日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ブドウ(葡萄)」です。
Contents
■ブドウはマダム⁉
ブドウの美味しい季節です。
わたしのなかで、ブドウは「マダム」!!
曲線いっぱいのフォルムといい、ツヤといい、まさに熟女ですよ。
女優さんでいうなら、ミシェル・ファイファー!
単に綺麗なだけでない、知性や色気がある女性っていますよね。年齢をも味方にしているような。
まさに、マダム!
というわけで、ブドウは見た目の美しさに味のよさ、なにより人間の暮らしに寄り添っている姿が成熟した大人の女性を思わせるのです。
皆さんは、ブドウに何を感じますか?
マダム…ぜひ感じていただきたい!
■ブドウの歴史
実はブドウの歴史はとても古いのです。
恐竜がいた時代には、地球上にすでにブドウの祖先が誕生していました。
そのころ、地球の気候がとても温暖だったこともあり、ブドウ(の祖先)は世界的に広まりました。
その後、恐竜が滅亡した氷河期に入ります。温暖な気候を好むブドウは、このとき滅亡しかけます。
ところが、かろうじてコーカサス地方や東アジア、北アメリカで生き延びました。寒さに負けない子がいたのですね。
その後、地球は再び温暖な時代へと動いていきます。ここで再び寒さを生き延びたブドウが大きく広がっていきます。うーん、マダムって笑顔でしぶといのです。このあたりもやはり、マダム!
■ブドウをどう食べますか?
日本では果物をフレッシュな状態(生で)食べることがとても多いです。
ブドウも同じ。
ワインやレーズンのような加工品もありますが、それでもやはり生がもてはやされる傾向にあると、わたし自身は感じています。わたしがどちらを好むか、という話になりますと、どれも食べます! ワインは好きだけれど、下戸ゆえに飲める量はほぼゼロ。もっぱら料理で使っています(これはこれで美味しいですよ)。
今、世界で流通しているブドウは、氷河時代に生き延びたブドウを遺伝的に大別して、2つのタイプに分類できます。
ひとつはヨーロッパブドウで、カスピ海沿岸で生き延びて広まったもの。
カベルネソービニヨン、ピノノワールといったワインで知られる品種から、生食用のマスカット、トムソソンシードレスと呼ばれるレーズン(ドライフルーツ)用の品種まで幅広く広まっています。
もうひとつは、アメリカブドウと呼ばれるもの。
ヨーロッパブドウはアメリカの気候では育ちにくかったことから、アメリカの気候にぴったりのもの…湿度や温度に対応できるもの、アメリカでかかりやすい病害虫に強いもの…が交雑されながら残ってきました。代表的なブドウとしてラブラスカ種が有名です。もっと細かくいうと、デラウェアです。
日本でメジャーなブドウの品種である「巨峰」もまた、このラブラスカ種の血を(血といっていいのかな?)受け継いだ品種でもあります。
■種なしブドウってどう生まれる?
種なしブドウとして知られる代表的品種は、小粒のデラウェアです。
自然に育てば、ブドウは実の中に種をつけます。子孫を残すためなので、種があるのはむしろ自然なことです。
しかし、先ほど書いたようにデラウェアやそのほかのいくつかの品種には種がありません。ここではデラウェアに種がないことにフォーカスして説明していきます。
デラウェアは、ジベレリンと呼ばれるホルモン剤に浸します。これによって種が生まれないブドウが誕生するのです。
ジベレリンをつけるタイミングは、厳密に決まっています。受粉して実が成長する前段階です。農家の方の経験やデータが問われる作業で、いつもすごいなぁと感心するところです。
が、しかし。
実はわたし、個人的には種なしブドウはあまり購入しません。
というと、ジベレリンの安全性に問題があるのですか? と、聞かれてしまうのですが、それはうーん…正直なところわかりません。もちろん、データ上は安全です。と、言われていますよ。
でも、ジベレリンを大量に食べて、それ以外の食生活はしっかり気をつけて…という方にはお目にかかったことがありません。健康に影響するかどうかは一概には言えないと、個人的には考えています。
ではなぜ、わたしが食べないか?
単純に種アリのほうが美味しく感じるから。
ただ、それだけです。
食いしん坊はまず、味! 最初が味なら、最後も味!
トコトン味!
