日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「オクラ」です。

Contents
■オクラはどんな野菜でしょう?
オクラの原産地は、アフリカ大陸です。エジプトでは2,000年以上も前から栽培されていました。
オクラは英語の「okra」が語源です。そのまんま、でもあるのですけれど。
和名はアメリカネリです。「陸蓮根(おかれんこん)」とも呼ばれています。
世界的に広まったのは、西アフリカから奴隷として人々がアメリカ大陸に移住させられたことがきっかけであったと考えられます。皮肉なものです。わたしたちが美味しいものを享受できるきっかけが、奴隷制度という悲しい歴史から生まれているのですから。
日本に伝わってきたのは、幕末のころ。全国的に今のように食べられるようになったのは、比較的新しいと言われています。その理由は、オクラがアフリカを原産としていることからもわかるように、暑さに強い野菜です。逆の言い方をすると、ある程度温かくないと栽培が難しいのです。
そのため、当時はあまり栽培エリアが拡大されることなく広く知られないままになっていました。
現在でも、鹿児島県、高知県、沖縄県など日本の温暖な地域が主な産地です。
■オクラをゆでるのはマニアック?
日本では「オクラ=茹でて食べる」という方程式が成り立っているように感じます。
もちろん、茹でて食べると美味しいですよね。
ただ、世界的には茹でる方法はメジャーではありません。
「煮る」がメジャーです。
とくにアメリカの南部ではオクラを煮込んだシチュー「ガンボ」が有名。このシチューは独特のとろみがあります。このとろみは、オクラが生み出しているもの。
わたしが初めてガンボを知ったのは、『風と共に去りぬ』です。
当時、まだ10代だったわたしは、小説の中に登場するガンボやグレービーソースのかかったマッシュポテト、南部のフライドチキン、ベニエ、グリッツなどなど…たくさんの料理をあれこれ想像しては「食べたいなぁ」と切実に思っていました。
自他ともに認める食いしん坊のわたし、その後アルバイト代を資金に(足りなくて親にもちょっと借金して…あ、借金は返済済みですよ、もちろん)、ひとりアメリカ南部を旅しました。
実際に食べたものも、ビンボー旅行だったので高級レストランでチャレンジするのは諦めたものありますが、スパイシーなガンボはしっかり味わってきました。
当時は野菜の知識がかなり乏しく、オクラとアフリカが結びついていなかったので歴史まで心を馳せることはなかったのですが、今はちょっと違います。
小説によると、ガンボはいわゆるアッパーでもある白人たちが食べていました。でも、その材料は奴隷であるアフリカ人が入れたもの。当時の白人はさげずんでいた人たちが持ち込んだオクラを喜んで食べていたのだろうと思うと、なんだかとても皮肉めいたものを感じます。
ともあれ、煮込み料理が世界的スタンダードなことはおわかりいただけと思います。
結論としては、わたしは茹でても煮てもオクラが好き。美味しいです。
■茹でる際の注意事項
オクラは中が空洞になっている野菜です。種が入っていますが、空間があります。
レッスンで拝見していると、いつものクセでがくあたりをバサッと切り落として空洞部分が見えるようにして茹でようとする方が必ずいらっしゃいます。
それ、やめましょう!
オクラは空洞部分をさらした状態で茹でると、中に水が入って水っぽくゆであがってしまいます。
さらにいうと、切り落としている部分も食べられますから! 食べてください! 食べましょう!
オクラはがくにそって切り落とせばそれで大丈夫。もったいなから、食べられる部分はそのままたべてくださいね。
丸ごと調理せず、ガンボのように煮てしまうなら最初からカットしてしまっても構わないのですが、それでも大きく切り落とすことは避けてください。もったいないです!
