フキとフキノトウは違うの?
日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
そして、最近はダイエットチャレンジャーでもあります。
今日のテーマはダイエット編ではなく、野菜編。
「フキとフキノトウは違うの? フキのあく抜き方法は? 今が旬のフキを食べましょう」です。
Contents
■フキとフキノトウとの違いは?
ありません!
同じです。
えー、違うよ。
という声が聞こえてきそうですが、基本的に部位が違うだけで、植物としては同じです。
では、どんな植物なのか、というところから書きましょう。
フキはキク科の植物です。日本原産の植物で、日本全国に自生しています。北海道から沖縄まで、それこそアチコチで見ることができます。
我が家の近所でも見かけます。
販売されているものは、自生したものというより、食用に栽培されているものがメインです。わたしは個人的には、自生したものを採るよりも食用栽培されたものを購入することをおすすめしています。このあたりの理由は、後述するとして、フキという植物についてもう少し詳しく書きましょう。
フキとフキノトウを同じだと感じない理由は、おそらくその形状の違いにあるでしょう。
そして、自生しているフキやフキノトウを見たことのある方は、「いっしょに生えていなかったよ」と思い出すでしょう。
そうなのです。フキとフキノトウが別物に見えてしまうのは、フキという植物の特性にあります。
フキと呼ばれる茎と葉に見える部分。これは正確には、葉と葉柄です。葉柄というのは、枝と葉をつなぐ細い部分。イラストにしてみると、こんな感じです。
それが地下で長い根っこのようなものでつながって花蕾(ようするに花です)が離れた場所で顔を出します。これが、いわゆる「フキノトウ」。
根のような部分は、実は茎です。地下茎といいます。
余談ですが、ジャガイモも地下茎です。
ジャガイモは地下茎と呼ばれる茎が肥大化したものです。
ならばサツマイモは? サツマイモは根っこにあたります。どちらも同じ芋ですが、植物としてはまったく違う部位を食べているのです。
つまり、フキとフキノトウは同じ、ということです。
■今だけの味 フキを食べよう
フキの旬は、春。
まさに、今食べたい食材のひとつです。
ただし、フキは食べる前にちょっとだけ手間をかけなくてはいけません。
というのも、アクがあるからです。
アク=悪い
こんなふうに思われるかもしれませんが、ある程度のアクはその野菜の個性を表現する部分でもあるので、完全に悪者ではないのです。
ただ、フキの場合は…うーん、悪者かもしれません。
というのも、フキにはピロリジジンアルカロイド類が含まれているという調査結果が報告されているからです。
このピロリジジンアルカロイド類とは(舌を噛みそうな名前ですが)、自然界に存在する毒素のことです。農林水産省によると、近年国際的に天然毒素が注目されており、日本でも調査をしたところ、キク科のフキから検出された、という報告があがっています。
「毒素」という言葉から、「食べないほうがいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、食べることを禁止するものではありません。そこは、ご安心ください。
あく抜きの手間をかければ問題ない、という結論が出されています。そもそもアク抜きは、えぐみの強いフキを食べやすくする先人に知恵ですが、結果的に安全性を高める効果もあるのです。
ただ、農林水産省によると、一度に大量に食べることは推奨できないとしています。そして、同時に幼児や妊婦は避けたほうがよい、とも発表しているので、注意してくださいね。
それならアク抜きはどうしたらいいの? という声が聞こえてきそうです。そこで、アク抜きについてもご紹介します。
◇フキのアク抜きの方法
方法としてはとても簡単です。
- 塩で板ずりをして、熱湯で3分茹でる。
- 冷水にとる。
- 温度が下がったら、皮をむく。
これだけです。これだけ簡単3ステップです。下に動画にまとめてもいるので、こちらも併せてご覧ください。
なお、注意点はひとつ。皮はかならず茹でてからむいてください。生の状態ではむきにくい、というのもありますが、アクで手が黒っぽく汚れます(しかも落ちにくい)。気をつけてくださいね。
■下処理後のフキはどう食べる?
基本的に和食で食べる機会が多いのではないかと思います。
代表的なものは、しょうゆや酒、砂糖で煮込んだ「きゃらぶき」。
油揚げとだしで煮るのもおすすめです。
ただ、フキは洋食にも合います。
わたしはパスタやグラタンなどにして楽しんでいます。
フキ=和食
と考えがちかもしれませんが、ぜひ自由な発想で楽しんでくださいね。
■フキノトウはどう食べる?
