日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「バジル」です。

Contents
■バジルは王様?
そもそも、バジルは野菜か、という疑問もあるかと思います。
そうですね、一般には「ハーブ」に分類されます。
ハーブとは、手元にある『調理事典』によると「香草。高い香りと独特の風味を持つ草類のこと。」と表記されています(細かくはもっと書いてありますが、ざっくりまとめるとこんな感じです)。
爽やかな芳香が特徴的なバジルは、紫蘇の仲間です。柔らかなグリーンの葉が、なんともいえず爽やかで、ベジ楽のレッスンにご参加くださる方のなかにも「大好きです!」とおっしゃる方が大勢いらっしゃいます。
バジルの原産地はインドやその周辺だと言われています。
暑い地方の植物なので、日本の夏にも対応できる強さがあります。プランターでの栽培にもじゅうぶんに耐えられます。びっくりするくらい、わさわさ伸びます。
ちなみに「バジル(Basil)」は英語です。イタリア料理でよく使われるので、皆さんにイタリアのイメージがあると思います。イタリア語では「バジリコ(Basilico)といいます。
どちらも同じ植物を指します。日本ではどちらの呼び方も見受けられますが、ここでは「バジル」で統一します。
インドや熱帯アジアが原産のバジルですが、語源はギリシャ語の「王様」です。
一説にはインドからヨーロッパへ持ち帰ったのが、アレクサンダー大王だったから、とも言われています。
また、インドでは神事で使われていたともされます。
いずれにしても、本当に古くからわたしたち人類が食べてきたハーブであると言えるでしょう。
ところで、日本にはいつ頃入ってきたか…という話です。
これがかなり調べてみたのですが、わかりませんでした。おいおい有力なお話を聞く機会があったら追記します。
■バジルの香りは癒し効果抜群?
バジル特有のさわやかな香りは、「リナロール」と呼ばれる成分です。
このリナロールには、鎮静作用があります。精神をリラックスさせ、眠りの質をあげる効果も期待できます。
ほかにも食欲を刺激したり、抗菌作用があったりと、香りだけ注目してもイイコト尽くめの素晴らしい食材であることがわかります。まず、これが理由その1です。
■ゆるベジらく膳的 バジルの栄養①
バジルを薬膳の視点から見てみましょう。
バジルは、薬膳では「温・甘辛」に分類されます。
「温」は身体を温める働きがあります。ちょうどバジルの旬は7~8月。
冷房がガンガン効いたなかで過ごすことが多い方の場合、「冷え対策」が必要です。このようなときにバジルの身体を内側から優しく温める力は、力強い味方です。
さらに「甘」は、胃腸を整える力があります。ほかに滋養強壮や、心や体の緊張を緩める役割を果たします。元気のないときに、パワーをプラスしてくれる性質です。夏バテ気味のときにもおすすめです。
「辛」は血行を促進する役割を果たします。また、体温を上げ、発汗を促します。
さらに、気のめぐりをよくする、ともいわれます。
この「気」という言葉を、的確に言い換えるのがなかなか難しいのですが、薬膳の世界では「生きる力」や「前向きなパワー」という言葉と類義語で使います。気持ちという意味ではありません。
そうですね…いってみれば、気が満ちている人・気がきちんとめぐっている人は、朝起きたら元気よく、ご機嫌で過ごせます。反対に朝起きても、なんとなく気分が滅入っていて、疲れもとれてなくて、「何もしたくな~い」となかなかエンジンのかからない方は「気がじゅうぶんにめぐっていない人」「気が不足している人」「気が滞っている人」というように考えます。
気というものは、なかなか目に見えないのでイメージしにくく、「スピリチュアルなこと?」と思われがちです。スピリチュアルなものを否定はしていませんので、そこは誤解ならさらないでくださいね。
この薬膳的視点でいう、温める・胃腸を整える・滋養強壮・血行促進・気力充実の5つも理由です。
■ゆるベジらく膳的 バジルの栄養②
現代栄養学でいうと、バジルの注目栄養素はカロテンです
カロテンは、簡単にいってしまえば野菜の色素です。
野菜の色は、栄養に深いかかわりがあります。たびたび登場するカロテンは、赤・黄・緑の色として現れます。
さて、このカロテンは体内で紫外線に対抗してくれます。紫外線はわたしたちの身体を酸化させます。つまり、老化させます。それにあらがってくれる、というわけです。
また、紫外線はシミやそばかすの原因であることは広く知られています。その紫外線対策になることから考えると、「カロテンはシミやそばかすを防ぐはたらきをする」とも言えます。
ほかにはカルシウムや鉄、マグネシウムなども期待できます。
マグネシウムは骨や歯の生成に必要な栄養素です。また、鉄は貧血予防にも役立ちます。酸素を全身に運ぶのに必要な栄養素です。
マグネシウムは骨を生成するほか、代謝をサポートする役割を果たします。神経の興奮を抑えたり、血圧を下げたり、地味にいろいろな場面でわたしたちの身体を支える栄養素です。
この紫外線対策効果・骨や歯の生成力・貧血予防・代謝のサポートの4つも理由として挙げられます。
これらが含まれているバジルを食べない理由はないですね。
■バジルは熱に弱い?
