今日のテーマは「秋刀魚(サンマ)」です。
日本で唯一の「ゆるベジらく膳やさい料理教室」【ベジ楽】の林佳代子です。
野菜ヲタク視点で、サンマについて書きます。どうぞ最後までおつきあいください。
Contents
■秋を代表する味覚「サンマ」
毎年、秋風が吹くころになると話題になる「サンマの漁獲量」。
今年は不漁だそうですね。…去年も不漁だと聞いています。
この時季になると、いろいろな原因が取りざたされていますが、おもな原因として語られることが多いのが「海水温の上昇」です。
温暖化という言葉を耳にするようになって久しいのですが、秋の味覚にも影響をしているのですね。
まあ、これについては感情的にどうこういう問題ではないと思いますし、いろいろな立場の方がいると思うので、声高に一部の立場の方を糾弾するつもりはないのですが。
食いしん坊としては、単純に秋のサンマが食べられないのは悲しいなぁ…とういショボンとした気分です。
海水温の上昇という環境問題がテーマなら、なるべくゴミを出さないなど、自分にできる環境対策をやっているところではありますが、庶民レベル(笑)。
でもね、庶民の力だって日々重なればなかなかのものになると思うのですよ。というわけで、食いしん坊は環境問題にも、自然災害にも関心が高くなってしまうのです。
今回の記事は
1.秋風が吹くと、なんとなくサンマを食べたくなる方
2.今年は開催されないけれど、目黒のさんま祭りに興味がある方
3.そもそもなんで目黒とサンマが関係あるのか疑問に思う方
4.サンマって身体によいとは思うけれど、具体的なことがわからない方
におすすめの内容です。
■サンマは高級品なのか⁉
サンマの価格を見ると、ニュースを見聞きしなくても「不漁なんだな」と感じます。
お安いときは1尾100円を切って70~80円程度で販売されていることが多いように思いますが、値段がグンとあがると1尾120円から160円ということも。
倍だよ!?
と、思いつつ、お財布と食欲のバランスを考えつつ(そのあたりが超庶民です)、選択するという感じです。
皆さんはいかがでしょうか?
わたしの知り合いのなかには、秋の味覚として価格はどうあれ1度は食べたいというタイプと、高い時には別にサンマにこだわらないというタイプとがいます。
ところで、サンマは古くから日本で食べられてきた魚のひとつです。
しかし、その位置づけは高級魚というよりむしろ「庶民派」。このあたりにもわたしがサンマを美味しいなぁ、かわいいなぁ、と思う要因があるように感じています。
庶民派…この言葉って魅かれません? わたしは惹かれます!
仲間意識を刺激されます(笑)。
しかも、単なる庶民の味方ではありません。
江戸時代には「秋刀魚が出回ると按摩がひっこむ」と言われるくらい、栄養豊富で滋養効果があるとされていました。ほら、庶民の味方って感じですよね。
実際にいかにサンマが庶民の味方であったかは、落語からも見ることができます。
■毎年話題になる目黒のサンマって?
サンマの漁獲量と並んで、必ず話題になるのが「目黒のさんま祭り」ではないでしょうか。
皆さんはご存知ですか、「目黒のさんま」。
もともとは落語のネタです。
お殿様が目黒に遠出をした際に、お腹が空いたという。
折しも近所の農家ではサンマを焼いていた。
当時もサンマは「庶民の味」。お殿様は見たことも、食べたこともない。
「これが食べたい」というお殿様に、農家から譲ってもらったサンマを出したところ「うまいうまい」と気に入ったお殿様。
お城に帰っても、サンマの味が忘れられずにいた。
ちょうど親戚を訪ねることになったお殿様に、「お食事はいかがいたしましょう」と聞けば「サンマがよい」とのこと。
大慌てで日本橋魚河岸から最高級のサンマをとりよせた。
庶民の味をそのまま食べさせてはいけないと、骨を取り除き、脂を取り除くために蒸したものを出すことにした。
当然、焼いたサンマとは違うため、お殿様は気に入らない。
「これはサンマか? どこで手に入れた?」と聞けば「日本橋魚河岸です」という。
「それはいかん。サンマは目黒に限る」
というオチ。
ざーっくりと、かなり乱暴にご紹介してみました。いってみれば、お殿様(身分の高い方)の無知を庶民が笑う、というお話ですね。
そう、昔から庶民パワーはすごいんですよ(笑)。
この落語にあやかって始まったのが、「目黒のさんま祭り」です。
寄席があったり、さんまの塩焼きの無料配布があったり…かなりの人が集まるので、なにかと話題になりますね。
とくにサンマについては話題になります。
毎年、こちらのお祭りで配布されるサンマは宮城県宮古市のもの。それも無料提供されているというから、ビックリです。
7,000尾の無料提供…。
今年はコロナで中止されることになったとニュースでいっていましたね。
コロナ禍で、皆さんの生活が大きく変化していますが、サンマも同じだったようです。
目黒のサンマは中止になりましたが、秋にサンマを食べたい理由はあるのです。それについて、ここから先はちょっとマニアックなことを書いていきます。ぜひお付き合いください。
■サンマは胃腸を整える!?
