日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「スモモ」です。
Contents
■スモモは旅好き&出戻りです
スモモはバラ科の植物です。
中国で生まれた「日本スモモ」と、ヨーロッパコーカサス地方で生まれた「西洋スモモ」の大きく2種類があります。
日本と名前がついていることからもわかるように、日本には中国生まれの「日本スモモ」が入ってきました。その歴史は古く、奈良時代には伝えられていた、という記録が残っています。「はたんきょう」とも言います。
ただ、スモモは旅が大好きな果物です。
日本で旅を終えるのではなく、今度はアメリカへと渡っていきます。それが明治時代のこと。
アメリカでもいたく気に入られ、品種改良されました。それが今度は再び日本へ出戻りです。ふたたび入ってきたのは、ソルダムやケーシーといった品種です。しかも、名前までちゃーんと変えて戻ってきました。これが「プラム」です。
日本スモモ(中国)→日本スモモ(日本)→プラム(アメリカ)→プラム(日本)
元は同じ果物ですが、名称が変わり品種が変わっているので、多くの人が「同じ?」「違う?」と混同しやすくなっているのでしょう。
なお、「西洋スモモ」と呼ばれたヨーロッパ生まれのものは、「プルーン」として広まっています。日本では、生のプルーンも出回りますが(長野県産が多いです)、乾燥させたドライフルーツとしてのほうが一般的です。
■アンズは別物?
スモモ、プラム、プルーン…ときたら、「アンズは?」という声も聞こえそうです。
アンズ=杏
これは、スモモやプラムとは別の果物です。
ただし、同じバラ科の植物なので、種の形状がとても似ていますし、果物としての形状もかなり近いです。同じバラ科でもイチゴになるとかなり違いがあるので、混同されることはないのですが、かなり近いところにいます。
そのため、プラムとアンズを交配した「プラムコット」という品種もあります。
野菜や果物には、種は異なるけれどもかなり近いから交配できるものがいくつかあります。
たとえば…先日ブログで紹介した紫蘇とエゴマがそうです。シシトウとトウガラシも同じように交配します。
ただ、アンズとスモモ(プラムやプルーン)が同じか、否か、という話であるなら「別物です!」となります。
■ゆるベジらく膳料理的 スモモの栄養①
スモモであっても、プラムであっても、基本的に薬膳では栄養を同じように考えます。
ここでは「スモモ」を例にあげて細かく説明します。
薬膳での分類は、「平・酸」です。なかには「平・酸甘」に分類しているものもあります。
平は身体を温めるわけでもなく、冷ますわけでもありません。いろいろな体質の方が取り入れやすい性質です。
酸は、身体をひきしめる働きがあります。この場合の引き締めるというのは、単に筋肉を硬くするということではなく、汗腺を収斂して発汗を抑えるという意味も含みます。また、下痢や頻尿もキュッと引き締めることで、症状や頻度を抑えることができます。
また、唾液の分泌を促す性質がある、とされています。
さらに「肝」や「腎」が健全な状態をキープできるように働きかけるのも嬉しいですね。
肝は血の貯蔵や気のめぐりを司っています。そこが元気がよいと、しっかり血を貯蔵した後に全身に気をめぐらせるのに役立ちます。気がスムーズにめぐると、イライラを解消してくれることも。
また、腎に関しては水分に代謝に関係しています。そのため、腎が健全なときは水のめぐりがスムーズです。
ところで、薬膳でよく登場する「めぐり」という単語ですが、これは身体のなかにゆきわたる、満ちる、という意味合いです。めぐりがよくなると全身に、水や気などがゆきわたり、なおかつ余分なものは排出する、というよい流れが生まれます。
話を戻して、水のめぐりをよくする腎を健全な状態にしてくれるということから、浮腫みの解消を期待することもできます。
ほかには身体の余分な熱を冷ますこともできる果物です。
■ゆるベジらく膳料理的 スモモの栄養②
現代栄養学の視点からいえば、スモモに含まれているクエン酸に注目です。
クエン酸はいわゆる、疲労回復成分。疲れた時にスモモの爽やかな味と香りも手伝って、ほっとできます。
さらに、ビタミンAや鉄分、葉酸が含まれています。これらの成分は貧血にぴったりです。とくに女性の場合、月経時に貧血を起こしやすい方も多いのですが、その対策にもぴったりです。月経で身体が辛いときであっても、スモモなら香りや爽やかな味も手伝って食べやすいのではないでしょうか。ぜひ、試してみてくださいね。
また、食物繊維も含まれているので、お腹をスッキリさせたい方にもおすすめです。
■美味しいスモモの見分け方
いくつかポイントはありますが、表面にハリとツヤがあるものがおすすめです。
色も注目して選びたいところですが、品種によって色が異なるので、「赤いからよい」というわけではありません。
むしろ、色を見る場合、全体に色にムラがないかどうかをチェックしてみてください。
いびつにゆがんだものより、きれいな球形を描いているものがいいですね。
ところで、表面に白っぽい粉がついているような状態のスモモを見たことがありますか? この粉っぽいものは、ブルームと呼びます。
時折、キュウリ等でも見ることができるので、レッスンにご参加くださった方から質問を受けるのですが、これは身体に悪いものではありません。ましてや農薬ではありません。
ブルームは、植物が自分自身を守るために自ら分泌しているものです。病気等にかからず、種を残して子孫を生み出すことが、植物にとって大切なミッションです。だから、そのためにブルームを分泌するのです。
ただし、このブルームは収穫後時間が経つにつれてとれてしまいます。本来ブルームがある品種なら、ブルームが残っているものほど新鮮です。
■スモモをどう食べますか?
スモモは本来、フレッシュな状態で食べるのがおすすめです。これがとても爽やかで美味しい!
わたしは大好きです。もういくつでも食べられます。
ただ、たまに「あ、まだ酸っぱい!」というスモモに当たってしまうこともあります。皆さんにも経験があるのではないでしょうか?
そのようなときは、追熟させます。追熟とは、しばらくおいておき熟すのを待つということ。メロンでもアボカドでも同じようなことをすることがあります。最近は、ちゃんと見分けられるようになってきたので、「あ、酸っぱい!」となることも激減していますが。
ここでは、生でかじるだけではないスモモの食べ方についてご紹介します。
◇ジャム
まずはジャム!
これが、(わたしのなかでは)一番スタンダードです。
スモモと砂糖(好みのもので構いません。量はスモモの50%程度の重量を目安に)を煮詰めていき、最後にレモン果汁少々を加えるだけ。
基本的にジャムの作り方といわれるもので、簡単に作れます。
ジャムを通るときに、「焦げないように」ということばかりを心配してつい弱火で加熱してしまうという方もいるかもしれません。しかし、ジャムはある程度火力をあげてガーッと煮詰めないと綺麗な色が出ません。ぜひ、スモモの色を生かすためにも、強めの中火で加熱していきましょう。
◇ドレッシング
スモモの爽やかさを生かすなら、断然ドレッシングがおすすめです。
ハチミツと塩、オリーブオイルをさささっと混ぜるだけの簡単レシピなのですが、これが色も香りも抜群です!
ほかにもご紹介したいレシピがあるのですが、それはまた近くご案内します。