これは、あくまでもわたしの皮膚感覚ですが、種アリのほうが味を力強いと感じるのです。その根拠を問われると、あくまでも「皮膚感覚」でしかないので説得力にかけるのですが…。個体差もあることなので、断定は難しいです。
皆さんもぜひ一度食べ比べてみてください。そして、どう感じたのかをぜひ教えてください。
■ブドウは品種がたくさん!
ブドウは品種がとても多い果物です。
他の果物と異なり、粒の色や大きさ、形がまったく異なるので、視覚的にわかりやすいのが特徴です。もちろん、味もまったく違います。
大きくブドウの品種を分けると、色で3つに分けることができます。
- 黒皮
- 赤皮
- 緑皮
まず、黒皮。
これは漢字のとおり、黒っぽい品種です。巨峰やピオーネが代表的です。
そして赤皮。こちらは甲斐路や安芸クイーンで有名です。
最後の緑皮。こちらはシャインマスカットや瀬戸ジャイアンツなどが知られています。
「甲斐」や「安芸」や「瀬戸」といった地名がついている品種もあるので、産地が推測しやすいかもしれませんね。
日本を代表するブドウの産地は、山梨県や岡山県、長野県です。わたしが住んでいる福岡県も生産量でいえばトップ5に入ります。
実際、福岡県内にはブドウ狩りができる観光農園もかなりの数があります。ムスメがまだ小さいときに行ったことがあるのですが、観光農園の欠点は「ついつい欲張ってしまうこと」ですね。
ほとんどの場合が、収穫したものはグラム単位で計算して買い取りするシステムなのですが、いろいろな品種があればあるほど「あれも!こっちも!全部食べたい!」と手を出し過ぎてしまうのです。
あ、でもこれは観光農園の欠点ではないですね。わたしの食欲の問題でした(汗)。
産地以外でも育てていらっしゃる農家さんはいます。なかには農園で収穫体験ができるところもあります。もし、身近にあるようでしたら、ぜひ挑戦してみてください。
ブドウの実がツルからたわわに実ってぶら下がっている様子は、見ているだけで心まで満たされる豊かな風景ですよ。
■ゆるベジらく膳的 ブドウの栄養①
ブドウを薬膳で見ると、「平・甘酸」に分類されます。
平は、中庸。食べる人の体質を選ばずに万人受けするタイプです。
甘は、「ゆるめる」性質があることを意味します。
心と身体をゆるめるので、大切なプレゼンなど緊張が想定される場合におすすめです。
ゆるみっぱなしではいけませんが(人間、引き締める瞬間も必要ですよね?)、休息やリラックスという意味でもゆるめることは大切です。
また、薬膳ではブドウは「肝」と「腎」にはたらきかける、と考えます。
肝が健全だと、気のめぐりがよくなります。
気とは、「元気」につうじると思ってください。スピリチュアルな響きがあるようですが、ポジティブな思考ややる気、元気、エネルギーという言葉に置き換えるとわかりやすいと思います。
挨拶をするだけで、「元気な人だなあ」と感じさせる人、とも言えますね。あった瞬間にポジティブだったり、エネルギッシュだったりといった印象がある人ってすばらしくありませんか?
どちらかというと(いわなくても)、基本的にインドア派で家が大好きなわたしは、密かにそんな人を目指しています(書いた時点でもう「密か」でもなんでもありませんが)。
さらに肝は血を貯蔵して、全身に行き渡らせるのに必要です。
薬膳の血と西洋医学の血に対する考えはとても近しいものがあります。
しっかり血がゆきわたることで、冷え等の解消にもつながります。
また、肝は解毒作用があり、その意味でもアルコールを好まれる方にはとくに健全でなくてはいけません。
このように大切な役割をいくつもこなしている肝をサポートするマダムがブドウというわけです!
