日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「梅干しづくりと梅仕事」です。

Contents
■梅干しと梅仕事
アチコチで梅を見かけると、「ああ梅仕事の季節だなぁ」と思います。梅干しを仕込まれる方も多いかもしれません。
わたしは…実は仕込みません!
こういうと、たいてい「やりそうなのに」「え、やらないんですか?」と聞かれます。
実家では母が毎年毎年仕込んでいたので、その手伝いは子供の頃からやっていました。編集者としても梅仕事についてやったこともあるので、仕込めます。
実際に福岡に引っ越した最初の年につくろうと準備をしていたのです。梅も道具も準備して、「いざ!」という感じでいました。
が、しかし。
仕込みのタイミングとほぼ重なるように引越しが決まり、引っ越し準備に追われて諦めたことが。結局、その時は梅干しほど時間をかけずにつくれる梅ジュースを大慌てで仕込みました。
以来、「途中で引っ越す=モッタイナイ!」という方程式が頭に残ってしまい、やらずに過ごしています。ただ、梅干しは大好きなので、毎年美味しいものを選んで購入しています。
それとね、いい伝え(迷信)かもしれませんが、実家の母が子供の頃から「梅干しづくりは一度始めたら途絶えずやらないとよくないっていうのよ。おうちによくないことがあるとか、そういう人もいるの。それもあってやめられないわねぇ」と言っていたことも理由かもしれません。やったらやめられないって、メンドクサガリーズを自任するわたしとしてはちょっとした恐怖です(笑)。
ただ、この話は編集者だったころ、某料理研究家の先生もおっしゃっていたので梅仕事にまつわる言い伝えや教訓のようなものかもしれません。
その話を先生から伺ったとき、「あ、聞いたことあります!」と反応したら、「あらぁ、林さんはお若いのに(当時は若かったのですよ)、おもしろいことを知っているのね」と笑っていただいきました。
そのとき、カメラマンさんもまじえ、ひと通り、迷信か否かなんて話をしました。そして「毎年、繰り返している梅仕事ができない状況になること自体が不吉で、あまりよくないってことなのだろう。同じことを繰り返せるっていうのは、幸せなんだよ、という教えかもしれない」と先生と結論づけたことを覚えています。
そのような訳で、わたしは梅干しを仕込みません。ですが、梅干しは大好きです。
最近は実家のものも好きですが、直売所で購入する農家のお母さんお手製のものがお気に入りです。これがね、本当に美味しいのです。昔ながらの酸っぱくて塩気をしっかり感じるタイプです。
■梅はどんな果物ですか? 青梅で殺人事件⁉
梅はとても香りがよい果物です。バラ科の植物であることも無関係ではありません。
わたしも梅の香りは大好きですよ。皆さんは、いかがでしょうか?
ふんわりと立ち昇る梅の香りはなんともいえず、幸福度があがります。が、しかし、その香りにつられて梅をそのままガブリとかじるのはNGです。
生の青梅には、「青酸配糖体」と呼ばれる、青酸と糖が結びついた物質が含まれています。これは梅が子孫を残すために身に着けた力で、タネを保護するために自ら生み出している成分です。青酸は、人間の身体にとりこまれると呼吸困難やめまいを引き起こします。
「青酸カリ」という言葉がありますが、それほどの毒性はありません。だから、テレビのドラマのようにひと口食べて「ううううう」と唸り始め、バタンと倒れてしまうということはありません。
成人なら青梅を300個、子供でも100個が致死量とされていますから、重症に陥ることもあまり考えられません。…そもそも青梅を300個なんて食べませんよね??
ただこの青酸配糖体は、ずっと同じ量が含まれているわけではありません。先ほど書いたように、梅のタネを守るための成分なので、種がしっかり硬く成長するにつれてドンドン量が減っていきます。もっともたくさんの青酸配糖体が含まれるのは、木になったばかりの小さい梅です。この時期はタネが硬くなった実の20倍を超える青酸配糖体が含まれているというデータがあるので、気をつけてください。
■梅干しの作り方
ここではざっくりですが、梅干しの作り方についてご紹介します。もっとも各ご家庭で着けている場合は、塩の量など家庭に伝わっているレシピがあると思います。これはあくまでも作りやすい量で記載しているので参考にしてください。
減塩もよいのですが、近年は温暖化の影響で以前と同じくらい塩を減らしてしまうと、腐敗してしまうことがある、とは料理研究家の先生の弁です。温暖化が梅干しづくりにも影響するのかと、とてもビックリしたことを覚えています。
◇梅干しレシピ
梅1kg、塩200g(梅の重量の18~20%を目安に)
最低限でいえば、材料はこの2つです。
加えるなら、赤紫蘇と塩ですが、これはどちらでも構いません。
東日本は赤紫蘇を使って鮮やかに漬けることが多いですが、これも食べ慣れている方法でよいと思います。食は慣れているものが安心しますよね。
①青梅は半日ほど水に浸しておき、よく洗う(傷つけないように!)。ヘタをきれいに取る(竹串が便利です)。
※青梅を一晩水に浸しておく方もいます。
②食毒した容器に塩と梅を交互に入れ、重石(梅の重量の1.5倍を目安に)をする。
※少量ならジップロックで作る方もいます。
③重石をして1週間ほどすると水が上がってきます。これが白梅酢。もし、赤紫蘇を加えて鮮やかに仕上げたいのなら、ここで塩で揉んでアクを抜いた赤紫蘇をプラスします。
赤紫蘇は塩と同程度の量が作りやすいとされています。
赤紫蘇の20パーセントゼントの塩でぐいぐい揉みます。これを数回繰り返します。ここでしっかり揉んでおくと、アクがとれて色鮮やかに仕上がります。
揉んだ赤紫蘇に、上がってきた白梅酢を加えて赤く発色させます。この発色した梅酢を赤紫蘇ごと容器にもどします。
④紫蘇を加えたら梅雨明けまでそのまま置く。
⑤梅雨があけたら土用干し。土用干しとは、3日3晩天日に干すこと。雨に降られるのは厳禁!
