日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡でも千葉でも、オンラインで全国の方々と「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「だしは本当に必要か!?」です。
Contents
■だしがないと料理が美味しく仕上がらないと思っている。でも、だしをとるのが面倒だから、つい「だしの素」に手が出てしまう。
だしがしみて美味しい。
だしが効いていて美味しい。
とてもよく聞く言葉です。テレビや雑誌の食レポでもよく耳にし、目にします。わたしも小レポを書いていたときにも、常套句のように使うこともありました。本当のところ、わたしはヒネクレモノなので(笑)、可能な限り使わないようにはしていましたが、担当の編集さんが修正してくださることも、少なからずありました。
ここからわかるのは、「だしがしみる=美味しい」という方程式が多くの方の頭にインプットされているということ。
だから、だしをとったほうがいいけれど、今日は疲れてしまったから「だしの素」を使おう、という発想になるのでしょう。さらにいうと、多くの方がインスタントのものをよしとしてはいません。そのため、少し罪悪感もあるようです。
今回の記事は
1.料理にはだしが必要だと思っている方
2.だしが必要だけれど、わざわざだしをとるのは面倒だと感じている方
3.短時間でだしがとれる、市販のだしの素を使ってしまうが、それに罪悪感のある方
4.そもそもだしって何だろう、と疑問に思う方
におすすめの内容です。
■市販のだしの素がいけないわけではないです。茅乃舎のだしは美味しいですし、手軽です。よくわかります!
そもそも市販のだしに罪悪感を覚えるのはなぜでしょうか。
わたしは、罪悪感を覚えることなく使ってください、と言いたいです。便利ですよ、市販のだし。ものにもよりますが、ホントにおいしいものもあります。
わたしの回りで人気の高いのは、茅乃舎のだしです。
福岡の会社だということもあって、福岡でレッスンにご参加くださった方々にとても人気がありました。
今や全国区の会社のようなので、ぜひ興味のある方は一度お試しください。わたしも美味しいと思います。
市販のだしの素に皆さんがつい手を伸ばしてしまう最大の理由が、おそらく「手軽だから」でしょう。袋をポンと入れるだけ、商品によってはスティックから顆粒のだしをサラサラと鍋に投入するだけ。
この手軽さはなかなか優秀です。
だから、時間がないけれど、だしをきかせたい、という方は市販のだしの素を堂々と使ってください。そこに罪悪感は必要ありません。
あえて欠点をあげるなら、料理の後味がすべて似通ってしまう、という点です。
これはどうしようもありません。旨味をギュッと凝縮しているぶん、市販のだしの素は独特の強いパンチが生まれます。だから、料理の後味として口に残るものが、どれも似たり寄ったりになってしまうのです。
これが、わたしが便利なだしの素の欠点だと感じていることです。
手軽さという長所と、後味が同じという短所。
結局のところ、どちらをとるか、という点に尽きると思います。
わたしは、多くの人が予想しているとおり、味をとります。だから、基本的に市販のだしの素は使いません。もちろん、プレゼントしていただいたものは喜んで美味しくいただいていますが、自分では購入することはほぼゼロです。
皆さんは、どちらを選びますか?
■そもそも「だし」がなければ料理ができないのでしょうか。
そもそも「だし」って必須ですか?
根本的な問題に立ち返ってみましょう。
だしがなければ料理は成立しないでしょうか。
昨今、いろいろな商品で「だしが美味しい」やら「だしがきいている」といったキャッチを使っていることもあり、「だし=美味しい」「だし=必要」といった無言の圧力のようなものを感じます。あくまでも、わたし個人が感じているだけで、皆さんが感じていなければそれはそれで構わないのですけれど。
それでもレッスンでたびたび「だしはどうすればいいですか?」というご質問をいただくので、「だし必要論」を感じていらっしゃる方は少なからずいらっしゃるのだと思います。皆さんは、いかがですか?
わたしは、先程市販のだしの素は基本的に買わない、と書きました。さらにいうと、だしも要らないと感じるケースはとても多いです。
そして、要らないと感じたら、潔く使いません(笑)。要らなーい!
