日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「鶏の胸肉ともも肉、どちらがダイエット向き?」です。
Contents
■ダイエットに向いているのは、胸肉なの?もも肉なの?
先日、鶏肉をレッスンで扱っていた際に、胸肉ともも肉の違いに関するご質問をいただきました。ご質問内容は、おもに次の2つ。
- ダイエットを意識したら、やっぱり胸肉のほうがいいのでしょうか?
- 味が違う胸肉ともも肉、それぞれのおすすめの食べ方は?
なるほど、確かに気になるところです。
実際、多くの方が気になるのではないでしょうか。いえ、気になるというより、あらためて確認されると理由を説明しにくくて、「なんとなく?」などと答えてしまう…お心当たりはありませんか?
まずは、鶏肉そのものについて知るところから始めましょう。
◇鶏肉とはどんな肉?
「とりにく」と読みます。が、「けいにく」とも発音します。また、「かしわ」ともいいます。鶏肉を使った炊き込みご飯を「かしわ飯」と呼ぶので、かしわの名称もご存知の方も多いでしょう。
いわゆる「ニワトリ」の肉全般を指します。
牛肉や豚肉よりも安価です。庶民の味方です。
牛肉や豚肉よりも、傷みやすいです。その理由は、水分が多いことにあります。
また、鶏肉は牛肉や豚肉と比べると、繊維が細かくて肉質が柔らかいのが特徴です。
味も比較的たんぱくです。脂肪が筋肉繊維のなかに入り込まないから、とくのが理由です。肉のコクを出すのは、脂肪によるところが多いので、筋肉繊維そのものに脂肪が含まれないことで味をたんぱくに感じるのです。
部位によって名称が細かく分かれているうえに、味にも違いあります。その特徴を知ることが、鶏肉を美味しくいただくコツといえばコツです。
鶏肉のおもな部位と特徴は以下のとおりです。
1.もも肉…文字どおり、鶏の足のつけね付近の大きな筋肉。コクがある。とくに皮には脂が多い。
2.胸肉…鳥の胸の部分に当たる筋肉。身体の正面部分。比較的大きな筋肉で、あっさりとした味。
3.ささみ…胸の内側の部分。鶏肉には特有の臭いがあるが、もっとも臭いが少ない。やわらかく、クセがない味。脂が少ない。
4.手羽…羽を支える筋肉。一般には、より先端に近い手羽先と、つけね部分の手羽元に分けられる。手羽先はゼラチン質が多いのが特徴。手羽元は、肉が多く食べ応えがある部分。こっくりした旨味がある。
※手羽先は関節で分けて(「く」の字の曲がっている部分で分けて)、中央部分を「手羽中」と呼ぶこともあります。
ほかにはレバー(内臓)もありますが、内臓に関しては今回は別扱いとします。また、骨も活用されます。「鶏がら」という言葉を耳にしたことのある方は多いと思いますが、骨の部分の名称です。
この鶏がらにはグルタミン酸が多く含まれているのが特徴です。骨ごと加熱すると、グルタミン酸が溶け出して、肉のもつイノシン酸とブレンドされます。これが、いわゆる「鶏がらスープ」です。鶏がらについても、今回はちょっと脇に置いておきましょう。
■油と脂
脂は「あぶら」と読みます。先ほどから何度か、登場している「脂」。
ダイエットを始めると(始めなくても意識すると)、この「脂」という漢字に敏感になりますよね。わたしもダイエットチャレンジャーなので、気になります。
ただ、一般的に「あぶら」といったら、油を思い浮かべるかもしれませんね。
実はアブラには、脂と油、ふたつの種類があるのです。そして、ダイエットに挑戦している方にとっては避けては通れない話題でもあります。
脂は肉の脂身に代表される、常温で固形を維持するアブラのことです(上の写真です)。
一方、油は常温で液体のまま変化がないアブラのことです。
鶏肉に限らず、一般的に肉のアブラは脂です。
鶏肉の場合、白くプルッとしたものが皮と肉の間、あるいは肉の周辺に見えます。気になる方は、日頃から取り除いているかもしれません。
では、本来のテーマに戻ってもも肉と胸肉についてダイエット的視点から考えていきましょう。
■脂はカロリーを左右する⁉
胸肉のほうがダイエットチャレンジャーに向いている、とおっしゃった方やそれに賛同される方のお話を聞いていると、どうやらもも肉と胸肉のカロリーの違いが理由のようです。
では、そもそもカロリーとはなんだと思いますか?
