日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「桃」です。

Contents
■桃は魔除けになる⁉
桃は中国が原産の果物です。
中国からヨーロッパ、そしてアメリカ大陸へと伝わりました。
日本には、中国から朝鮮半島を経由して入ってきました。実は、その歴史はとても古く、すでに平安時代には日本に入ってきており、貴族たちの贅沢な水菓子として重用されていました。
庶民にはなかなか縁遠いものだったようです。今も、やはり果物のなかでは高価ですね。
わたしは「お高いから外せない! 絶対美味しいものを買う!」と決意して臨むものです。大げさに聞こえますか? でも、そのくらい桃を買うときは真剣です!
古代中国では、桃の生命力にあやかって「長寿の果物」として大切に食べられてきました。
この長寿の感覚やめでたいという感覚は、日本では桃の節句として広まっていますね。また、桃の節句で用いられる桃には、「魔除け」という意味合いもあります。
どちらにしても、桃にはわたしたち人間を惹きつける力があるようです。神秘的なものを感じさせる力がある、とも言い換えても構いません。
■桃は薬になる⁉
神秘的な力だけでなく、桃は実際に薬として扱われていました。
それも、果肉だけでなく、種や皮も漢方薬に用いられています。
たとえば種。これは、「桃仁(とうにん)」と呼ばれています。
桃仁には血行をよくする力があり、漢方薬の成分として使われています。女性ホルモンのバランスを整えることでも知られています。とくに肩こりや頭痛によいとされる「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」には欠かせません。
蕾や花は、「白桃花(はくとうか)」と呼ばれています。この白桃花は、浮腫みや便秘に効果があるとされます。
葉は、皮膚を整える力があるため、湿疹やあせもに効くとされています。また、頭痛や神経痛にもよいとされます。
日本でも入浴剤として桃の葉が使われることが多いので、イメージしやすいかもしれませんね。
このように桃は、捨てるところがなく、薬として使われている果物です。
古来より人々が桃の神秘性を感じていたことと、桃の薬としての薬効の高さは無関係ではないでしょう。
■ゆるベジらく膳料理的 桃の栄養①
薬膳では桃を「温・甘」に分類します。
果物は「涼」や「平」に分類されるものが多いのですが、桃は珍しいことに「温」に分類されます。
温は身体を温める力があるということ。身体を内側から温めることで、胃腸の動きをスムーズにしてくれます。さらに、温まることで血行を促進します。血液のめぐりがよくなると、肩こり解消に繋がります。
甘もまた、胃腸のはたらきをスムーズにする性質を意味します。さらに、筋肉や精神を緊張から解放してくれます。ゆるめる、とも言います。リラックス効果があることを意味します。
味の性質という意味での「甘」ですが、桃の香りはリラックス効果がありますね。あの甘い香りはなんともいえません。
桃は、わたしたち人間を潤す効果もあります。
暑い季節には、汗などで身体の水分は失われがちです。そこに果汁たっぷりの桃…想像するだけで潤いますね。
現実的なところでいうと、腸が潤うと便秘の解消にも役立ちます。それだけではありません。便秘が解消されると、肌荒れも解消! これってすごいことですよ。
美味しいうえに、身体が喜ぶ。桃、万歳!
しかも、夏は冷房で乾燥が気になる方も多いです。しかも、冷房は冷えも誘発。先ほど書いたように桃は身体を温める力があるので、冷え対策としても。
さあ、これが桃を食べたい第一の理由です。納得いただけたでしょうか?
■ゆるベジらく膳料理的 桃の栄養②
現代栄養学の視点からも桃をみてみましょう。
桃は食物繊維が含まれています。食物繊維はおなかをスッキリさせる効果を期待できます。
これは、薬膳的視点から見た場合とも重なるのですが、便秘解消はそのまま肌荒れ解消にも繋がります。すごいことです!
