日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡でも千葉でも、オンラインで全国の方々と「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ナスの美味しい食べ方を教えます!」です。
なんだか、教えます、と書くと「上から」の言葉のようですね。そろそろ秋ナスが出回って、どうやって食べたらいいでしょう、というご質問にお応えします、ということです。
Contents
■夏からずっと食べてきたけれど、秋ナスもまだある!でもどうやって食べたらいいのか、わからない。
美しい色とツヤが特徴のナス。
夏野菜の代表格ともいえるでしょう。ただ、トマトやトウモロコシとは異なり、秋の足音が聞こえてもまだまだ食べられるのが特徴です。「秋ナス」という言葉からも、収穫期が長いことがおわかりになると思います。
ナスは、美味しいタイミングが長く続く。
これは、ほんとうに嬉しいことです。嬉しいことですが、ご質問をしてくださった方は「ナスは夏からずっと食べていて、でも食べ方がワンパターンで、そろそろ違うレシピを知りたいといつも思います」とのことでした。
ああ、わかります。美味しいけれど、食べ飽きる。もしくは、美味しいけれど、食べ疲れる。贅沢ではありますが、わたしたち人間の舌には、同じ味に飽きるという習性があります。
ナスも暑くなってきた頃に「わ、今年のナスだ」と食べ始め、そろそろ秋という頃も出回っている優等生ゆえに、「いつもと同じでは飽きてきた」と感じるようになるのでしょう。
というわけで、今回の記事は
1.ナスは好きだけれど、そろそろ食べ飽きてきた方
2.同じ料理ばかり続いてしまう方
3.家族にナス料理を作ると「ええ、またぁ」と言われた経験のある方
4.秋ナスと夏のナスの違いを知って食べたい方
におすすめの内容です。
■嬉しいけれど、ナスを食べ飽きる、ということがあります。わたしもありますよ。
先程書いたように、人間の舌は贅沢です。とても贅沢。
わかりやすい例えをあげるなら…甘いケーキを食べた後、なにやら塩気のあるものが食べたくなっておせんべいをかじる。口がしょっぱくなったからと、またキャンディーをなめる…ほぼエンドレスですね。
ナスも同じです。
麻婆茄子が好きだからと、ナスを購入するたびに麻婆茄子を作っていたら、頻度によっては「ちょっと違うものが食べたいな」となるのは、しごく当然のことです。
天ぷらだろうが、煮びたしだろうが、基本は同じで、「同じものが続くと飽きる」のです。
わたしは野菜ヲタクです。だから、ナスはいくら食べても美味しいと感じます。
ただし、それは「違う料理に仕上げるから」であって、同じ料理を繰り返し食べるから、というわけではありません。
そして、ナスは和食に限らず、中華でもイタリアンでもなんでも合う、超がつく優等生です。せっかくだからいろいろ食べたいですよね。わたしも激しく共感するところです。
調理のコツを抑えることで、ぐっと美味しく、さらにレパートリーを広げることもできます。続いては、調理のコツについてご紹介します。
■ナスの美味しい食べ方にはコツがあります。キーワードは「あぶら」と「生」。
ナスにはいろいろな食べ方があることは、先程書きました。品種も多い野菜で、地方色もかなり強いのですが、ナス全般に共通している美味しい食べ方のコツです。
1.油との組み合わせを楽しむ
2.フレッシュなみずみずしさを楽しむ
この2つです。
より具体的に説明いたします。
◇ナスと油は名コンビ!だから美味しい食べ方が生まれる
これはナスの細胞にも関係することなのですが、ナスのほとんどの部分がまるでスポンジのようなふわふわとした構造をしています。実際にナスを切ってみて、白い部分を指で押してみてください。
引き締まっていても、どこか弾力を感じると思います。この弾力こそ、わたしがナスをスポンジのようだと表現する理由です。そして、同時にナスと油の相性の秘密でもあります。
渇いたスポンジが水を勢いよく吸収するように、ナスもまた油を勢いよく吸収します。そして、それによってトロトロの食感へと変化します。
これはとても美味しい!
