日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「栗」です。
Contents
■芋栗南瓜、どれがお好き?
女性が好きな食べ物としてよくいわれるものが、「芋栗南瓜」。
皆さんはどれがお好きですか?
そもそもお好きではない?
わたしはどれも好きですが、圧倒的に栗が好きです。
栗ラバーです。もうめちゃくちゃ大好き。
もともとは、江戸時代の女性が好むものをあげた「芝居蒟蒻芋南瓜」からきている言葉だといわれています。
初めてこの言葉を聞いたときに、「蒟蒻⁉ こんにゃく!! こんにゃくなの⁉」と頭のなかで蒟蒻の3段活用状態になりました。
わたしは蒟蒻が好きではありますが、好きなものとして2番目にあげるほどではないので、ビックリしました。皆さんは、いかがですか?
そこから、食べ物にフォーカスして言われるようになったのが、冒頭の「芋栗南瓜」です。
芋、栗、南瓜…それぞれ共通していることってなんだと思いますか?
わたしは2つあると思っています。
- 甘さ
- ホクホク
この2つです。
芋は根菜(根を食べる野菜)。栗は果物(樹木になる実)。南瓜は果菜(実を食べる野菜)。
三者三様です。
しかし、どれも共通しているのが「甘み」です。砂糖の強烈な甘みとは違い、じわじわと身体に浸透する優しい甘みです。
さらに、もうひとつ。ホクホクです。
ホクホク系は、一般的に薬膳では「補気類」に分類されることがとても多いです。芋も栗も南瓜も同じです。
「補気」という言葉を初めて耳にする方もいるかもしれません。
「気を補う」役割を果たす食べ物をまとめて補気類と呼びます。
気ってなんだ??
気は元気の気。気力の気。
と、書くとややスピリチュアルな雰囲気を感じて、微妙に敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。確かに目に見えないものだけに、捉え方に迷うかもしれません。
薬膳特有の考え方といえなくもないのですが、気は「命の源」や「生きる力そのもの」だと考えます。
ますます迷ってしまう?
朝、起きたときに「さ、今日も楽しく過ごそう」となんとなくウキウキすることってありません? これが気力が満ちている状態です。
反対に、朝起きても「なんかだるい」「どうも気分がのらない」というようなケースもないですか? これが気が不足している状態です。
周囲にいませんか? 「おはようございます」という挨拶がいつもイキイキしていて、こちらまで元気をもらえそうな方。このタイプは、気がよい状態で満ちている方です。
あるいは、「おはようございます」という声が小さくハリがなく、「なにか悩みでもあるのかなぁ」と心配したくなる方。こちらは、先ほどとは反対で気が不足している方です。
栗はまさに「補気」。
気力を補ってくれる素晴らしい食材です。
■栗は米より古い⁉
栗の歴史はとても古く、縄文時代までさかのぼることができます。
縄文時代には、すでに食べられていたことが遺跡からわかっています。米作りより早かったと考えられています。
日本人の暮らしに根付いた栗ですが、何に分類されると思われますか?
野菜? 果物?
栗は果物に分類されます。
農林水産省による定義では、「樹木になる果実を果物と呼ぶ」となっていますので、木になる栗は果物ということになります。
ブドウや桃のようなみずみずしさがないので、「果物⁉」と驚かれるかもしれませんが、栗は立派な果物です。
ただし、栄養学の本では「種実類」と分類されていることもあります。
■ゆるベジらく膳的 栗の栄養①
まず、薬膳の視点から栗を考えると「平・甘」に分類されます。
身体を冷やすわけでも、温めるわけでもない、中庸の平。男女問わず、年齢問わず、多くの人に食べて頂ける食材です。
甘は、味の性質を意味します。
単に甘いという意味ではありません。胃腸を丈夫にし、消化吸収を助けてくれます。
消化吸収力が高まると、ごく自然に体力アップも望めます。
また、甘は「ゆるめる」役割を果たします。緊張で精神がはりつめるようなときに、甘の性質を持った食材は心も身体もゆるめてくれます。
薬膳の知識とは別に、疲れているときに甘いものを食べるとほっとする、という感覚は多くの人が経験したことがあると思います。感覚的なところでストンと腑に落ちるかもしれません。
ほかに栗は老化防止にも効果があるとされます。
加齢が原因の足腰の衰えを防ぎ、頻尿を改善するとも言われています。
アンチエイジング!!
■ゆるベジらく膳的 栗の栄養②
現代栄養学でいうと、栗はバランスよくいろいろな成分を含む食品です。
まず、カリウム。
カリウムはエネルギー代謝をスムーズに行うのに必要な酵素反応を助ける力があります。
ざっくり言えば、代謝をスムーズにするのに役立ちます。
さらに排尿のリズムを整えてくれます。これによって身体に余分な水分をため込まないようになり、浮腫みを防ぎます。
ナイアシンという成分にも注目です。
ナイアシンは、糖質や脂質、タンパク質からエネルギーを生み出すために必要な成分です。とくにアルコールが好きな人は欠乏しやすいこともあり、お酒が好きな方はもちろん、お仕事などで宴席の多い方は意識して摂取したほうがよい成分です。
食べすぎはよくありませんが、ほどほどには召し上がってくださいね。
そのほか、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどもバランスよく含まれています。
■食べ方のヒントは昔話にあり⁉
栗の食べ方についても書きましょう。
秋になり、栗のむき方や食べ方についての質問を数多くいただくようになりました。
栗の一番外側の硬い部分を「鬼皮」と呼びます。
また、その内側にある茶色のちょっと毛羽立った薄い皮を「渋皮」といいます。
皮のむき方については動画をご覧いただくことにしまして、食べ方のヒントを中心に書いていきます。
皆さんは、栗をどうやって食べていますか?