さらに、カテキンが含まれています。
カテキンはポリフェノールの一種で、いわゆる抗酸化物質です。身体が酸化する(錆びる)のを防ぐこともあり、極端な書き方をすれば「老化防止」に一役買います。
ナイアシンにも注目です。
ナイアシンはビタミンBの一種で、糖質・脂質・タンパク質の代謝に必要な栄養素です。糖質や脂質がしっかり代謝されないと、いろいろな形で身体に不具合が生じます。それこそ生活習慣病の原因にもなるので、身体に上手に取り入れていきたいですね。
食物繊維といい、カテキンやナイアシンといい、現代栄養学的にも桃を食べたい第二の理由もおわかりいただけたと思います。
■美味しい桃の見分け方
どうせ食べるなら、当然ですが美味しい桃を選びたいですね。
桃は果物のなかでも群を抜いて傷みやすいのが特徴です(いやな特徴ですが)。強く触っただけで変色してしまいますし、味も落ちます。取り扱いには十分気をつけましょう。
全体に産毛がキレイに生えそろっている子が美味しいです。さらに、色については品種によって異なるので一概にピンクがよい、白がよい、とは言いにくいのが現状です。
しかし、どの色であってもムラはないに越したことはありません。全体にきれいに発色しているものを選びましょう。一部が緑色だったり、白っぽいものは未熟の可能性が高いです。
万一、未熟なものを買ってしまったら(複数の桃が入っているケースで購入した場合、未熟のものが混じっていることもあります)、追熟してください。「追熟(ついじゅく)」とは、すぐに食べずに熟すのを待つことをいいます。桃以外だと、アボカドなども追熟させて食べるといいですよ。
また、桃は完熟に近づくにつれて甘い香りを放ちます。店舗等で怪しまれない程度に鼻をクンクンさせてみてください。ふわっと香ったら、「食べごろサイン」が出ていると判断しましょう。
なお、桃は外部からの衝撃にも弱いです。
買った後、エコバッグなどにガサッと放り込んでしまってはいけません。お恥ずかしいのですが、経験者です。
大丈夫だろうと一番上にのせたつもりですが、自転車のかごにのせて移動中にゴロンと転がり、桃が入っていた小さい箱から飛び出しました。エコバッグの底に入れていた牛乳パックの角にあたり、一部が見事につぶれてしまいました。
桃は決して安価な果物ではありません。買ったら、最後のひと口まで全力で食べましょう!
美味しい桃は、ジューシーで香りもよく、なにより幸せな気分になれます。
ぜひ召し上がってくださいね。
■桃は冷やしすぎに注意しましょう
桃は冷えすぎると、甘みをじゅうぶんに感じられません。これは、スイカやメロンなど他の果物でも同じなのですが、冷やしすぎないようにしましょう。
食べる前の1時間前後に冷やせばじゅうぶんだといわれています。
炭酸飲料水がぬるくなると、冷たいときに飲むよりもぐっと甘く感じるのと同じ原理です。わたしたち人間の舌は、甘みに対する感度は冷たいと鈍くなります。
■桃の美味しい食べ方
未熟な桃は、加熱してデザートとして食べるのもおすすめです。
ローズティーと一緒にサッと煮ると美味しく、上品なデザートです。そのままでは甘みが足りないので、砂糖類を入れるといいですよ。
ふつうの紅茶でも美味しいのですが、同じバラ科のローズと組み合わせるとふわ~っと立ちのぼる香りも素晴らしく、うっとりします。わたしは密かに(と、書いている時点でまったく密かではなくなりますが)『女王のデザート』と呼んでいます。
ぜひ、女王さま気分で楽しんでください。
そうはいっても、わたしは桃のタブーとされている食べ方も大好きです。
1.未熟の桃をかじる
2.しっかり冷やして食べる
この2つです。
未熟の桃はとてもかたく、カチッとした歯ごたえがあります。とても爽やかで、これはこれで美味しいのです。とくに運動をした後、わたしは歯ごたえのある桃をキンキンに冷やして食べるのが昔から大好きです。
今、手首のリハビリを兼ねて運動をしているのですが(そうはいってもサボり気味)、練習前に冷やしておき、帰宅後ガブリとやるのがわたしの桃シーズン限定のお楽しみです。よかったら、皆さんもお試しください。美味しいですよ♪
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