日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
今日のテーマは「ご飯の美味しい炊き方のコツのコツ」です。
野菜ヲタク視点で、美味しいご飯の炊き方について書きます。どうぞ最後までおつきあいください。
Contents
■炊飯器では美味しいごはんは炊けない? 鍋炊きのほうが美味しい?
炊飯器で炊くか、鍋で炊くか。
この質問は本当によくいただきます。
そして、ご質問いただくたびに、わたしは「ご自身はどう炊いていますか?」とも聞きます。
わたしの問いにたいする答えは、80パーセント近くが同じです。
「鍋のほうが美味しいだろうと思うけれど、難しそうだから炊飯器を使っています」というもの。
この答えが本当に多いです。
どうもレッスンにご参加くださる方の多くが「炊飯器でごはんを炊いているけれど、ほんとうは鍋のほうがよいのではないか」と常に疑問を感じている、という状態のようです。写真のような羽釜のごはんはなかなかお目にかかれないかもしれませんが。
このブログをご覧くださっているあなたはいかがですか? 共感できる方が多いかもしれません。
今回の記事は
1.ごはんは炊飯器で炊いている方
2.もっと美味しく炊ける方法があるなら知りたい方
3.鍋炊きに挑戦したい方
4.やさいヲタクが提案する「ご飯の炊き方のコツ」を知りたい方
におすすめの内容です。
■野菜ヲタクのわたしは鍋派です。でも、炊飯器も美味しいです
レッスン中に「お鍋の方が美味しいご飯が炊けますか?」というご質問をいただく理由が、わたし自身が鍋でお米を炊いているから、だと思います。
実際にレッスン中にごはんを炊くような場合、わたしはいつも使っている圧力鍋を取り出します。
そして、実際に圧力鍋を使って炊きます。
すると、「圧力鍋で炊くんですね」という驚きと、「やっぱりお鍋で炊いた方がいいんですよね」という言葉をいただくのです。
結論からいえば、お鍋も炊飯器も同じように炊けます。
どちらも、美味しいです。
「ただし」という注釈がつきますが、同じように炊けます。
「ただし」の部分が気になりますよね。
鍋にも、炊飯器にも、コツがあるからです。
◇鍋で米を炊くとき
鍋で米を炊くときには、しっかり蓋をすること(笑)。
「それだけ!?」というあきれた声が聞こえそうですが、基本はまずしっかり蓋ができることです。そして、できれば鍋のふちがちょっと高くなっているものだと便利です。
というのも、ごはんを鍋で炊くときにブクブクと泡立つことがあります。これは「おねば」と呼ぶこともある、でんぷんです。これが吹きこぼれると、掃除がなかなか大変です。
だから、吹きこぼれ防止の意味で、鍋のふちが少し高くなっていると安心です。
それと、ふつうの鍋で炊く場合には浸水時間が大切です。気温にもよるのですが、30分から1時間程度見ておくとよいでしょう。
ご紹介した浸水時間はあくまでもふつうの鍋の場合です。圧力鍋の場合、わたしは浸水時間を設けません。そのままささーっと火にかけます。
それと、火加減ですね。昔から「はじめチョロチョロ中パッパ赤子が泣いてもふたとるな」なんて言いますが、これも正しいです。怖くて弱火にしてしまう、という話も耳にしますが、お米はそんなに弱くありません。強火でガーツと加熱しても崩れるようなことはありません。
底が平らな鍋を使う場合、沸騰してきたところでササッと鍋を混ぜるのもアリです。なぜならなべ底にごはんが焦げ付くのを防げるからです。土鍋のように底が丸い形状のものを使うときには蓋をしたままで構いません。
◇炊飯器で米を炊くとき
説明書を読む(笑)。
これも「それだけ!?」と言われてしまいそうですが、炊飯器はメーカーさんそれぞれで特徴があります。強みも弱みもそれぞれです。手入れもそれぞれです。
だから、説明書をしっかり読んでご自身が愛用されている炊飯器の特徴を把握して使われるのが、美味しいご飯への近道だと考えます。
炊飯器も価格帯がさまざまです。結論からいえば、高い炊飯器は上手に炊ける可能性が高いと感じます。
可能性!? これまた驚かれそうですが、多少雑にやったとしても炊飯器が絶妙なフォローをしてくれるのです。これが価格の差かな、と個人的には感じています。だから、安価な炊飯器を購入しても、水加減や米の研ぎ方(洗い方)を丁寧におこなっていれば、「これ、食べられない!」というような残念な結果にはなりにくいです。
そのくらい最近の炊飯器は優秀です。
