日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「わたしの一文字は“食”」です。
Contents
■美文字が届いた!
先日、とても美しい文字が届きました。
わたしがお世話になっているコンサルタントの先生の門下生・吉村さんの文字です。同じ門下生なので、わたしとは兄妹弟子ということになります。
兄弟弟子のおひとり、大阪にお住まいの吉村敏幸さんがかいてくださった字です。
吉村さんは、文字アートデザイナーです。
とても美しい字をかかれます。
たんなる「きれいな字」ではないのですよ。だから、「書く」ではなく「かく」。「描く」も含まれているような素敵な文字なので、あえて「かく」と表記させてください。
わたしにもありますが、おそらく皆さんのなかにも「これ!」という文字や言葉ってあると思うのです。それを踏まえて、その字を想う方の内側をすくいとるような、そんな文字をかかれます。
わたしは芸術家でも、それを批評する立場にもないので、ざーっくりと感じたことしか表現できないことが申し訳ないのですけれども、吉村さんの字を単に「きれいな字」と表現してしまうのは違うと思っています。
吉村さんとやりとりをしていた際に、吉村さんがこんなことを教えてくださいました。
『文字は人と同じで文字を見ればその人の想いが表現できる。また、文字は植物と同じと考えており、風が吹けば揺れたり、台風が吹けば踏ん張ったり、周りと支えあったり、時に力強く、時に弱々しく、そんな感情を文字に乗せて表現したいと思っています。』
素人のわたしがどうのこうの、というよりもご本人の言葉がすべてを言い表していると感じるので、あえてそのままのコメントを載せますね。
そして、わたしが書いていただいたものが「食」。
レッスンにいらっしゃる方の目につく位置に飾っています。
「今年の目標はなんですか?」というようなお話になったときに、吉村さんの字を「これです!」とお見せすることもあります。
あるいは、「これはなんですか?」と聞かれることもあります。
そのたびに、「これは~」と吉村さんのことをご紹介しつつ、なぜ「食」なのかをお話しします。
すると皆さん、激しく納得してくださいます。それも、笑い交じりに。わたしが日ごろから「食べる」「食べる」というようなことを繰り返し話しているからでしょうね。
でも、吉村さんに文字をお願いするときに、「これ!」と思って、それ以外の文字については思いつかなかったのです。
■なぜ「食」なのか?
理由はいくつかあります。
プロフィール欄にのせていることでもあるのですが、改めて「なぜ食なのか」ということを書きたいと思います。
◇食いしん坊だから
そのものズバリですが、やはり食べることが大好きだからです。
むしろ、食べることに執着している、といっても過言ではありません。
というのも、わたしは10代の頃に病気をしたことがあり、当時は食べ物を前にしても食欲がわくどころか、気持ちが悪くなったという経験があります。
食べたい。けれど、食べられない。
人間の身体はとてもうまくできていて、食べずにいると、もともと持っている(蓄えている)体力なり肉なり血液なりを生きるために使いだすのです。貯金を取り崩す、といったらいいのかもしれません。
グングン痩せます。本当に、痩せていくのが自分でわかるの。
もちろん、当時はお医者さまが診てくださっていましたし、点滴等必要な処置はしてくださっていました。
でも、口を動かして自らの意思で食べていないと、栄養をとってはいるけれど、生きている実感がまるでわかないのです。ただそこにいる。それだけです。
最初は「痩せた?」なんて言っていた周囲の目も変わっていくのです。今の若い方たちの言葉でいうなら「この人、やばくない?」って視線を痛いほど感じました(笑)。
体力も落ちて、何もできません。駅の階段を上がっただけで、息が切れてゼエハアしてしまうのです。
結果的に、とてもつまらない(笑)。もっというと、苦しい。毎日が、本当に苦しかったです。
食べられないって、こんなに体力を奪うんだなぁ。気持ちも落ちるんだなぁ。
10代のときに、身をもって知ったので、「食べる=生きる」という方程式が頭の中にあります。
だから、わたしにとって食べることは生きることとイコールでもあるし、とても楽しく嬉しいことでもあるのです。
◇食べ物を生み出す人を尊敬しているから
わたしは、自然と対峙しながら農産物など、わたしたちが口にするものを生み出している方たちを心の底から尊敬しています。一次産業に従事している方を尊敬している、と言い換えても構いません。本当にすごいと思っています。
わたしは以前、日本全国の郷土料理を取材してレシピにするという雑誌連載を担当していたことがあります。
食べ物を伝えている人、その食べ物をつくっている人(農業に携わる人だったり、漁業に携わる人だったりいろいろです)…それぞれいろいろな方が誇りをもって仕事に取り組んでいるのを見てきました。
そして、同時に「自分にはできない」ということを痛感しました。
今も、生産者さんへ取材をすることがあるのですが、そのたびに素直に尊敬の念を抱きます。
食べ物をつくることは、そのまま人の命を支えることだと実感しています。
わたしの命を支えてくださる方たちへの尊敬を込めて食べたいから、というのも理由です。
◇食べることは、選挙と同じだから
「食べ支える」という言葉をご存知でしょうか?
