日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡でも千葉でも、オンラインで全国の方々と「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「今が旬の梨の魅力」です。
Contents
■梨の季節。いろいろな品種があるけれど、どう選べばよいのかわからない。
梨は古くから日本で食べられてきた果物です。その記録は、弥生時代にまでさかのぼれるといわれています。また、栽培は平安時代から始まった、ともされます。
中国ではもともとは宮廷で栽培されていた、特別な果物でした。一般庶民にはなかなか口にできなかったことも、容易に想像できますね。
8月から10月にかけて旬の果物で、今は特別安価ではありませんが、手が出ないほど高価でもない、といったところ。梨は庶民にも美味しく楽しめる果物です。
人気者ゆえ、品種もとても多いのが特徴です。
さらに、品種が多いだけでなく、品種を選んでお買い物できる果物でもあります。最近は野菜や果物に「品種を選べる」ものが増えています。スーパー等に並ぶものにも、品種が記載されています。自分の好みで選べる、ということは消費者であるわたしたちにとってうれしいことです。
梨の場合、「幸水」や「二十世紀梨」というように書かれていることが多いです。
究極的には好みで選びましょう、ということになるのですが、せっかくなのでブログをご覧くださっている皆さんのヒントになることを書いていきます。
実は以前もこちらで梨について書いているのですが、もう少し実用性のある内容でお届けします。
だから、この記事は
1.梨が好きな方
2.梨が好きだから、しっかり選んで食べたい方
3.梨の甘みやみずみずしさをトコトン楽しみたい方
4.とにかく食いしん坊な方
におすすめの内容です。
■熟すと赤くなるはど、色づく果物と違ってよくわかりにくいのは確か。わたしも何度も首をかしげてきましたよ。
梨はパッと見ただけでは「熟した」という状態を判別しにくい果物です。
熟してもグリーンや赤身がかった茶色のままなので、「赤くなってきたから食べよう」「紫色になったから食べごろ」といった色による判断が難しいのが現状です。
わたしも何度となく「これは食べごろ?」と首をかしげてきました。
実際に食べてみて、歯ごたえがふにゃりとしてしまった梨に「あー、おいておき過ぎちゃった」とがっかりしたこともあります。
果物には、購入してすぐに食べたほうがよいものと、購入後時間をかけたほうがよいものとがあります。
購入してすぐ食べたいものの代表格が、イチゴと桃です。これらは日保ちがしないので、早めに食べたほうが圧倒的に美味しいです。
逆に、時間をかけたほうがよいものは、「追熟」を必要とするもの。追熟とは、未熟の状態で収獲し、その後食べる直前まで時間をかけて完熟させるもの。メロンやリンゴが該当します。
梨は、購入後、追熟しなくてもよい(買ってすぐに食べて問題ない)果物です。基本的に梨は買ったらすぐに食べましょう。
ただ、梨のなかでも「ラ・フランス」に代表される洋梨は、ちょっと事情が変わります。ラ・フランスは未熟の状態で出荷されます。だから、店頭に並んでから、約1週間後が食べごろ。香りが強くなってきたら、甘く美味しくなっています。と、同時に食べごろの洋梨はお尻(ヘタの反対側)をそっと触ると指先に弾力を感じます。これは確実に「美味しいサイン」です。
ただ、店頭でこれをやるのは人としてNGです。やはり商品ですから。さわってみて確認するのは、購入後ご自宅に帰ってからにしましょう。
洋梨以外の梨は一般に「日本梨」と呼びます。中国にルーツのある梨は「中国梨」といいますが、これはあまり流通していません。皆さんが梨といって思い浮かべるのは、ほぼ確実に「日本梨」そして「洋梨」でしょう。
日本梨についていえば、先程書いたように追熟は必要ありません。食べごろに収穫され、その状態をキープできるので、買ったらすぐに食べても大丈夫です。
■梨の品種の特徴をまずはチェックしてみましょう。
先程書いたように梨は3つのタイプがあります。それぞれ日本梨・洋梨・中国梨といいますが、名称そのものに振り回される必要はないかと思います。なんとなく、3つにわかれるのね~程度の認識で大丈夫。
でも、なんとなくでも、それぞれの特徴を知っておくと、食べる際により美味しくいただくことができます。
◇日本梨
日本梨はいわゆる、シャリシャリとした食感の梨です。
代表的なのは、幸水(こうすい)や南水(なんすい)、新高(にいたか)、新興(しんこう)といったところでしょうか。
旬は8月末から10月まで。これは品種によります。だいたい秋風が吹き始める頃と同じようなタイミングです。
シャリシャリの食感の正体は、リグニンやペントザンと呼ばれる成分からできた「石細胞」。リグニンやペントザンが蓄積されて細胞膜が固く分厚くなったもので、これによって独特のシャリシャリした食感が生まれます。石という文字は、食べ物ではないような印象を与えませんか? わたしは初めて聞いたときにビックリしたことを覚えています。
さらにいうと、日本梨は大きく2つに大別できます。
ひとつは、赤梨と呼ばれるもの。幸水や新高に代表される茶色がかった梨です。
もうひとつは、青梨と呼ばれるもの。こちらの代表選手は二十世紀梨です。今は鳥取県のブランド梨として有名です。ただ、生まれは鳥取ではないのです。二十世紀梨が誕生したのは、わたしが現在住んでいる千葉県の松戸市。
話は聞いていましたが、転居の続きをするために市役所を訪ねた際に具体的なことを知りました(市役所に資料がおいてありました)。わたしは梨が好きでいろいろ食べるのですが、基本的に赤梨が多いです。赤梨がより美味しいという理由ではなく、毎年いただく梨が赤梨であること、以前住んでいた福岡で手に入るものに赤梨が多かったことが理由です。
ただ、せっかく青梨の代表選手とご縁がつながったようなので(笑)、今年は二十世紀梨を美味しくいただこうと考えています。ちなみに、二十世紀梨の旬は9月上旬から10月上旬にかけて。まさに今です! 食べますよ。
◇洋梨
トロリとした食感が美味しい梨です。カタチは球形というより、セクシーな感じ。わかりにくいでしょうか。女性の身体を思わせる美しい曲線美が特徴です、という表現で伝われば、と思います。
品種として有名なのは、前述した「ラ・フランス」。山形県が産地として有名です。ほかに上品な貴婦人を思わせる「ルレクチェ」や香り豊かな「オーロラ」などなど。最近は海外生まれの子を含め、いろいろな品種を選べるようになってきました。
洋菓子との相性も抜群です。洋梨のタルト…わたしは大好きです!
