日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「レシピの言葉 火加減編」です。
Contents
■火加減って大事です
レシピによく登場する言葉のひとつが、「火加減」に関するもの。
火加減とは、加熱する火(火力)の強さです。
加熱するときのパワーの違い、とでもいえばわかりやすいでしょう。
加熱…つまり、熱を加える、ということですが、料理において「どう熱を加えるか」はとても大切です。仕上がりに関わります。
というのも、レッスンでも何度となくお話をさせていただいているとおり、調理は化学変化の繰り返しだからです。
調理はいろいろな化学変化が必要ですが、熱を加える変化はその代表的なものです。
火加減はそのまま食品の温度変化に影響するので、わかりやすくいうと食感も香も味もすべてに影響します。
■ガスコンロかIHか
ひと昔前は「火にかける」という表現を使えば、一様にガスコンロを指しました。
メーカーさんによって、多少火力に違いはありますが、それでも全体に同じように考えても差し支えがありませんでした。
と
ころが、最近はIHも登場。あっという間に一般的になったので、お子さんによっては「ガスってなに?」ということも。
実際にわたしが子供向けの料理教室を始めた10年ほど前にすでに「ガスってつけたことない」と話すお子さんがいたくらいです。
最近の小学校の家庭科の授業は、ガスコンロを点火するところから授業が始まります。
ガスとIHの最大の違いは、熱の伝わり方と使える調理道具。
ガスの場合、火がなべ底から全体に回るので、極端にいえばなべの側面も加熱されます。全体にグラグラいう、といえばイメージしやすいかもしれません。
一方、IHの場合はIH対応のなべやフライパンを使用しなくてはいけない、というルールがあります。さらにガス以上に細かく細かくスイッチで火力を調整できます。ただ、目に見えるわけではないので、そこは要注意。
と、ここまで書くと、多くの人が「結局のところどっちがいいの?」という疑問を浮かべるかもしれませんね。
どちらにもメリット、デメリットがあります。
わたしは両方使ったことがありますが、ガスのほうが好きです。
それは調理する際の難しさや仕上がり具合によるものではなく、単純に火が目に見えるから。もう少し詳しく書くと、火が見えれば「もうちょっと弱くしよう」「あと少し加熱したら火を止めて」というような判断がしやすいというのが、理由のひとつめ。
あとは単純に、火という存在が好き、というのが理由のふたつめ。
焚火を好きな方が一定数いるように、わたしもまた火が好きです。なんとなくワクワクします。だから、ガスのほうが好き。
話がそれましたが、火災などの心配はIHのほうが低いと思います。お年を召した方が、ガスからIHにリフォームした、という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。おそらく理由は、事故の心配が減るから、ということだと思います。
ガスからIHへ変えた経験があるのですが、熱の伝わり方が異なるせいか、「自分のイメージしている強火」と「実際の火加減」とに差があったように感じました。今では技術が進んで、以前ほど差異がないのかもしれませんが、それでもガスとIHでは違いがあると思って慣れるのがいちばんよいと思います。
■火は強さがポイントです
先ほどから書いているように、火加減はとても大切です。
火にまつわる言葉はいくつもありますが、ここでは代表的なものを3つご紹介しましょう。
◇強火とは?
コンロの火がなべ底全体にしっかりあたっている状態です。場合によっては、フライパンなどのふちに沿うように火があがっています。
湯を沸騰させたいとき、炒め物をつくるとき、水分を飛ばしたいときに有効な火加減です。
◇弱火とは?
強火の逆です(そのまんま、ですが)。
なべ底に火はあたりません。ニンニクのように焦げやすいものを加熱するときや、和食の煮物をつくるときにぴったりの火加減です。
余談ですが、大根などを煮るときに「面取り」をします。
面取りとは、角を削って丸いラインに変えることです。なぜ、この面取りが必要なのでしょう?