わたしは、単なる食べるに、支える、を加えた「食べ支える」をとても大切にしています。
先ほど、食べ物を生み出してくださる方を尊敬する、と書きました。
いくらわたしが尊敬していても、その方たちが暮らしていけなれば(農業や漁業が生業として成り立たなければ)、遅かれ早かれその方たちは食べ物を届けてくださらなくなるでしょう。なぜなら、その方たちも生きていかなくてはならないからです。
でも、わたしが購入することによって、その方たちにたいする支持を表明できます。
『皆さんがつくられている(育てられている)農畜産物を選びます。皆さんの生み出したものを評価しているから、選んで買っています。』
この気持ちを表すのが、「選んで買う。買って食べる」行為であり、わたしの気持ちを伝えられる唯一の行為でもあるのです。
だから、わたしは自分が毎日口にするものはもちろんですが、レッスンで使用する野菜も肉も魚も選びます。ものすごーく真剣に選びます。
毎日の食事が投票と同じです。選挙で政治家を選ぶように、わたしは食べ物を選んで購入することで、農畜産物や海産物そのものだけでなく、それらに関わる方を支持しているのです。
食べ支える。
一見、上から目線で偉そうに聞こえるかもしれません。
でも、応援の一票だと表現すると、よりわかりやすくストンと胸に響くのではないでしょうか。
■されど食は俗っぽい
食欲という言葉あるように、食べるという行為はとても泥臭く俗っぽいものであることも実感しています。
なんというか、もう欲まみれになりやすいのです。その人の人となりが出てしまうというか。
麗しい男性や女性が、美しい所作で食事をしていると「すてきだなぁ」と思いませんか?
反対に、見た目がとても素敵でも、残念なお作法で食事をしていると魅力が半減してしまうことはないでしょうか。
そのくらい食べるって俗っぽく、人を表現してしまいます。育ちがわかる、と生前祖母が話していましたが、この年になって祖母の話が少し理解できるようになりました。
しゃんと食べなくては。
とは思うのです。でも、欲まみれのわたしは時々うっかりしてしまいます。
ですが、吉村さんの「食」はとても美しいのです。それは色が金色だから、とかそういうことではありません。
文字から漂う空気が凛としているのです。俗っぽい行為のはずなのに、品格を感じませんか?
だから、これを見るたびに、「あ、しゃんとして食べよう」「心していただこう」と初心に帰るような気持ちになれます。
■たかが食、されど食
食べずに生きていける人はいません。
ただ、どう食べるかを意識しないでも生きてはいけます。
ふつうに考えて1日3食。
1週間で21食。
1か月で約90食。
1年で、約1080食。
これを多いとみなすか、わたしのように「これだけじゃ少ない!」と思うのか、それぞれでしょう。
わたしは、日々選びつつ感謝しつつ、でも欲まみれにならない程度に(この弱い言い方がわたしのチキンたる所以でしょう…)ガンガン食べるつもりです!
そして欲まみれになりそうなときには、吉村さんの字を見て背筋をシャンと直します。
文字や言葉って、本当に気をつけないと一瞬でとおりすぎてしまいます。
改めて向き合って考える大切さを、吉村さんの文字は教えてくださったように感じています。
もし、一文字ご自分で選ぶとしたら、皆さんはどんな文字を選ばれますか?
ぜひ教えてください。いえ、わたしに教えなくても構いません。でも、ぜひ考えてみてください。
自分がこんなことを考えていたんだ、という発見につながるかもしれません。あるいはわたしのように、初心に帰るような気持ちになるかもしれません。
折しも節分がもうすぐ。節分は漢字が示すとおり、節目。年の季節の変わり目を意味します。
気分一新するのにも、自分の一文字を考えるのはいいかもしれません。
余談ですが、わたしには小学生のムスメがいます。
彼女は「飛」という吉村さんの文字を、わたしのコンサルタントの先生から入手し(このあたりの経過は本人の希望によりナイショにしたいそうです)、嬉々として机に飾っています。
「飛躍するの!」とのことなので、わたしも負けないようにしないと、です。
このあたりは、親子であっても遠慮なし、容赦なし、というのが我が家のスタンスなのです(このへんは、欲まみれ)。
さて、ベジ楽ではブログに書かれているようなわたしの日常のちょっとしたことや、料理に関する話、野菜や食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2020年1月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。
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