■梨の品種は違えども、食べるときに注意すべき共通点とは?
一般に冷やしすぎないように、と言われています。
梨農家さんを福島、石川、福岡、鳥取と取材したことがあるのですが、皆さん異口同音に「冷やしすぎないほうがいい」とおっしゃいます。
食べる1時間前に冷やして(冷蔵庫に入れて)ちょうどよい、というのが農家さんの共通見解です。
その理由は、冷やし過ぎてしまうと梨が本来もっている甘みを感じにくくなってしまう、というもの。ただ、常温ではやはり美味しくないので、ちょっとひんやりくらいがいいよ、と言われました。
確かに人間の舌は、温度によって鈍くなります。冷たいものは甘みを敏感に感じにくいのは事実。これは炭酸飲料水を例にあげるとわかりやすいでしょう。ぬるくなった炭酸飲料水をひと口飲むと、ビックリするくらい甘く感じた経験はありませんか? 理屈としてはそれと同じです。
適度な冷えで美味しく食べてください。
それと、わたしは切ったらすぐに食べる方がよいと感じています。お弁当に入れて持ち歩くような場合は仕方ないのでしょうけれど、そうれでなければ切ったらすぐに召し上がってください。切り口からドンドン味が落ちるように感じます。とくに洋梨の場合、切り口がリンゴのように褐変し、美しい乳白色が茶色っぽく沈んでしまうので見るからに残念な感じになります。塩水(単なる水でも可)に浸して、断面が直接酸素に触れないようにコーティングすれば多少なりとも褐変は抑えられます。
ひと手間かかりますから、いちばんよいのは「切ったらすぐに食べる」だとご提案したいです。
■梨は秋の足音が聞こえてきた今こそ食べたい果物です!
梨はその成分の80%以上が水です。
梨を食べていると、喉がうるおったように感じるのも納得です。
加えて、梨が旬を迎えるころは秋の足音が聞こえるころと重なります。これが、野菜ヲタクである林が「梨は今食べましょー!」とおすすめする理由です。
朝晩が少しずつ冷え、秋風を感じるようになると、空気が少しずつ乾燥し始めます。最近は気象もこれまでと同じような感じではないので、「〇月には秋」というのは難しいのですが、これを書いている2020年9月上旬は台風一過で朝晩がさらに秋の様相を呈してきました。
まだ日中は暑いので油断しがちですけれども、それでも確実に乾燥モードになりつつあります。
乾燥は女性にとって大敵です。とくにアラフォーと呼ばれる世代は、お肌の曲がり角どころか急カーブを描きやすいので、気をつけてください。
目の回り、口の回りがカッサカサになってしまってはイタイ! これ、自戒を込めて書いていますが、やはりウルルンしとした女性を目指したいものです。
もっというと、乾燥は便秘の原因にもなり得ます。もちろん、便秘の原因はいくつもあるので、すべてが乾燥のせいとは申しません。ただ、身体のなかに余分な熱がこもりうるおい不足なると(これが乾燥)スムーズな排便を阻害します。
みずみずしい梨は、身体にも美味しいというわけです。うーん、すばらしい!
■梨の旬は今まさに! 果物のシーズンは意外と短いので、モタモタせずに食いしん坊になりましょう。
梨は品種にもよりますが、8月後半から早生種が出回りはじめ、9月の今がほぼ最盛期。この後は10月ぐらいまで楽しめます。
大きさも、香りも、舌ざわりもそれぞれです。ご自身のお気に入りをみつけよう、とうい気持ちでいろいろと召し上がっていただけたら嬉しいです。
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■まとめ
いかがでしたか? 梨っておもしろーいと感じていただけたでしょうか。それもとも、「食べたーい」でしょうか。食べたいと感じられた方、今ですよ、今!
今回の記事をまとめると…
1.梨は種類が多い。大きく日本梨と洋梨、中国梨に分けられるが、一般的なのは日本梨と洋梨。
2.日本梨は買ったらすぐに食べてOK!
3.洋梨は香りが強くなったら食べごろ。お尻の部分の弾力でも判断できる。ただし、お店でやるのはNG!
4.美味しく食べるコツは2つ。冷やしすぎないこと、そして切ったらすぐに食べること。
5.秋の乾燥対策にもみずみずしい梨はおすすめです!
6.梨の旬は8月後半から10月にかけて。今がまさに食べ時です!
です。ぜひ、美味しい梨を美味しいタイミングで召し上がってくださいね。