バジルの魅力は、ふわっと漂う爽やかな香りにあるといっても過言ではありません。
ただ、この香りはとても熱に弱いのです。
香りを楽しみたいなら、ぜひ料理の仕上げにささっとあしらって加熱しないようにしてみてください。
たとえばピッツァマルゲリータ。
バジル、トマト、モッツァレラチーズのコントラストと味がとても魅力的ですよね。
わたしは大好きです!
好きすぎて、ナポリまで「マルゲリータ発祥の店 ブランディ」を訪れるほど。
意外だと言われることも多いのですが、わたしは一人旅が全然気にならない人です。今は家族旅行が多いのですが、かつては航空券だけ購入して宿も決めずにアチコチを旅して楽しみました。もちろん、リスクもありましたが(アメリカの某都市ではで強盗事件が起きたところに居合わせたことも。わたしと店舗の距離は…数ブロックしかなかった!)、それでもとても楽しかったですよ。安全性を考えたらツアーがいいのでしょうけれど、気に入った場所は滞在中何度も訪れたいですし、気分で行き先を急遽変えたくなってしまうからです。要するにワガママなのです。
そう、イタリアは大好きな国のひとつです。また行きたいところです。
と、話がそれましたが、マルゲリータをつくるときにも、バジルの香りは生かしたいですよね。だから、仕上げにバジルをさっとのせる程度でわたしは構わないと考えています。
予熱でじゅうぶんくたくたになりますから。ただ、仕上げに使う場合、バジルの水気はしっかり切って使ったほうがいいです。水滴が残っていると、料理が(ピザに限らず)水っぽくなってしまいます。
■簡単ベジ楽流ジェノベーゼ
バジルといったら、ジェノベーゼです。
ジェノベーゼは、イタリアのリグーリア地方のバジルを使った料理ですが、今では日本でもとてもポピュラーです。
たいていのパスタ料理のお店で食べることができるのではないでしょうか。もちろん、ジェノベーゼソース自体もポピュラーで、いろいろな店舗で市販品を購入することができます。もともと紫蘇が大好きな日本人です。そのお仲間であるバジルもまた嗜好に合っていたのではないかと思います。
実は、ジェノベーゼの作り方自体はとても簡単です。
バジル、松の実、パルメザンチーズ、オリーブオイル、塩、ニンニクをガーッとミキサーで攪拌したらできあがりです。
そう、加熱はしません。
ミキサーでガーッで終わりです。でも、自分で作ると、市販品とは比べ物にならないくらい香りがよいのです。本当におすすめです!
なにより塩加減も、チーズの量もすべて自分で調整できるのがいいですよね。本当にいいっ!
ぜひぜひ作ってみてくださいね。
■美味しいバジルの見分け方
バジルは品種がとても多いです。
よく見かけるのが、スイートバジルです。ほかには、こんもり生い茂るブッシュバジル。珍しいところでは、紫色のダークオパールバジルもあります。
品種が変わっても、バジルの見分け方は同じです。
葉の先までピンとみずみずしいもの
葉の色がまんべくなく濃いもの
茎がピンとしているもの
家で保存するときには、茎の先を湿らせたキッチンペーパーで軽く覆うようにしておくといいですよ。ただ、1週間も2週間も日保ちするものではないので、早めに食べきることをおすすめします。
食べきれないときは、ジェノベーゼソースを作って冷凍するのもおすすめです。面倒なときには(材料が手元にないときも!)、葉をそのまま冷凍しても大丈夫です。多少香りは落ちますが、それでもシナシナになったものよりはずっと美味しくいただけます。
さて、ベジ楽ではブログに書かれいるような野菜や食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2019年8月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。

