こんにちは。
やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日もやさい薬膳料理を作っています。
さて、今日の話題は梅干しです。
初夏に旬を迎える梅と、その加工品の梅干しについて考えてみます。
■梅は中国、梅干しは日本?
梅は中国では古くから食べられてきた食材のひとつです。一説には紀元前から食べられてきたという説もあるほど、その歴史は古いものです。
歴史的に食べ物に限らず、あらゆる文化の要素が中国から入ってきていることが多いのは、皆さんもご存知のとおりです。梅もまた、同じで中国から日本に渡ってきたと言われています。
ただ、おもしろいのが、梅干しは日本生まれだと言われているのです。
梅干しは江戸時代に日本で作られるようになったと言われています。
梅の食べ方はいろいろありますが、わたしのなかで梅の食べ方として梅干しはとても大きな割合を占めるので、梅は中国だけれど梅干しは日本生まれだと初めて聞いたときにひっくり返るほど驚いたのを覚えています。
ただ、日本で生まれと知った時に、「ああ、日本の風土にぴったりなのは当然なのだな」と妙に納得したのを覚えています。
ちなみに、わたしは母が毎年梅を漬けていたので、手伝うことも(手伝わされることも)多く、自然と作り方を覚えたクチです。
ただ、わたし自身は梅干しを作りません(宣言!)。
九州に引っ越してきて、直売所で買い物をするようになって気づいたからです。
「ベテランの農家のお母さんたちが作っている美味しい梅干しがいっぱいある~」という嬉しい事実に。
しかも、塩分濃度によって複数の種類があったり、カリカリ・固め・やわらかめといった食感でカテゴライズされていたりと、種類が豊富なのです。しかも、お安い。
そのような理由から、わたしは直売所の梅干しにお世話になることにしています。
そして、もうひとつ。
梅干しにまつわる言い伝え(格言?)は多々あって、そのなかのひとつに「梅干しは一度漬けたら毎年作らないといけない」というものがあるのです。
もっとも言い伝えなので気にしないというスタンスもあります。
ただ、この言い伝えにはおそらく「梅仕事を忘れるほど、忙しく慌ただしい時間を過ごしてはいけない」あるいは「梅干しを毎年仕込まないと、食養生できませんよ」といった教えが潜んでいるのも事実。
だから、あながち「言い伝えだから関係ない」とも言いにくい、というのが本音です。
ただ毎年はなかなかプレッシャーです。
それもあって、やめています。
話がそれましたが、梅干しに関する格言がたくさんあるということは、それはすなわち「梅干しが日本人の暮らしに密着している」という証明でもあります。
■薬膳で梅干しを知る
梅干しは、薬膳でいうと「温・酸」に分けることができます。
そして、胃腸の動きを活発にして消化促進の役割を果たします。
梅干しは、昔から3つの毒を防ぐと言われています。毒とは食べ物による毒、血流による毒、水がスムーズに流れずに生じる毒、の3つです。
たとえば、食中毒を防ぐためにお弁当に梅干しを入れると聞いたことがあるかもしれません。これは「食べ物に関する毒」を防ぐことに繋がります。
現代栄養学でも言われていることですが、梅干しには高い殺菌作用や滅菌作用があります。
これによってお弁当で菌が発生して食中毒…という流れを断ち切ってくれるのですね。
梅干しは「酸」に分けられることは、先ほど書いたとおりですが、薬膳では酸は「肝」に関係があると言われています。
肝は気の巡りをスムーズにしたり、血を貯蔵して流れを調整したり、筋肉や関節の動きを調整する、といわれています。
つまり、とても大切。
一方、梅干しは「塩」も使って調味していることから、腎にもよいとされています。
腎は水の排出と吸収をスムーズにしたり、骨や歯の生成を促したりする、とも言われています。
肝と腎、両方を補することができる、素晴らしい食材なのです。
■薬膳で梅を見る
一方、梅についても見てみましょう。
梅を薬膳で分類すると「酸・平」になります。
梅干しが「酸・温」ですから、梅と梅干しでは性質が変わることがお分かりになると思います。
食べ物ではごくまれに加工することによって性質がかわるものがありますが、梅干しはそのひとつなのですね。
ほかにも、大豆&豆腐なども例としてあげられます。こちらについては、また後日改めて書かせてくださいね。
この「酸」は、現代栄養学の視点から見ても梅干しのよさを証明してくれえています。
梅や梅干しの酸味はとてもさわやかで美味しいですね。この酸味の正体は、クエン酸です。
クエン酸には疲労回復効果があるので、疲れた時やバテそうなときにはぴったりです。
■梅干しは調味料にも
梅干しは調味料としてもとても便利です。
簡単なところだと、ドレッシングやふりかけが便利です。
【刻み梅干し+削り節+はちみつ+しょうゆ+ごま油+ちりめんじゃこ】
【 】のなかの材料を梅干しの味に合わせて適宜増減して混ぜます。梅干しは作り方によって塩分がかなり異なるので、自分が食べているものを確認しながら作るといいですね。
ほかには、混ぜご飯。
【ごはん+刻み梅+枝豆+胡麻】
これも、おすすめ。
チャーハン。
【ごはん+刻み梅+ピーマン+人参+玉ねぎ】
写真はチャーハンですが…梅を刻みすぎてわからなくなってしまいました。残念!
夏の養生食として、梅干しを召し上がってみてはいかがでしょうか。
もちろん、梅を仕込むのもいいのですが、今年はもう仕込み時期が過ぎてしまっているので来年にでも。
あ、ベジ楽では作りませんので、あしからず。