さらに、「腎」にもブドウは優しくはたらきます。
腎は泌尿器系と生殖器系を司っています。
腎が健全だと、水がきれいにめぐります。
排尿のリズムがととのい、浮腫み防止も期待できます。
また、生殖器系というと性方面だけを思い浮かべるかもしれませんが、そうではありません。
薬膳では、生殖器系というと「子どもの成長」と「老化」も含みます。若年期には健全な成長を促し、老年期には老化のスピードをコントロールして若さを保つ、という意味も含みます。
若さにもいい…おそるべし、マダムの威力。
だてに氷河期を生き延びてきたわけではないのです。さすがです。
■ゆるベジらく膳的 ブドウの栄養②
現代栄養学でいうと、ブドウの一番の魅力は糖です。
糖というと、最近はなにかと悪者にされがちですが、必ずしも悪いわけではないのです。
ブドウの糖に関して言えば、消化しやすくエネルギーにかえやすいのです。
いつでも食欲があって、何でも食べられますという方なら問題はないのですが、必ずしもそうではないでしょう。今日はちょっと食欲がない、ということもあるでしょうし、単純に寝坊して食べる時間がない!ということだってありますよね(わたしはありますよ)。
その点、ブドウはかなりおすすめです。
口当たりがよく食べやすい。もっというと、さっと洗えば包丁で切らずにそのまま食べられます(品種によっては皮ごと食べられます!)。
当たり前ですが、加熱する必要は微塵もありません。
また、皮が赤い品種に関して言えば…巨峰やピオーネがこれに該当します…ポリフェノールを期待できます。
ポリフェノールは抗酸化作用物質として知られる成分で、身体が錆びるスピードを抑えることができます。
身体が錆びる=老化
という鉄板の法則がありますから(残酷ですが事実です)、これにあらがう意味でポリフェノールはうれしい成分です。
なお、身体の錆の原因は酸素です。
わたしたちは、呼吸をするたびに身体が錆びていく=老化していくのです。もちろん、酸素は必要なのですれけども、皮肉ですね。
■美味しいブドウの見分け方 ポイント3
◇軸を見て選ぶ
ブドウを買う際には、軸をチェックしましょう。
軸とは「果軸」のことで、ブドウの枝のようなところです。
ここが緑色のものは、品種を問わず新鮮です!
古くなってくると、ブドウの軸部分が茶色に枯れてきて軽く手で持ち上げるだけで実がポロポロ落ちてしまいます。経験がありませんか?
軸がしっかりしているマダムを選びましょう。
◇ブルームの有無で選ぶ
さらに、ブルームにも注目です!
ブルームとは、巨峰などの品種で見られるのですが、ブドウの実の表面についている粉です。「粉は農薬ですか?」と質問されることもありますが、農薬ではありません。
粉は、植物が病気から身を守るために自ら出しているものなので安全です。
ただ、この粉(ブルーム)は鮮度が落ちたり、乱暴に扱ったりするととれてしまいます。つまり、ブルームは鮮度がよい証拠でもあるので、安心してブルーム付きのブドウを選んでくださいね。
◇色をチェックして選ぶ
実に色ムラがなく、しっかり色がのっているものが味もいいですよ。
一部色が薄かったり、品種特有の色(黒や赤、グリーン)がイマイチはっきりしなかったりするものは避けましょう。味もイマイチです。
■ブドウは房のなかでも味が違う?
ブドウの房を思い浮かべてください。
さて、房のどの部分が甘いと思われますか?
同じでは? 確かに房をひとつの固と考えると、個々で味が異なります。
だから、房単位では全部同じだと考える方もいるかもしれません。
ところが、違うのです。
ブドウは房の上の部分…ツルに近いところ(別名・肩)から甘みがのってきます。
つまり、肩と呼ばれる上の部分が甘く、下にいくにつれて甘みは薄くなります。
もし、購入前に試食をすることができるなら、下の方を食べてみてください。下が甘ければ、肩の部分はもっと甘みがあるので最後まで美味しくいただけます。
ブドウは今が旬!
美味しいブドウをたくさん召し上がってくださいね。
さて、ベジ楽では、このように野菜以外にも、皆さんが知りたい食材についてもお話をしています。
料理教室ではありますが、単に食べるだけではありません。
皆さんの「食べたい」と「選びたい」を刺激する学びがたっぷりです。
帰り道に野菜を買いたくなる料理教室です。
そして翌日には、野菜の力で朝から全力ハッピー! 自分に自信を持てる料理を学べます。
もちろん、ご家族に自信を持って食べてもらえるひと皿です。
レッスンは、コース受講が基本ですが、ご興味のある方は、まずは体験レッスンとして「はじめてレッスン」にチャレンジしてみてください。
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