野菜にしろ、肉にしろ、魚にしろ、そもそも料理に使う素材そのものに旨味成分が含まれていることが多いからです。しかも、それぞれにとても個性的。
本当に美味しいですよ。
ただ、市販のだしの素は旨味成分が凝縮されているだけあって先程書いたようにパンチがとても強いものですから、慣れてしまうと「もの足りない」と感じるかもしれません。人間の舌は敏感なようで鈍く、鈍いようで敏感です。と書くと訳が分からないかもしれませんが、「人間の舌は習慣に弱い」のです。だから濃い味、強い味に慣れていると、そこが「感じるセンサーの基準」になってしまいます。薄く繊細な味を感じたい方は、そこを「感じるセンサーの基準」にしてみてください。当初は時間がかかるかもしれませんが、変わります。
感じるセンサーを敏感にしてみると、野菜や肉や魚のもつ滋味深い旨味の虜になることでしょう。ほんとうに美味しいのです。
だから、わざわざ「だし」を準備しなくても、じゅうぶん美味しい料理はつくれます。楽しめます。
■だしゼロでも調理はできます。肉も魚も野菜も自ら美味しい旨味を出してくれます。
実際にだしゼロでどのようなものが作れるのが考えてみましょう。
といっても、基本的なものはほぼすべてだしゼロで作れます。
例として「肉じゃが」をあげてみましょう。
皆さん、肉じゃがをどのように作りますか? 実は以前、肉じゃがのだしについてはご質問をいただいたことがあるのです。「肉じゃがってだしをどのくらい入れたらいいですか?」と。
肉じゃがの一般的な素材は、
ジャガイモ
ニンジン
タマネギ
しらたき
牛肉
ですね。
いわゆる「おふくろの味」を連想させる人気の総菜です。
ここで使われている材料で、もっとも旨味成分が強いのは牛肉です。牛肉の旨味はイノシン酸と呼ばれるもの。このイノシン酸はかつお節の旨味成分と同じです。
さらにタマネギ! こちらはグルタミン酸が含まれています。グルタミン酸は昆布の旨味成分と同じです。
驚かれましたか? たしかにかつお節や昆布と比べると、旨味成分の量は少なめです。しかし、2つがブレンドされることでじゅうぶん旨味が引き出されます。旨味は複数合わさることで、相乗効果を起こし、さらに力強くなります。
肉じゃがをつくるのに、だしは要りません。水を入れればじゅうぶんです。しょうゆやみりん(砂糖)は入れるだけで、素材がもともと持っている味を楽しめます。
もうひとつ、例をあげましょう。パエリアです。
専用のパエリアパンも人気ですが(インスタ映えしますしね)、フライパンでもホットプレートでもお手軽に作ることができます。
スペイン発祥の料理で、ごはん(本場ではパスタも使います)を炒め、うえに魚介や野菜をトッピングしてグツグツ加熱する料理です。日本では炊飯器でお手軽につくることもあるようです。
おもな材料は
ムール貝
エビ
パプリカ
タマネギ
トマト(わたしは入れます)
といったところ。
魚介は旨味成分の塊です.
ムール貝はグルタミン酸、エビはグルタミン酸とイノシン酸と、美味しくないわけがない、というくらいたっぷりです。
パプリカは…うーん、旨味という点ではやや劣ります。これは色どり担当。もちろん、美味しいですよ。
タマネギは先程書いたようにグルタミン酸です。
最後のトマトは、グルタミン酸が大量に含まれています。トマトケチャップが美味しいのは、トマトの旨味をギュッと凝縮しているからです。
レシピで「コンソメを溶いた水を加える」と書かれているものもあるのですが、個人的には要らないと思っています。だから、わたしはパエリアには基本的に炒めた後は水を足すだけです。コンソメを溶く手間も、洗い物もわざわざ増やさなくてもいいよねぇ、と思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。
だし(だしの素を含む)が絶対ではないことに納得された方も多いでしょう。
そして、同時に「パプリカのように旨味が少ないものの場合は?」と思われるかもしれません。そのような場合については、次の項目でお話をしましょう。
■昆布やかつお節など、乾物を味方にするのもおすすめです。そしてなにより気持ちをラクに!
肉や魚にも個性はありますが、野菜や豆の場合、「旨味が少ない個性」をもっている子たちもいます(もうヲタクとしては「子」という言葉以外に浮かびません)。
旨味の少ない個性の野菜が、けっして劣っているということではないのです。あくまでも「個性」ですから。
もし、あなたがこういった野菜に旨味をプラスしたいな、と思うのなら、肉や魚と組み合わせるのが手っ取り早いでしょう。
ただそれだと肉や魚が主役になりかねません。野菜を主役に据え置きたいなら、昆布やかつお節をとり入れましょう。
だしをしっかりとらないと、と思うと一気に料理のハードルがあがったと感じる方もいるようです。でも、そんなことありません。
昆布ならピッチャーやペットボトルに水と昆布をいっしょに入れて冷蔵庫にひと晩おけば、そのまま旨味たっぷりの昆布水がとれます。それをそのままだしとして使えば問題ありません。
それこそ料亭に出すような澄んだだしをつくるのなら、しっかりとルールを守ってだしをひいたほうがいいです。
でも、家庭料理の場合、そこまで気負わなくてもいいかな、というのがわたしの考えです。昆布もポイッ、かつお節も削り節のパックを使ってしまってOKです。理想はその都度削ることですが、そこまでしなくても問題ありません。ただ、昆布にしろ、かつお節にしろ、ちょっとだけお値段のよいものを選ぶのが、美味しさのコツです。
値段も味のうち、というと「は?」と言われそうですが、でも乾物に関しては絶対的にそうです。食材の力強さが違います。昆布もかつお節も同じです。気負わずに手軽に使うときこそ、よいものを使ってください。簡単にとっても、旨味がしっかり出ます。
昆布やかつお節の優れた点はいくつもあるのですが、なんといっても保存性の高さが嬉しいです。買っておいて、好きなタイミングで使えます。もともと保存食なので、半年程度は普通に日保ちします。
買ってみて、気が向いたときに使えばいいや、と思えば気がラクではありませんか?
■まとめ
いかがでしたか。
だしって要らないと思えました? いるとしても、簡単でいいや、と思えましたか?
気軽に考えて頂けたら嬉しいなと思います。簡単なら調理をしたくなりませんか? さらに野菜を使ったベジブロスも、野菜ヲタクのヘルプで簡単にできてしまいますよ。ご興味のある方は、ぜひライン登録をお願いします!
そして、今回の記事のまとめです。
1.市販のだしの素は手軽で便利ですが、だしは必ずしも必要ではない。
2.野菜も肉も魚も旨味成分のあるものが多いので、素材のもつ旨味でじゅうぶん美味しく食べられる。
3.昆布やかつお節など、日本の伝統的なだしの素もおすすめ!
4.まずは気負わずに気軽にチャレンジしてみて。