻んでディップに混ぜ込むのもおすすめです。
いかがでしょうか?
ちょっとしたコツで上手に野菜と付き合えます。ぜひご参考にしてくださいね。
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