日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
福岡でも千葉でも、オンラインで全国の方々と「ゆるベジらく膳料理」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ハロウィンとかぼちゃ」です。
Contents
■ハロウィン用のかぼちゃが店頭に並んでいます。食べられるの? そもそもなんでハロウィンにカボチャなの?
わたしが子供の頃は、本当にわずかな人たちのお楽しみだったハロウィンですが、最近は市民権を獲得していますね。皆さんは、ハロウィンを楽しみますか?
わたしにとっての初ハロウィンは、小学生の時。わたしの年齢にしては早いほうだと言われます。当時、アメリカ国籍の先生に英会話を習っていたのですが、ハロウィンやクリスマスにはちょっとだけ特別なお楽しみタイムを設けてくださっていたのです。
新鮮で、「なんて楽しい行事があるんだろう」と思ったことを記憶しています。なにより、先生手づくりのアイシングされたカップケーキがきれいで心が躍りました。見てきれい、食べて美味しい。そんなケーキにとても感動したのです。…結局食べ物か、というツッコミも聞こえそうですが、仕方ありません。それが林です(笑)。
ハロウィンが市民権を得て、どんどん広がっていることもあり、最近はハロウィン仕様の商品も増えています。オレンジ、黒、紫…このあたりのカラーでラッピングされたお菓子はとてもキュートですね。
野菜もしかり。
クリスマスやバレンタイン以上に、野菜売り場はハロウィンの季節に盛り上がると感じます。皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか?
色とりどりのカボチャが並んでいませんか?
一般的なグリーンのカボチャはもちろんですが、オレンジや黄色、白なんかもありますね。大きさも大人が両手で抱えないと持ち上げられないようなビッグサイズもあれば、手のひらにのるようなミニサイズもあります。いろいろです。
そこで、今回は
1.ハロウィンとカボチャの関係が気になる方
2.ジャックオランタンって何なの?と疑問に感じる方
3.オレンジや黄色のカラフルなカボチャは食べられるのか知りたい方
4.ついでだから美味しいカボチャの見分け方を知りたい方
におすすめの内容です。
■ハロウィンの季節になると出回るカラフルなカボチャ。これって、食べられますか?
数年前から、よくいただくカボチャにまつわる質問のひとつが「カラフルなカボチャは食べられますか?」という質問です。
手のひらサイズでとてもかわいいうえに、カラフルなので「どうなの?」と思う方が多いようです。さらに、店舗でおいてあるのが「野菜売り場」ではないことも影響しているようです。ほとんどの場合、園芸コーナーやお花屋さんで見かけるからです。
実は、ペポカボチャはもともと園芸品種として改良されました。だから、食味を追求したものとはそもそものスタートが異なるわけです。
ただ、ペポカボチャのすべてが食べられないかというと、そうではありません。
よくおつまみ用として出回っているカボチャのタネ。これをペポカボチャでつくっているメーカーさんが多いのです。
実際にこのようなカタチで販売されているので、購入することもできます。
リンクをはっておきますね。かぼちゃのタネには栄養があるのはもちろんですが、実はとても美味しいのです。ナッツ類が好き、という方ならまず間違いない! とわたしは思っています。ご興味があればぜひトライしてみてくださいね。
そして、ハロウィンのカボチャといえば、多くの方がオレンジ色の大きなカボチャをイメージするのではないでしょうか。
こちらは「アトランティックジャイアント」と呼ばれる品種です。
オレンジがキレイ。大きいから食べ応えがありそう。そんな声も聞こえてきそうです。
でもね、これは…まあ、観賞用です。
同じオレンジ色のカボチャを選ぶなら、日本の品種「赤皮栗かぼちゃ」がおすすめです。アトランティックジャイアントほどのサイズはなく、むしろ両手にちんまりのる程度なので、ジャックオランタンには不向きかもしれません。ただ、味はピカイチ!
煮てヨシ、スープにしてヨシ、サラダにしてヨシ!