ゆでる? 蒸す? それとも焼く?
一般にはゆでることが多いかもしれません。
ただし、焼く際にはちょっとだけ注意が必要です。
さるかに合戦を思い出してください。
さるに殺された母蟹の敵討ちがテーマのお話(民話)です。登場するのは、さると蟹。そして、子蟹、臼、牛糞、蜂、栗です。
帰宅したサルが囲炉裏端にすわると、アツアツに熱せられた栗が飛び出してさるにやけどを負わせるというシーンを覚えていらっしゃるでしょうか?
はぜる
という言葉がぴったりかもしれません。
栗はそのまま焼いても美味しいのですが、皮の部分に傷をつけておかないと、なかの空気が膨張してパーンッとはぜて怪我をします。
もし殻ごと焼くつもりでいるなら、ぜひ皮の一部に傷をつけて温められた空気を外に逃すようにしてくださいね。
■栗の種類をチェックしてみる
栗には大きく4つの種類があります。
- ヨーロッパ栗
- 中国栗
- 日本栗
- アメリカ栗
この4つです。
◇ヨーロッパ栗
マロンクリームに代表される栗のことです。
フランスやスペイン、イタリアで広く栽培されています。焼き栗はフランスやイタリアの名物ですね。
わたしは大好きです。大粒でゴロゴロしています。あああ、食べたくなってきました!
なお、市販のマロンクリームは缶詰で販売されています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
◇中国栗
天津甘栗に代表される、小粒な栗です。
手で簡単に割れるのですが、渋皮も鬼皮といっしょに比較的簡単にツルっとむくことができます。小粒ですが、甘みが強い品種です。
◇日本栗
今の季節にもっともよく見かけることができる品種です。日本では大粒の「銀寄せ」や小粒の「しばぐり」が有名です。
産地として有名なのが、茨城県、熊本県、愛媛県、岐阜県です。
長野県の小布施も栗のお菓子等で有名ですが、産地としては小規模です。小布施の栗きんとん…ああ食べたい。美味ですよ。ぜひっ!
◇アメリカ栗
現在は、ほぼ見ることができません。日本ではほぼ出回っていません、というほうが正しい表現でしょう。
日本や中国の栗を輸入して、品種改良した栗です。アメリカでは栗は木材としてもとても人気がありました。
ところが、クリ胴枯病という病気がはやり、ほぼ壊滅状態になってしまいました(北米の一部の地域で残っているだけ)。これを防ぐために、品種改良をするか(気が遠くなるほど時間がかかる)、遺伝子組み換えで病気に強い個体を生み出すか、という議論がなされていると聞いています。
2019年秋の段階で、その結論がどうなったのかは調べましたがわかりませんでした。
■美味しい栗の見分け方
美味しい栗の見分け方についてです。
クリは表面にハリがあり、重みがあるものがおすすめです。また、色が明るくツヤがあるものが美味しいです。鬼皮に穴があいているものは、虫が侵入しているので避けてくださいね。
保存については、冷蔵庫がおすすめです。
新聞紙で包み、さらに上から冷蔵庫に入れます。新聞が湿ったら、その都度新しい新聞紙と取り換えましょう。
これで約1か月はもちます。
と、習いましたが、わたしは1週間以内で食べきってしまうので、残念ながら自分ではそこまで長期間にわたって実験をしたことがありません。
皮をむいた状態で冷凍して保存する方法もあります。冷凍したものをいただいたことがありますが、これはなかなか便利。凍ったまま米と一緒に炊きこめば、あっという間に栗ごはんが完成します。
もっとも鬼皮も渋皮もガッツリむいた状態での保存になるので、渋皮煮は作れませんが。
■栗は渋皮も美味しい
最後に、栗の渋皮についても触れましょう。
栗の渋皮にはプロアントシアニジンが含まれています。これは高い抗酸化作用がある成分のひとつです。
抗酸化作用=身体のサビ防止=アンチエイジング(老化予防)
というわけですから、渋皮煮もぜひ召し上がっていただきたいと思います。
渋皮煮…2~3回ほどアクを抜かないといけないので、「面倒だなぁ」という気持ちが起きるかもしれませんが、やりだすとそれはそれで楽しいですよ。
ただ、我が家の場合は渋皮煮よりも単純な茹で栗や栗ごはんに軍配が上がるので、なかなか作らないのが現状ですが。
わたしは好きなんですけれどね…。時間をかけて作っても「栗ごはんがよかったのに」と言われてしまうと、ちょっとね。
さあ、秋の味覚です。
今こそたっぷり食べたい栗。ぜひお召し上がりくださいね。
さて、ベジ楽ではブログに書かれいるような野菜や食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2019年10月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。
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