サンマは古くから、胃腸のはたらきをスムーズにしてくれる、と考えられていました。
胃腸がスムーズにはたらくことは、よい流れを生むことができます。
消化吸収をよくするためには、胃腸が元気よくはたらいてくれないといけません。だから、胃腸が健全であることは、身体づくりのベースに必要不可欠です。さらにいうと、体力維持さらには体力アップも期待できます。
それだけではありません。
サンマには血行をよくする力があるとされています。
血行が良くなることで、血液の滞りが原因の頭痛や肩こり、腰痛を防ぐことができます。また、冷えの緩和も可能にします。
さらに、瘀血はシミやクマの原因であると薬膳では考えます。血行がよくなることで、健康的な顔色をキープできる、というわけですね。すばらしい!
■サンマで頭がよくなる!?
DHAやEPAという単語を耳にしたことがあるかもしれません。
DHAはドコサヘキサエン酸のこと。
EPAはエイコサペンタエン酸のこと。
どちらも油の一種です。油には控えたほうが良いものと、積極的に摂ったほうがよいものとがありますが、両者は「積極的に摂りたい油」です。
なぜなら、血管を拡張して血流をよくする力があるからです。さらに、中性脂肪を減らしたり、脳細胞の活性化に役立ったりとよいことがたくさん。
ぜひ積極的に食べましょう。
さらに、ビタミンAがたっぷり含まれています。ビタミンAは、わたしたちの身体の粘膜を丈夫にし、皮膚をうるおしてくれます。
粘膜が丈夫になると、風邪のウイルスが体内に侵入しにくくあります。
うるおった皮膚は、美肌に繋がるとあって見逃せません。
血合いと呼ばれる茶色の身の部分には、鉄分やビタミンB12が含まれています。
鉄分は貧血予防に効果があると広く知られています。とくに女性場合、貧血に悩む方が多いのでぜひ残さずに食べてください。
ビタミンB12は、葉酸と助け合って赤血球をつくりだすのに役立ちます。貧血予防に必要な成分と考えられます。
また、認知症の患者さんの脳はビタミンB12の濃度が低いことがわかっています。そのため、脳の機能に何らかの影響を与えるのではないかと言われています。研究段階ではあるのですが、近いうちにいろいろなことがわかるかもしれませんね。
このビタミンB12に限らず、栄養学の世界は日進月歩。日々、研究者たちが新しい発見をしていますし、有効な提案をしてくれています。その都度、わたしもアップデートして皆さんにお伝えできたらいいな、と考えています。
■美味しいサンマの見分け方
店舗に並ぶたくさんのサンマ。せっかくなら、美味しいものを見分けて食べたいですよね。
そこで、ここからは美味しいサンマの見分け方について書きます。
まず、皮の部分に傷がないものを選びましょう。
また、「青魚」と呼ぶくらいですから、背の部分がきれいに青味がかっているものがおすすめです。古くなってくると青が冴えずにどんよりした色に変わります。
さらに全体にふっくら丸いものを選びましょう。とくに内臓部分がもりあがっているものがおすすめです。
チェックしたいのが、口の下側(下あご)の先端です。この部分が黄色っぽいものがいいですよ。鮮度が落ちてくると、黄色の部分は茶色に変化します。
鮮度のよい美味しいサンマを選んで、もりもり元気な秋を過ごしてくださいね。
■まとめ
いかがしたか? サンマ、食べたくなりました?
わたしは、食べたくなりました(笑)。
今回の記事をまとめると…
1.サンマはもともと庶民の味方です。
2.最近は海水温の上昇などが理由で、不漁続き。価格も上昇し、庶民的な魚ではなくなりつつあります。
3.サンマは胃腸をととのえ、血行促進に効果を期待できます。
4.サンマはDHAやEPSが豊富で、血液サラサラ効果や貧血効果が期待できます。
5.美味しいサンマは全体にふっくら厚みがあり、下あごの先が美しい黄色です。
美味しいサンマを見分けて、心身共に元気よくいきましょう。