3拍子そろった優れものです。以前は、比較的珍しい品種ではあったのですが、最近は夏から秋にかけてみられるようになりました。
■仮装ばかりが注目されるハロウィン。そもそも何だろう? 気になりますよね。
さて、肝心のハロウィンの話がまだでした。
ハロウィンといえば、仮装! そんなふうに思われる方も多いとは思うのですが、それはハロウィンという行事のオマケの部分。本来の目的とはちょっと違います。
そうですね…クリスマスにケーキを食べる! というくらいには本流ではありません(笑)。
もともと、ハロウィンは古代ケルト人の伝統行事でした。西洋のイメージでキリスト教の行事だと考える方もいらっしゃるようですが、違います。
ハロウィンが行われるのは10月31日。この日は、ケルト人にとって大晦日にあたります。そして、その年の収穫を感謝する日でもあり、先祖の霊や悪霊が人間の世界に戻ってくる日でもあったのです。
収穫菜と大晦日とお盆がミックスされていた、といってもよいでしょう。
ケルト人が暮らしていたのは、現在のアイルランド。緯度が高く、冬が長い地域です。
ここはわたしの想像なのですが、おひさまをギリギリ楽しめる季節だったのが、10月末だったのかもしれません。これ以降はまさに冬。暗く長い冬は、今のわたしたちが体験している冬よりももっと暗く、長く、厳しいものだったに違いありません。昔は今のような暖房器具はありませんしね。明かりだって電灯が煌々と輝くなんてことはないでしょう。寒さだってずっと厳しかったはずです。
だから、長い冬を超える前に収穫を喜ぶとともに、先祖に感謝し…といったことをしていたのではないかと。長く厳しい冬は、ある種の不気味さや死と隣り合ったような恐怖もあっただろうと思います。食糧事情だって悪かったはずですから。だから、悪霊もやってくるのでしょう。
そこで、仮装です。
おそろしい悪霊の目を欺くために、仮装をしたのが、そもそもの始まりだという説が濃厚です。つまり「ほーら、わたしは死神みたいな格好しているでしょ。同じよ、仲間よ。だから連れていかないでね」という感じです。
このケルト人の行事がアメリカを経由して世界中に広まって、今のようなスタイルになりました。
カボチャに関していえば、もともとは蕪を使っていたそうです。ただ、ハロウィンがアメリカに伝わった際に、アメリカではカボチャのほうが入手しやすかったこと、そして収穫のタイミングがぴったりだったことからカボチャが一般的になりました。
カボチャをくりぬいたものを、ジャックオランタンと呼ぶ理由もあります。
直訳すればジャックのランタン(ランプ)。天国にも地獄にも行けなくなったジャックの悲しい物語があるのですが、今では悲しいというより、怖い? いえ、ユニークでキュートなオブジェとして親しまれていますね。
作り方自体はとても簡単です。ただ、カボチャは品種によってくり抜きやすくものと難しいものとがあるので、オレンジ色の大きいものをおすすめします。
日本のグリーンのかぼちゃは美味しいのですが、くり抜くのはちょっとエネルギーが必要です。なにしろ硬いので。
■ハロウィンのカボチャは、野菜ヲタクとしてもおすすめです
アメリカのカボチャが、ハロウィンのカボチャの由来です。
しかし、わたしはこのハロウィンの時季にカボチャを食べるのは、とても「オイシイ選択」だと思っています。
もともとカボチャは夏野菜です。当然、夏にたくさん出回るのですが、かぼちゃはとても保存性が高い野菜でもあります。
収穫仕立てのカボチャ(つまり夏に出回っているもの)は、とても水分が高いのです。これは、お米にもいえることです。
新米がふっくら美味しいのは、水分をたっぷり含んでいるからです。
収穫後、ゆっくり水分が抜けていき、ちょうとハロウィンの頃になるとほどよい抜け具合に落ち着きます。ホクホクしてくる、といえばわかりやすいでしょうか。
水分が抜ける、と書くと「切っていないものも?」と疑問に感じるかもしれません。確かに一度切ってしまったカボチャはものすごーい勢いで水分が抜けます。傷むまでのスピードも速いです。
切っていないかぼちゃの場合、収穫直後からゆっくりゆっくり水分が抜けていきます。
かぼちゃは水分が抜けると、しっとりよりもホクホクの食感を楽しめます。もちろん、品種によってもともとの水分量がとても多いものもあるので、すべてが同じ、というわけにはいきません。
赤皮栗かぼちゃを例にあげるなら、収穫後ほどよく水分が抜けてくるのがまさにハロウィンのころ。日本のかぼちゃの多くがそうです。
かぼちゃは保存性が高いこともあり、切らずに放置しておけば(冷暗所で、という条件はありますが)冬まで美味しい状態をキープできます。冬至にかぼちゃを食べるのは、ここに意味があります。
昔は冬場のビタミン摂取がとても難しかったのです。だから、保存性の高いかぼちゃはとても貴重でした。そもそも現代栄養学の観点からいっても、かぼちゃを食べて風邪予防を…というのは理にかなっています。
■カボチャは種類が多いので、いろいろな楽しみ方ができます。もちろん、ジャックオランタンも!