フキノトウもフキと同様、ひと手間かける必要があります。
基本的には同じです。
熱湯で2分茹でて(フキより短時間でOKです)、冷水にとって冷ます。
これだけです。
一般的なのは、「ふきみそ」でしょうか。味噌と砂糖(みりんを使われる方もいます)、酒を練り上げ、刻んだふきを加える、というだけです。
ほろ苦いみそは、ごはんにぴったりです。
また、天ぷらにしてもおいしですよ。
こちらも和食に限らず、炒め物などでも美味しくいただけるのでぜひアレンジをしてみてくださいね。
■フキとフキノトウの栄養
フキが身体に及ぼすうれしい影響は、なんといってもデトックス!
冬の間にじわじわ身体にたまった老廃物を排出するのに、大いに役立ちます。
冬眠から目覚めたクマが、一番最初に口にするのが、フキノトウだと言われています。クマはおそらく(?絶対?)デトックス云々ということは知らないのでしょうけれど、本能で身体に必要なものを知っているのでしょう。わたしたち人間もまた、自然界に生きる動物なのですね。
ほかにもフキは、薬膳視点でいえば、身体の余分な水を排泄してくれる力が強いとされます。過剰な水はむくみや冷えの原因にもなります。気になる方はぜひ召し上がってくださいね。
さらに、胃腸のはたらきをスムーズにしたり、血行をよくしたりする力もあります。
一方で、余分な熱もクールダウンしてくれるので、のどや鼻の炎症を抑えてくれます。結果的に、咳止めの役割を果たします。
現代栄養学の観点からいえば、カリウムやカルシウムが含まれます。
カリウムは利尿作用がある栄養素として知られていますから、薬膳と栄養学とでは共通した部分があるともいえますね。
さらに、近年話題になっているのが、フキ特有のポリフェノールの一種「フキノール酸」です。これは咳止めにも使われる成分なのですが(このあたりも薬膳と共通しています)、実は花粉症にも効果があるという研究結果があるのです。花粉症の鼻炎を抑える力があるとして、注目度が上昇しています。
栄養面からいっても、春先にぜひ食べたいもののひとつですね。
■美味しいフキの見分け方
フキは葉が元気なものを選びましょう。
また葉柄の部分(茎のように見えるところです)は、緑色がハッキリとしているだけでなく、やや赤みがかっているものがおすすめです。
ただ、購入後はできるだけ早く下処理までしてしまうといいですよ。
ええ、面倒…という声が聞こえてきそうですが、熱湯3分です! 皮むきもテレビをみながらちょこちょこできます!
■自生しているフキは食べられる?
冒頭で書いたように、フキは日本独自の植物で日本各地で見ることができます。
当然、近くの野山に行けば自生しているフキを探すことはできます。
山菜採りのノリで収穫して食べても大丈夫か、という話です。
もちろん、土地の持ち主に断りなく採ってしまうのは、法的にも問題なので、そこはいうまでもないのですが。誰のものでもない土地の場合はどうでしょう。
結果からいうと、あまりおすすめしません。
とくにフキノトウの場合一見するととても似通った植物があり、毒性の高いものがあるからです。その正体は、福寿草とハシリドコロ。
実際に農林水産省はホームページ等で間違いやすいうえに、両者は毒性が高いので注意喚起を促しています。
野生のキノコの見分けが素人に難しいように、野生のものはやはり素人には手出しできないように感じています。だから、わたしは個人的には自生したフキを採って食べることをおすすめしていません。
栽培された安全なものが数多く出回っているので、わたしはそれらを購入して春の味覚を楽しんでいます。
先日、レッスンでそのようなことをお話したところ、道端に生えているものは多かれ少なかれお散歩中の犬の洗礼を受けているのではないか、というご意見もありました。…それも一理ありますね。
とはいえ、フキやフキノトウを採りたいと考えている方は、じゅうぶんにお気をつけてください。繰り返すようですが、個人的にはなかなか賛成しかねますけれども。
■フキとフキノトウは同じ? のまとめ
結果からいうと、フキとフキノトウは同じです。
食べる部分がちょっと違うだけで、植物としては同じ。
そして、大切なのはアク抜きをすること。
アク抜きは、わずか3ステップです。
- 塩で板ずりをして、熱湯で3分茹でる。
- 冷水にとる。
- 温度が下がったら、皮をむく。
フキノトウは、さらに茹で時間が短くわずか2分!
デトックス効果を期待できるフキは今が旬です。
ぜひタイミングを逃さず、美味しく召し上がってくださいね。
さて、ベジ楽ではブログに書かれているような野菜や健康の話、ダイエットに関する話題や料理に関する話、食材に関するマニアな話を毎週火曜日に配信しています。2020年3月現在、お友達登録をしてくださった方全員に「ミニ体質診断チェックシート」をプレゼントしています。診断結果をトーク機能からお教えください。結果に基づいて、おすすめの野菜や食材についてさらに詳しい情報を動画にて無料でプレゼントしています。
この機会にぜひご登録ください。