日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「サクランボ(桜桃)」です。
■サクランボはどんな果物?
サクランボは別名「桜桃」です。
桜の桃。
桜も桃も、なんともいえず心惹かれる響きです。
サクランボと桜は違います。桃とも違います。ですが、桜にも桃にも関係があります。
なぜなら、すべてバラ科の植物だからです。
香りがよいのも、色鮮やかなのも、バラのお仲間だと聞くと納得しますね。
サクランボの原産地は、イランやイスタンブール、トルコだと言われています。トルコからギリシアを経てヨーロッパに伝わりました。
日本には明治時代のはじめにやってきました。日本でのおもな産地は山形県です。
■サクランボは赤いルビー?
サクランボは「赤いルビー」と表現されることも多いです。
なぜか?
それは、やはり高価だから。
では、サクランボが高価な理由をご存知でしょうか?
実は、サクランボは栽培にとても手間がかかるのです。サクランボは品種によって、同じ木で受粉できるものと、別の木の花と受粉しなくてはいけないものとがあります。しかも、その木は異なる品種でなくてはなりません。さらに、品種によっては相性が悪く受粉に至らないケースもあります。
この異なる品種同士でないと受粉しないことを、農業では「自家不親和性」と呼びます。
つまり、農家さんは複数の品種を受粉のために栽培する必要があるのです。
なお、「受粉」と「授粉」の違いについても触れておきましょう。
植物の雌しべに、昆虫などの力を借りて自然に花粉が触れるのが「受粉」。
ただ、農業では昆虫のお手伝いをじーっと待つわけにはいきませんから、人が雌しべに花粉をつけいく作業をすることがあります。これが、「人工授粉」。つまり、人の手を経て行うので「授粉」。細かいようですが(相変わらずマニアックですが)、大きな違いです。
さらに、サクランボは傷つきやすいこともあり、収穫まで手が抜けません。
「木の大きさに対して実が小さいから、どうしても大変」とは、かつて取材したサクランボ農家さんのコメント。木を見上げたときに、なるほどなぁと思った記憶があります。
さらに、サクランボは日持ちがしない果物でもあります。収穫後、短時間で運搬し、販売しなくてはいけません。
だから、収穫時期の農家さんは休むどころか、寝る時間を惜しんで作業されています。お値段が上がるのも納得です。
■サクランボの品種
サクランボは大きく3つの種類に分けることができます。
- 甘果桜桃(かんかおうとう)=別名「西洋実桜」
- 酸果桜桃(さんかおうとう)=別名「スミノミザクラ」
- 中国桜桃(ちゅうごくおうとう)=別名「シナノミザクラ」
甘果桜桃は、いわゆる甘いサクランボです。「佐藤錦」がこれにあたります。
ほかにも「ナポレオン」「紅秀峰」などが仲間としてあげられます。日本の栽培品種として比較的メジャーなタイプです。
酸果桜桃は、酸味の強いタイプです。サワーチェリーとも呼ばれています。ヨーロッパで盛んに栽培されているもので、おもに加工用。ジャムやケーキに使われることが多いです。
中国桜桃は、庭木として見ることができます。栽培は簡単ですが、かなり小粒。皆さんがイメージするサクランボとはちょっと違うかもしれません。でも、わたしはこのタイプのサクランボで作るジャムが好きです。美味しいですよ。
■サクランボの旬
サクランボは旬のとても短い果物です。
旬は5月から7月にかけて。この時期を逃すとフレッシュなものは食べられません。
缶詰は出回っていますが、味も食感も全く異なるので別物と考えます(個人的な意見です)。
さらにいうと、購入後は日持ちがしないので早く食べたほうがよいです。
となると、サクランボはダッシュで食べるべき!
見かけたら即買い! 買ったら即食べ!
これがサクランボとの美味しい付き合い方です。
ただし、サクランボは食べすぎるとアレルギーを引き起こす可能性がる、というデータもあります。食べすぎには注意してくださいね。
もっともサクランボに限らず、ひとつの食品を極端に多く食べることをわたしはおすすめしません。たとえ、その食品が身体によいものであったとしても、バランスが悪いと感じるからです。
それに、食いしん坊的発想ですが1日に3回しかない食事のチャンスをひとつの食品だけで終えるのは惜しい! いろいろ食べたい!
だから、ベジ楽のワンプレートは15種類以上の野菜を使うのです。なぜなら、わたし自身の「いろいろ食べたい」という食いしん坊欲求を満たしたいから。そして、どうせ作って食べるなら美味しい野菜や果物を選んで食べたいから、です。
■ゆるベジらく膳料理的 サクランボの栄養②
薬膳的にいうと、サクランボは「温・甘」に分類されます。
温は身体を温める作用があります。冷え性さんにおすすめです。
とくにサクランボの出回る時期は、冷房が稼働し始めるころ。クーラーの冷気で冷えてしあった身体には嬉しい効果です。
甘は胃腸が健やかにはたらくことをサポートします。「気」を補うはたらきもあります。
この場合の「気」は、元気やエネルギーというようにとらえてください。決してスピリチュアルなものではありません。ポジティブなパワーと言い換えても構いません。
あ、スピリチュアルなものを否定しているのではなく、薬膳の世界では気は命のエネルギーをさしますよ、という意味です。
気が補われて、胃腸が健やかにはたらくと、身体の冷えが解消されます。そのためサクランボは、薬膳では冷え性や疲労回復に効果を期待できると考えます。
また、湿度が高いときにおこる浮腫みや関節のこわばりを改善することも。そう、サクランボが旬を迎えるのは、折しも梅雨時。わたしたち日本人が浮腫みやすい季節と重なります。
ひと粒ひと粒がとても小さいサクランボですが、なかなかの実力者ならぬ実力果物です。
■美味しいサクランボの見分け方
赤いルビーとも称されるサクランボです。
せっかく購入するのなら、美味しいものを選びましょう。そして、前述したとおり買ったらすぐに食べましょう。
基本的に他の果物と選ぶ際にチェックしたいところと変わりません。
- 表面にハリとツヤがあるもの
- 色が鮮やかなもの
この2つはまず外せません。
それから、傷がついていないことも大切です。わずかな傷でもそこから傷みが進んでしまうので要注意です。
ただ、わたしは自分が食べるときには値引きされたもの(鮮度が落ちたもの)を買うこともあります。これは、サクランボに限らず、いろいろな野菜や果物でやります。
ワゴンセールのように置かれた野菜や果物を見ていて「このまま捨てられちゃうのかな」と感じると、農家さんはそういうつもりで栽培していないよね、と思うからです。そして、「○○すれば、まだ美味しく食べられるな」と判断した場合は、わたしだけのランチ用に連れて帰ることもあります。
自然のなかで工夫を凝らして農作物を育ててくださる農家さんへの応援の一票の意味をこめて。実は、わたしのテーマのなかに「食べ支える」というものがあるからです。
残念ながら、わたしには農作物を育てる才能はないので、せめて食べることで農家さんへの尊敬の念と感謝の気持ちを伝えたいからです。
皆さんにも、同じように「残念なサクランボを購入してください」というつもりは毛頭ないのですよ。そこは、誤解をしないでくださいね。
ただ、購入するならご自身の目でチェックして、納得のいくものを選んでくださいね。なにしろ、赤いルビーですから。
さて、ベジ楽ではブログに書かれいるような野菜や食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2019年7月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。

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