と、ここまで炊飯器の魅力を語った後で、「わたしはもっていませんけどね」という一言を添えるとますます驚かれるでしょう。
でも、持っていません。
その昔は持っていましたし、使っていました。
でも、壊れました。
新しく買い替えようと家電量販店におもむき、その価格にびっくりしたことが炊飯器を手放した直接的な理由です。
「あれ? 高い。それなら自分で鍋で炊こうかな」と思ったのが最初です。
そして、気づいたのです。
炊飯器は狭いキッチンでけっこう場所をとることに。
炊飯器はフライパンなどと違ってあまり使い道がない、ということも。
思い切って辞めたところ、そんなに困らなかった、というわけです。困らないから、もうやめよ、と思って買うことを放棄しています。
「コツ」と書くと、大げさに聞こえるかもしれませんが、基本的なところです。誰でも思いつくようなことですが、それがもっとも米の炊きあがりを左右します。
■大切なのは、調整力。1度炊いてみて、いろいろ調整してみましょう。
鍋にしろ、炊飯器にしろ、すべてに共通していることもあります。
それは、調整力が必要だ、ということ。
調整力とは、炊きあがった米を見て(食べて)次回の炊き方を工夫する、ということです。
炊きあがったご飯を最初にひと口を食べたときに、「もっと水を多めにしよう」とか「もう少しむらそう」といった「もうちょっと」という欲や反省があるでしょう。その「もうちょっと」を実現させるために工夫することを、わたしは「調整力」と呼んでいます。
お米の場合、収穫してから乾燥した状態にして販売しています。
お米屋さんなどは「米は生鮮食品です」とおっしゃいますが、わたしのなかでは「完全なる生鮮食品ではなく、半分乾物要素が入っている」という感じです。
だから、季節によっても、精米の日付によって(精米したてのほうが水分が多いです)、微妙に変化します。お米の変化によって「小手先の工夫」を日々繰り返す、と思ってください。これが鍋にしろ炊飯器にしろ、わたしがいちばん大切だと考えるコツです。
■乾燥させた米に水を含ませて加熱する。これが炊飯。炊飯の理屈を知ってじょうずに炊こう。
そもそも「炊飯」の意味、「米を炊くとはどういうことか」を理解していると、米を上手に炊けるようになります。
米は、半分生鮮食品であり、半分乾物です。
パラパラした状態のものを、ふっくらツヤツヤにするには水をしっかり吸収させて加熱する必要があります。炊いたご飯を美味しい、とわたしたちが感じるのは、米が水を吸って炊く前の重量の2.2倍から2.5倍になったときだというデータがあります。
つまり、100gの米が220~230gになったら美味しいのです。単純計算して、米100gにたいして、水が120~130g含まれればよいのです。
水加減を米の1.2~1.3倍にする、というのはこの数字からきているのです。
だから、しっかり浸水させてから炊くと美味しくなります。
低い温度の水は「時間をかけるほど吸水率が上がる」というデータがあります。わたしの感覚としては、冷蔵庫で冷やしておいた水に浸すとよいです。だいたい5度前後で浸水し始めて、じわじわ温度が上がるイメージです。これは、鍋で炊くときにとくに有効です。
反対に炊飯器の場合、常温の水をセットしてすぐにスイッチを入れても問題ありません。
それは炊飯器内部の温度が急激にあがるからです。低温でじっくり時間をかけられないような場合、といってもよいでしょう。低温の次に、米がよく吸収するのは40度の水だとされます。炊飯器は40度の温度まで内部が一気に上がり、その温度で米に水を吸わせる仕組みになっているのです。なお、これが60度を超えると吸収率が下がって、どうにも芯のある口でザラッモヤッとする米に炊きあがってしまいます。
圧力鍋で炊く場合も、これに近い状態だとわたしは考えます。
ただ、氷を1合につき、製氷皿1つ分入れるとさらに美味しいです。これも自分でいろいろ試した結果ですが、おそらくちょっと冷えた状態をつくれるのと、40度を超えて一気に高温になることがない(40度前後でしっかり水を含む)のだと考えています。
■最近は精米技術もとても優秀です。その技術力に乗っかりましょう。
白米を炊くときに、美味しさを左右する要因のひとつにあげられるのが「精米技術」です。
最近は家庭用の精米機もあり、精米したてにこだわって食べることもできます。
欲しいんですよね、精米機。