⑥干した梅干しはそのまま容器に戻して完成。
時間はかかりますが、工程自体はさほど複雑でもなく、比較的作りやすい保存食です。
コツはいつくかありますが、容器の消毒をしっかりすること。そして、梅は黄色っぽく熟しているもののほうが失敗しません。香りがふわ~っと漂うになったら梅干しの仕込み時だと考えてください。青い状態で売っている梅を買ったなら、常温に置いておくと自然と熟していくので少しだけ待ちましょう。
■梅ジュースの作り方
わたしは先に書いたように梅干しは仕込みません。ですが、時折ジュースは仕込みます。ただ、今年は違う飲み物を仕込みたいので、スペースの都合等もあり(我が家は収納場所がかなり限られています)梅を断念しています。仕込みたいものについては、仕込んだ際にでもブログで書こうと思います。
ここでは青梅のジュースについてもレシピを簡単にご紹介しましょう。
◇青梅ジュースのレシピ
青梅 1kg、氷砂糖 1kg(青梅の重量と同等か、80%程度を目安に。わたしは80%で作ることが多いです)
※氷砂糖は、はちみつでも、きび砂糖でもなんでも大丈夫です。
①青梅は水で洗い、ヘタを取る。
②木べらなどで、体重をかけるようにして梅の実を少し割る。
④消毒した容器に梅と氷砂糖を交互に入れ、水気があがってくるのを待つ。
梅を割る方法ですが、「梅割り器」という道具があるらしく、それを使うと便利だと思います。が、わたしがその梅割り器を知ったのがごく最近で試したことはありません。試してみたいです!
原始的に、わたしは木べらで体重をかけるように「エイヤッ」と気合を入れて割ります。
フォークで数か所刺す方法もあります。
割ると、梅の実がパリパリとした歯ごたえを残して出来上がります。反対にフォークで刺すと梅の実がシロップを含んでふっくら(またはシワシワに)仕上がります。これは好みでどちらでもいいかなぁと思います。わたしは、ふっくらシワシワの梅よりも、パリパリが好きなので常に「パリ派」です。
また、洗った梅を凍らせておいて仕込む方法もあります。これだと早く水があがってくるので仕上がりが早くなります。
液体があがってきたら、それはもう「梅シロップ」として楽しめます。これを水や炭酸水で割れば梅ジュースです。ほかにゼリーにしたり、凍らせてシャーベットにしたりといろいろと楽しめます。
より濃度を高く、保存性を高く仕上げたいときには、梅の実を取り出してシロップだけをいったん加熱することをおすすめします。アクを取り除くと、より滑らかに仕上がります。
梅のほうが腐敗してしまう可能性が高いので、別にして保存したほうがいいとされますが、わたしは結構そのままビンの中に入れっぱなしにしてしまうことも多いです。もともと少量しかつくらないこともあり(家族が少ないうえに、味噌だのなんだの長く置いておきたいものをいろいろ作りたいので)、腐敗する前にせっせと食べ終わってしまうことも大きいかもしれません。
■梅干しや梅ジュースは自家製でないとダメですか?
そんなことはありません!
と言ってしまうと身も蓋もないのですけれども。
漬けずに買ってしまうという方法だってアリです。実際、梅干しに関してはわたしもそうしています。
仕込む量や保存場所等はどうしても家族の人数や住宅事情にも左右されるので、自分にとっての心地良いところを見つけてみていただけたら、と思います。苦行になっては美味しいものであっても、楽しめませんから。
「ねばならない」「やらないといけない」というプレッシャーから限りなく開放されてルールを減らしているのが、ゆるベジらく膳料理です。
野菜や果物にまつわるオタクトークを炸裂しているブログを今後ともよろしくお願いいたします。
ところで、ベジ楽では野菜にまつわるマニアックな情報を毎週火曜日に配信しています。
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明日は、梅干しの栄養についてお届けします。お楽しみに!