■ゆるベジらく膳的 オクラの栄養①
オクラは薬膳で分類してみると、「寒・甘」です。
暑い地域で育った野菜が、身体を冷やす「寒」の性質があるのは、自然がわたしたちに必要なものを用意してくれているのだな、と感じさせます。
甘は胃腸をいたわる力があることを意味します。
また、腎が健全にはたらくことをサポートします。腎は水分代謝にかかわるので、水のめぐりをよくしてくれます。浮腫みが気になる方にはうれしい野菜です。
■ゆるベジらく膳料理的 オクラの栄養②
オクラの栄養を語るときに、外せないのが「ネバネバ」です。
このネバネバ成分は、ムチンやペクチンと記載されていることが多いです。
実はムチンについては、誤りではないかという説も。
わたしはその説を信じているのですが、もう少し詳しく書いていきましょう。
そもそもムチンとは、動物性の粘膜であるとされています。
そう、ここで疑問がわくのです。「オクラって野菜だから、植物でしょう?」と。そうなのです、ムチンとは本来「mucus」で、これは「動物性粘液」のこと。
ムチンに含まれているアミノ糖は、植物にはほとんど含まれません。だから、ネバネバの正体は本来、ムチンではない、ということになります。
明治大正の頃に発表された論文に書かれていたものが、今もそのまま残っているという記述を読んだことがあります。おそらく、そういうことなのでしょう。
ただ、栄養学の世界は日進月歩です。日々、いろいろな研究がなされ、いろいろな学説が登場します。わたしも吸収することを意識していますが、数年後にこのブログを読んで「ああ、あの頃はそうだったよね」と思わないとも限りません。
◇オクラのネバネバの正体は?
ムチンではないとすると、何なのか。
気になるところでしょう。
ネバネバは、実は単一ではなくいろいろなものが複雑に組成しているものです。糖たんぱく質、ペクチン、ガラクタンなどなど。
実は、そのすべてが解明されているわけではないのです。
確実にネバネバの構成要素で、なおかつ量が多いのは「ペクチン」です。
ペクチンとは、水溶性食物繊維の一種です。植物の水分をキープし、固さや柔らかさに関係する成分でもあります。
だから、オクラに限らず、熟した果実にも含まれています。ジャムを作ったときにジャムがゲル化(トゥルッとすること)するのに役立つ成分です。
食物繊維の一種なので、当然ですが整腸作用を期待できます。
ただ、そのほかの細かな部分についてはいまだ解明されていない、というのが本当のところです。
■オクラは花も美味しい⁉
オクラは、アオイ科トロロアオイ属です。ハイビスカスの仲間で、ハイビスカスのようなきれいな花を咲かせます。
この仲間というのは、植物学上の「科」ですね。つまり、オクラとハイビスカスは同じアオイ科である、という意味です。
オクラとハイビスカスに限らず、植物や野菜を知る上で「科」を知ることはとても大切です。根本的な性質に共通点があるという証拠でもあるからです。
茹でて酢の物にするのが、わたしのおすすめですが、ゆでるときれいな花から粘りが生まれます。「おお、ちゃんとオクラだ」と実感できておすすめです。
8月にうまく入手できたら、参加してくださる方に召し上がっていただきたいです。本当に美味しいのですよ。
■美味しいオクラの見分け方
オクラは色が鮮やかなものを選びましょう。新鮮なものは、がくも綺麗についています。
そして、産毛で均等に密集しています。
これが、鮮度が落ちると産毛がまばらになり、角の部分が黒ずんできます。
産毛は気になる場合にだけ、塩でこするといいですよ。気にならないような場合はそのまま調理しても大丈夫です。わたしは、さっと焼くような場合は焼いているうちに産毛が気にならなくなるので、そのまま調理しています。
オクラの場合、熟しすぎているものは要注意です。種が硬く、そして苦く変化していきます。さらに、縦に走る繊維がとても硬く、口にあたるようになります。
あまり巨大化しているものなどは避けてくださいね。
■オクラの品種
一般的な五角形のタイプに加え、角のない「丸オクラ」と呼ばれる品種もよく見かけます。
丸オクラのほうが若干柔らかいです。わたしのイチオシはこの丸オクラ。
また、品種名は「ベニー」や「レッドサン」と記載されているのが、赤いオクラです。「赤オクラ」と呼ばれています。
加熱すると赤い色がキレイな緑色に変化します。色を楽しみたいなら、生食をおすすめします。小さい状態で収穫しているものは、柔らかくそのまま食べても美味しいですよ。
ひと手間かけるなら、ピクルスが断然おすすめです! ぜひお試しください。
さて、ベジ楽ではブログに書かれいるような野菜や食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2019年7月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。