カロリー=エネルギーの単位です。
1ℓの水の温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギーが1キロカロリーです。
わたしたち人間の身体もエネルギーが必要です。いってみれば車でいうところのガソリンですね。
車を動かすためには、ガソリンが必要です。人間も動くためにはエネルギーが必要です。
カロリーという、本来は単位を表す言葉が独り歩きしてしまって、「カロリー=悪」というおかしな方程式が浮かんでしまう方が多いのも事実です。
ですが、わたしが実践&提案するのは、食べるダイエットです。
だから、カロリーについてはとくに気にしません。もちろん、病的に多すぎるカロリー(エネルギーと言い換えてもいいですね)はダメですよ。
厚生労働省によると、成人女性(30~49歳)が必要とする摂取カロリーは3つのグループでそれぞれ表示されています。
3つのグループとは、「身体活動レベル」によって分類されたグループです。
Ⅰは、活動レベルが「低い」のグループです。1日のほとんどの時間を座って過ごすことの多い女性が該当します。
Ⅱは、活動レベルが「ふつう」だと考えられるグループです。座った状態で仕事をすることが多いけれど、職場内での移動や立った状態で接客をしたり、家事をしたり、軽いスポーツをしたりする女性が該当します。
Ⅲは、活動レベルが「高い」に分類されるグループです。移動や立った状態が多い仕事に携わっている女性や、余暇などでスポーツなどに積極的に取り組んでいるような方が該当します。
ちなみにわたしは「ふつう」です。わたしの知り合いですと、看護師さんやスポーツ指導者さんが「高い」に該当するのでしょう。また、イラストレーターや画家といった職業についている方は「低い」になるかもしれませんね。
さて、それぞれのグループによって必要とされるエネルギーは異なります。消費する(ガソリンとして使ってしまう分)が変わってくれば、必要なエネルギーも変化する、ということです。
Ⅰの低いグループの場合、1700キロカロリーです。
Ⅱのふつうグループは、2000キロカロリーです。
Ⅲの高いグループは、2300キロカロリーです。
ちなみに白米のごはん茶碗1杯分のエネルギーが約170キロカロリーなので、そこそこ違うかな、といった感じです。
意外と食べられるな、と感じましたか? それとも、気をつけないといけないな、と思われましたか? なお、某有名ファストフードのフライドポテトのLサイズは、約500キロカロリーです。
なお、当然といえば当然ですが、成人女性であっても妊婦さんについてはまったく別扱いですのであしからず。
と、ここまで散々カロリーについて語ってきましたが、これをダイエットに当てはめて考えると、わたし個人の意見ですが(あくまでも)、あまり気にしません。
わたしは「食べるダイエット」に挑戦している最中なので、病的に激しくオーバーするカロリーでなければ、満足感を得るためにも気にせず食べていいのではないかと考えています。というより、あえて「量は落とさない!」。
カロリーを意識すると、どうしても「食べる量」を減らしがち。それよりも「なにをどう食べるか」を考えることに注力したいのです。
本来、食事は楽しいはずです。
食欲という言葉に代表されるように、「欲ばっていい」。だから、カロリーは気にしません。
極端なカロリー制限は、反動を生みがち。いわゆるリバウンドです。
ダイエットを繰り返してきた方の場合、何度も何度もリバウンドをしてしまう、というケースもないわけではありません。できれば、そのループには入り込みたくないですよね。というわけで、カロリーは制限しないつもりです。
ただ、脂質の量には気を配ったほうがよいでしょう。
なぜなら、多すぎる脂質の摂取は、肥満につながるだけでなく生活習慣病を引き起こすともいわれているからです。ぜひとも避けたいものです。
脂質に関していえば、「なんとなくダイエットには胸肉」と思っている方がびっくりするようなデータがあります。
■もも肉と胸肉、ほんとうのところはどうなの?
一般によく言われるのが、鶏肉はもも肉より胸肉の方がダイエットによい、ということ。実際、わたしも耳にしたことがあります。
食べた時も鶏肉は胸肉よりもも肉のほうがコクもあり、ジューシーです。
一方、胸肉の場合は気をつけて調理しないと、水分が抜けてパサパサとした食感になりがちです。それを苦手と感じる方も多いのではないでしょうか。
余談ですが鶏肉は鶏の胸肉は70度前後で調理するのがよいとされています。あまり高い熱でガーッと一気に加熱してしまうと、どうしてもパサパサしやすいのです。衣をつけて揚げる場合はちょっと話が変わってくるのですけれども。
胸肉の場合、100グラムあたりに含まれる脂質量は17.2グラムです。もも肉の場合100グラムあたり19.1グラム。
この2つだけを比べると、大騒ぎするほど大差はありません。
さらに皮を取り除くと、数字が変わります。
鶏肉の場合、皮を取るかどうかが、とても重要なのです。
胸肉は、皮を取ると100グラムあたり1.9グラムです。一方、もも肉の場合、皮を取ると100グラムあたり4.8グラムです。
どうでしょう? 脂質がびっくりするほど変わります。
【100gあたりの脂質量】
胸肉 | もも肉 | |
皮つき | 17.2 | 19.1 |
皮なし | 1.9 | 4.8 |
※単位=グラム
皮つきの胸肉を食べるのなら、皮を取り除いたもも肉を食べたほうがずっと脂質量は少ないのです。
さらに、うっかり見逃してしまいがちなのが調理方法です。
■調理方法によっても脂質量は変わります
実際のところ、部位以上に気になるのが調理方法です。
たとえば、焼き鳥と油淋鶏を比べてみましょう。
焼き鳥の場合、串に刺して塩で焼く、というシンプルスタイルで考えます。タレはつけません。余談ですが、食べるダイエットの基本の味つけは塩です。こってりとしたてりやき系の味つけは要注意です。
油淋鶏とは、中華料理の定番ともいうべき鶏肉料理で、ざーっくりまとめると中華風から揚げです。
焼き鳥の場合、焼くことによって脂が下に落ちます。もも肉100グラムあたり、約15グラムの脂が抜けます。
逆に油淋鶏の場合、脂は増えます。揚げることで皮のもつ脂は多少抜けるのですが、揚げ油が反対に浸透するので、脂質量でいえばプラスです。
胸肉を衣をたっぷりつけて揚げるのと、皮を取り除いたもも肉をローストして塩コショウでいただくのと、実際のところどちらがダイエットチャレンジャーに向いていると考えますか?
ダイエットには、やはり精神状態が大切です。ご機嫌でないと長く続きません。
現在、チャレンジ中のわたしはご機嫌な状態で食べることを大切にしているので、もも肉か胸肉かでは迷いません。
ただ、調理方法は意識します。
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