さきほどあげた、アトランティックジャイアントや赤皮栗かぼちゃ以外にも、かぼちゃの種類はとても多いです。
スープにするなら、上の写真のバターナッツという品種がおすすめです。
丸ごとグラタンにするような場合は、ぼっちゃんがおすすめ。
ほっくほくを楽しむなら、品種名に「栗」が入っているものがいいですよ。いかにものビジュアルですが、それ以上のホックホクの味わいの虜になるのが赤皮栗かぼちゃです。
鑑賞用なら断然、ペポカボチャ!
最近は、ペポカボチャも複数でセットになって販売されているケースがあります。小さいので日本の住宅事情でも飾って楽しめます。いいですよ、ペポカボチャ。
ただし、ジャックオランタンをつくるのはハロウィンぎりぎりをおすすめします。
先ほど書いたように切ってしまうと、急速にダメになってしまうからです。切った後は断面をラップフィルムで覆って冷蔵庫に入れれば、まだ日保ちします。しかし、ハロウィンのジャックオランタンは飾りたいですよね。屋外に。いや、屋内でも。
そうなると、美味しいかぼちゃを狙う虫が…! ムッシー王国をジャックオランタンでつくらなくてもよいのでは、と思います。ギリギリにつくってくださいね。
■ハロウィンに間に合わせてみませんか? ここで美味しいカボチャの見分け方を伝授!
まもなくやってくるハロウィン。
先ほど書いたように、今ならいろいろ選べます。
美味しいカボチャを選ぶには、いくつか注目したいところがあります。品種に関係なく、ココを見て選べばほぼ間違いなく美味しいかぼちゃをえらべます。もっとも観賞用はカタチと色重視で選択してくださって構いません。
食べるを目的としたかぼちゃは
1.皮に傷がないもの
2.皮にはりのあるもの
3.色むらのないもの
4.両手に持った時に適度な重みのあるもの
5.かたくしまった感覚のあるもの
です。
せっかくなので、美味しいかぼちゃを選んでくださいね。
■まとめ
いかがでしたか?
ハロウィンが楽しみになってきたでしょうか?
余談ですが、今住んでいるマンションは子供たちがハロウィンをやるようです。ムスメも珍しく参加したいと言っています(集団でなにかやるタイプではないらしく、かなり珍しい)。各家を訪ねてくる子供たちにお菓子を配るのが保護者の役なのですが、コロナのこともありいろいろと配慮する必要があるようです。
ムスメに、「ゴム製のめちゃくちゃ怖いゾンビのお面をかぶって子供たちを脅かしてみら楽しいかもね。お菓子頂戴ってきたら、わたしがワーッと出るの。お面をしてたら飛沫感染も心配なさそうだし」と軽い気持ちでいったところ、「幼稚園生もいるんだからやめて!」と本気で嫌がられました。…残念!
というわけで、今回の記事をまとめると
1.ハロウィンの飾り用に売られているカラフルなペポカボチャは園芸用品種で、観賞用です。ただし、種は加工して販売されており、食べられます。
2.ハロウィンといえば仮装! でも、本来は収獲さいと大晦日とお盆をミックスした行事。
3.かぼちゃではなく、カブをつかっていたハロウィンですが、アメリカを経由して広まる際にかぼちゃに変化しました。
4.ハロウィンの時季のかぼちゃは適度に水分が抜けていて美味しい!
5.美味しいカボチャは皮のはりや色で選ぶと失敗ありません。
そして、美味しいカボチャの食べ方はこちらの動画からどうぞ。
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