まだ持っていません。使ってことはあるのですが、とてもよいと思いました。
いつか手にしたいキッチン用品のひとつです。
さて、精米です。
精米機をお持ちの方は、お米を炊く直前に精米してください。そのほうが美味しいです。
精米とは、玄米を白米にすることですが、精米とはつまり米の回りのぬかを取り除くことです。
ぬかを取り除いた米は、表面の脂質が空気に触れることで酸化し始めるからです。
酸化によって、味がおちます。
精米機をもっていない方は、できるだけ精米してから炊くまでの時間を短くする工夫をしましょう。
わかりやすくいうと、お米は少量ずつ購入しましょう。
たとえば、2人家族で朝食はパン派、昼は外食が多い、という家庭環境の場合、1度に30キロものお米を購入してしまっては食べきる前にお米の味が落ちます。一人暮らしの方はメンドウでも2キロ単位で買うくらいでちょうどよいと、一人暮らし経験者の林は思います。
ちなみに、我が家は3人家族ですが5キロ単位でチマチマ購入し、冷蔵庫の野菜室で保管しています。
ちょっとした工夫でお米を美味しく食べられるなら、ぜひ実践していただきたいです。
少量買いできるならご家族の人数に合わせて、2キロや5キロ単位で購入しましょう。
また、繰り返しになりますが、精米機をお持ちでしたら、炊く直前に精米してください。
■炊き込みごはんの場合、炊飯のコツは白米とはちょっと変わります。新米の美味しい季節です。ツヤツヤふっくらごはんを食べましょう。
ここまで、白米の美味しさを楽しむ方法についてご提案してきました。
ツアツヤの新米は、炊き込みご飯にしても美味しですね。
というわけで、ここでは炊き込みごはんを炊くためのコツについてご案内いたします。
炊き込みごはんのコツは大きく2つです。
1.具は混ぜない。
2.順番を守る。
ひとつめの「具は混ぜない」ですが、これはごはんを入れて上に具をのせるだけで炊くことを意味します。なんとなく、具材と米とを混ぜたくなるかもしれませんが、ここはグッとがまんして混ぜずに炊いてください。
理由は米と具の大きさが異なるからです。炊飯する際に加熱をしますが、水は加熱されることで動きます。水の動きを対流と呼ぶこともあります。
この水が動くときに、米と具も多少なりとも動きます。しかし、大きさが異なるので、動き方が違います。米は米、具は具でそれぞれ加熱された際に邪魔をされずに動くほうが味も馴染み、水の吸収度合もムラが出ません。これは、炊飯器でも鍋でも同じです。
混ぜずに炊いてください。
ふたつめの「順番を守る」は、ごはんの上に具を重ねる際に気をつけたいことです。
ごはんの上には、「もっともだしが出る具材」をのせます。その上にそれ以外を順にのせます。
「だしが出る具材」とは、肉類や魚介類をさします。今月、オンラインレッスンで人参を取り上げましたが、炊き込みご飯をご紹介しました。
材料として選んだのは、人参と油揚げと桜エビです。この3つでいうなら、ごはんのすぐ上におきたいのは、桜エビです。これがいちばんだしが出ます。
次が油揚げ。油揚げとだしが結びつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、油揚げにはコクがあります。このコクも美味しく炊き込みましょう。
最後が人参です。人参は美味しいのですが、だしやコクというより、甘みと彩り、栄養面から使っているので、いちばん上でよいでしょう。
いかがでしょうか。
炊き込みご飯のルール2つに「なるほど」と納得していただけたでしょうか。
■まとめ
いかがでしたか?
新米、美味しく食べられそうだと感じて頂けたでしょうか。
今回の記事をまとめると…
1.鍋でも炊飯器でもご飯は美味しく炊ける。
2.鍋炊きのポイントは浸水時間。浸水温度も注意したい。
3.炊飯器を使うなら、説明書を読んで。
4.精米技術の高さを信用しよう。精米したらすぐ食べて!
5.炊き込みごはんは2つのルールで美味しい!
ベジ楽のオンラインレッスンでは、このような「知っているとオイシイ」ことをたくさん盛り込んでお伝えしています。
たとえば、今回触れた炊き込みごはんも、人参の美味しさを引き出すレシピをお届けするだけでなく、そこにひと工夫を加えます。失敗せず、最後のひと口まで満足のごはん。
だれかにちょっと話してみたくなる野菜のよもやま話がいっぱいです。
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