煮物をつくる際に、煮汁は加熱することでフツフツと揺れ動きます。すると、当然ですが煮汁のなかの食材も動きます。ゆらゆらと揺れます。
ゆれる食材どうしがぶつかりあうと、煮崩れを起こします。
角が最初から丸くしてあれば(面取りをしてあれば)、食材どうしがぶつかっても煮崩れしにくくなります。
さらにいうと、「なぜ煮崩れが起きるのか」を知っていると、煮汁を少なくしてなるべく食材が揺れないようにしよう、と考えることもできます。さらにいうと、煮汁がフツフツ揺れるのを最小限に抑えるために、火を弱くしよう、と考えることもできます。
仮に煮汁を減らした場合、まんべんなく味がゆきわたるのか気になるかもしれません。食材の一部が煮汁から出ていると、なおさらです。
そのようなときに使えるのが、「落し蓋」です。
煮汁は加熱されると対流が起きます。対流とは、水の流れ(動き)です。炊飯器のコマーシャルでよく水がグルグルと動くイラストをご覧になったことのある方も多いと思いますが、ソレです。
対流が起きて上へと持ち上げられた湯(煮汁)が落し蓋にぶつかって下へ流れます。効率よく煮汁が食材を包むので、少量の煮汁であってもきれいに煮ることができます。しかも、煮汁のなかで食材がグラグラしないので、煮崩れの心配がぐーっと減ります。
なお、落し蓋は市販されている木製のものやシリコンタイプもよいのですが、オーブンペーパーやアルミホイルで自作してしまうのもおすすめ。わたしはちゃちゃちゃっと必要に応じて作っています。
◇中火とは?
強火と弱火の中間です。
ガスでいうと、火の高さはちょうどなべと火の吹き出し口の中間。なべに火は触れません。
一般にレシピ本などで「火にかける」「加熱する」といったら、「中火」を指すことが多いです。そのくらい、火加減としてはスタンダード。
迷ったり、わからなかったりしたら中火でスタートしてしまえばOKです。そこから微調整すれば、まず失敗することなく仕上がります。でも、もっともっと失敗したくない、という場合(笑)、弱火でスタートするのもテです。
まちがっても強火スタートはやめましょう。これは、失敗のもとです。
■オーブンの加熱
食材に熱を加える、という観点からいえば、オーブンも電子レンジも変わりません。
オーブンの場合、気をつけたいのが「予熱」という言葉。
文字どおり、「あらかじめ熱を加える」ことを意味します。
食材を入れる前に、事前に庫内の温度をレシピにかかれた数値まであげておきます。そこに食材をイン。その後は、「〇分焼く(加熱する)」と書かれた数字どおりに加熱します。
ここからは、裏技的な話です。
わたしが調理学校に行っていたころ、当時の先生にいわれたのが、「家庭用オーブンは温度が下がりやすいから、設定温度を高めにしましょう」ということ。
たとえば…180度に予熱したオーブンで15分焼く、という表記があった場合。
一般に予熱温度を180度に設定する方がほとんどだと思います。が、先生は…
家庭用オーブンはとても小さく、食材を入れるために開けると20~30度あっという間に温度が下がってしまう。だから、予熱を180度にセットして、と書かれていたら思い切って210度くらい高い温度に設定して置いて、食材を入れてから180度まで温度を下げればいい。
と、おっしゃっていました。なるほどなぁ、と思ったことを覚えています。
もっとも今のオーブンは当時よりもずっと性能が良くなっているので、一概にはいえないとは思うのですが。
では、どうするか?
何度も何度も使って自分のオーブンのクセを覚えてしまうのが、結果的に一番ラクです。
■電子レンジも加熱します
電子レンジも加熱に必要な道具です。
「電子」という言葉が示すとおり、電気の力を使います。ただ、他の調理器具とは異なり、食材に含まれる水分子にはたらきかけるのが特徴です。
分子を揺らすことで熱が発生し、結果的に食材が温まる、という仕組みです。だから、外側から熱を与えるガスやIH、オーブンとはちょっと事情が変わります。
電子レンジで温めたパンが硬くなりやすいのは、この仕組みと関係があります。水分が揺れることで、温まると同時に水分量に変化が生じるためです。
だから、加熱する際にはちょっと注意が必要です。
最近の電子レンジはパワーもじゅうぶんありますが、細かな機能も充実しています。オート機能を上手に利用すると、使いやすいだけでなくラクです。
一般にレシピで記載されているのは、「500W(ワット)」や「600W」でしょう。
500Wより、600Wのほうがパワフルです。だから、同じものを加熱するなら、500Wより600Wのほうが短時間で済みます。
わたし自身は、電子レンジ加熱の調理はあまり好んでやらないのですが、もしレシピに登場させる場合には、「500Wで〇分」とか「600Wで△分」といったように書かないといけませんね。気をつけます!
それから、電子レンジで加熱する際に大事なのが、「どういう状態で加熱するか」です。
ラップをして加熱するのか、あるいは何も覆わずに加熱するのか、水をあらかじめふっておいてから加熱するケースもあります。レシピには、それぞれの注意点が書かれていることもあるので、注目してみてください。わたし自身も書く際には気をつけます。
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