ただ、この吸収具合(仕上がった際のトロトロ具合)はナスの品種によって異なります。わたしの肌感覚でいうと、外国にルーツのあるゼブラ(イタリア)や米ナス(アメリカ)などはやはり油との相性がすばらしくよいです。もともとこれらは皮が硬いので、しっかり加熱するとよいのですが、油を一緒に調理するとほんとうにとろけるような食感に生まれ変わります。これ、本当に美味しいです。
ただ、ときどきレッスンでお見掛けするのですが、油に罪悪感を抱かれる方がいらっしゃいます。もちろん、油をゴクゴク飲んでいては身体にマイナスなのは明らかですが、ことナスに関しては油をケチらないほうが美味しいです。
1品だけに注目して「油を摂りすぎた」と心配するより、1品は美味しくいただき、そこで使った分、ほかの料理で油を控えるなど、調整することをおすすめしたいです。
そうはいっても、やっぱり油が気になるという方は、油で炒めるような場合、ナスの皮から油に触れるようにフライパン等に並べてください。皮とスポンジ状の果肉では油の吸収スピードが違います。皮のほうが油を吸収しにくいので、ちょっとしたことですが、仕上がりに差が出ます。
◇ナスは生でも美味! 美味しい食べ方はシンプルに生まれる
ぬか漬けや浅漬けといった漬物類と相性がよいのもナスの特徴です。とくに日本に古くから伝わる品種は、生食がぴったりです。
代表的なものは、水ナス(大阪)や十全(新潟)です。とくに水ナスはギュッと絞ると水がジワジワ垂れるくらいの水分量です。昔は農作業の合間の水分補給にかじっていた、ということも耳にしたことがあるほどです。
これらの生食はなんといっても、そのまま食べたい! 鈴虫の気分でせっせと召し上がってください。
おすすめはぬか漬けですが(栄養価がグーッと高くなります)、いきなりぬか床を用意するのは難しいでしょう。
塩もみするだけでもじゅうぶん、ナスのフレッシュな美味しさを実感できます。
生にプラスドレッシング。さらにわさび醤油で大人の味。
意外なところでツナマヨもいけます。
わたしは塩もみをして、軽く水分をぬいたところに明太子を混ぜたり、梅干しをちぎって混ぜたりするのもすきです。そこに削り節をドサッとのせる…書いているだけでヨダレが出そうです。
■ナスを美味しく食べるための注意点
ナス調理には注意すべきポイントがあります。
油と組み合わせるにしろ、ナスは切ってから放置してしまうと断面が茶色っぽく変色してしまい、味も落ちます。
これは酸素に触れることで、「褐変」と呼ばれる現象を起こしているのですが、食べられないわけではありません。ただ、残念ながら多少味は落ちます。
ナスを美味しく食べるには、切ったらすぐに調理する! と覚えておくと間違いないでしょう。
ほかに有効な方法としておすすめしたのは、水にさらす、塩もみをする…といった方法もありますが、「その前に調理してしまえば大丈夫!」とレッスンではお話をさせていただいています。
先人たちは、ナスを切った後水にさらしてアク抜きをしていましたが、今はその必要はないとわたしは考えています。最近出回っているナスは、昔と異なり、比較的アクが少ないことが理由ですが、アクもナスらしさの理由でもあり、栄養の一部でもあるからです。
なにより、ひと手間省けるなら省いてしまいたいです(笑)。
なお、アクや苦味がマイルドになっているのは、ナスに限ったことではありません。野菜や果物全般にいえることです。
美味しく食べることはとても大切ですが、省ける手間を上手に省いて気持ちもラクにしていただけたら、嬉しいと思います。
■まずは店舗で上手に美味しいナスを選びましょう。美味しいナスの見分け方
ナスは表面がツルツルです。だから、ツルツルピカピカの子を選んでください。
傷がついているナスは、どうしてもその傷を修復するために外皮が硬くなります。また、傷口から傷みやすくなっているので注意が必要です。できれば避けたいところです。
さらに、チェックしたいのが「ヘタ」です。
ヘタの断面がきれいなものは新鮮です。一方、ヘタの切り口が茶色だったり、カサカサしたりしているものは避けましょう。
そして、これは可能ならぜひチェックして欲しいのです。
ヘタのトゲトゲ具合。
鮮度のよいものは、ここが痛いくらい尖がっています。チクチクです。針や棘といってもよいくらいです。そういったナスを見かけたときには、迷わず買いです! ぜひ買ってください。
ただ、ビニール袋に入っているとなかなかうまくいきません。袋に入って販売されているものを勝手に開封してチェックするわけにはいきません(それは大人の正しい行為ではありませんよね)。袋の上からさりげなく(ここがポイント)ヘタの具合をチェックしてみてくださいね。
そして、重量もチェックしたいところです。手にしたときに適度に重いものはみずみずしく新鮮です。
■ナスが美味しいのはギリギリ秋まで。駆け込みでぜひ召し上がって!
ナスを食べたくなりましたか?
わたしは、食べたくなりました。ただ、残念ながらナスの旬も間もなく終わろうとしています。駆け込みでぜひ召し上がってくださいね。
ところで、よく耳にする「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉ですが、これには大きくふたつの解釈があります。
1.秋ナスは貴重で美味しいから嫁に食べさせるなんてモッタイナイ!
2.秋ナスは身体を冷やすから、出産予定のある嫁の身体を守るために食べさせてはダメ!
さて、皆さんはどちらだと思われますか?
わたしは…うーん、これ、いつも迷います。ドラマチックにするなら、演出しやすいのは1でしょうか。ただ、本音をいえば2であって欲しいです。どんなに考えても正解があるわけではないので、皆さんそれぞれの解釈でよいですよ。さ、どっちでしょう?
■まとめ
いかがでしたか。
ナスを少しでもかわいいと思っていただけたら嬉しいです。この記事をまとめると…
1.旬が長いナスは、種類もたべ方もいろいろです。
2.ナスを美味しく食べるポイントは2つ「あぶら」と「生」。
3.ナスを美味しく食べるために、褐変を防ごう。
4.美味しいナスの見分け方はツヤとハリ、注目すべきはヘタです。
5.ナスの旬も間もなく終了。今こそ食べておきましょう!
ベジ楽では毎週、こんな野菜ヲタクトークを繰り広げております。
LINEにご登録いただいくと、毎週火曜日に「オイシイ話」が届きます。もちろん、無料です。この機会にぜひご登録ください。