自然災害のニュースが続々と入ってきていましたが、皆さんはご無事でしょうか。
被災された方々に心からお見舞い申し上げます。そして、1日でも早く日常が取り戻せるよう、心より祈っています。
あらためまして、こんにちは。
やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日もやさい薬膳料理を作っています。
今日のテーマは「喉をうるおして肌もぷるぷる」です。
そのために、おすすめの「梨」を取り上げます。
■梨は中国で治療薬だった⁉
梨の歴史は古く、今から2,000年以上前には中国で栽培されていたという記録が残っています。
当時の中国は「前漢」と呼ばれる時代。宮廷で栽培され、身分の高い人たちのための果物として珍重されていたと言われています。
当時、都があった長安は、砂漠に囲まれた乾燥した土地でした。そのため、乾燥によって痛めた喉をうるおすために食べられたとも言われています。まるで、処方箋のようですね。
そもそも梨はその90%近くが水でできている果物です。
食べることで水分がとれることを当時の人々は感覚的に知っていたのでしょう。
今も、わたしたちが梨を食べるときには「みずみずしい」と感じますよね。おそらく当時の人にとっては、本当にみずみずしく生き返るような味わいだったに違いありません。
ちなみに、日本で梨が登場するのは「日本書紀」。歴史の授業を思い出す方もいるかもしれませんね。ざーっくり言ってしまえば、かなり古くから食べられてきた果物です。
■梨を薬膳で考える
梨を薬膳で分類すると、「寒・甘酸」に分けられます。
喉や肺をうるおす力があります。
喉をうるおすことで、乾燥した空気で痛んだ喉を落ち着かせることができます。
乾燥した喉は、ひどい場合は咳という症状を伴いますが、その咳にも梨は有効です。
肺をうるおすということは、すなわち肌をうるおすことにも通じます。
肺と肌は一見無関係のようですが、薬膳では密接に関係していると考えます。
薬膳において肺は、身体のなかの水のめぐりを司るとされています。水分がきれいにめぐることでむくみを防止します。
むくみがない皮膚はすっきりして見えますね。
また、肺は皮毛(ひもう)に繋がりがあるとされています。皮毛とは、皮膚と毛穴のことで、肺が正常に活動すれば皮膚も毛穴もすこやかな状態を保てると考えます。逆に、肺に不具合が生じれば、皮膚も毛穴もすこやかではなくなるとされます。
つまり、梨は肺をうるおし、皮膚をも健全にしてくれる、というわけです。
■梨から生まれる嬉しい効果
梨を食べることで肺がうるおうことは先ほど書いたとおりです。
それによって、乾燥による咳を防止したり、喉の渇きを防いだりできます。また、水がしっかりめぐることによって、二日酔いの防止やむくみ防止にも効果があります。
水分をとることで、便秘回復も期待できます。便秘が回復すれば、これはまた肌の調子がよくなることにもつながります。
まさにイイコト尽くめです!
ただし、梨は先ほど書いたように「寒」の性質をもつ果物です。寒とは、身体を冷やす効果があります。冷え性の方は食べ過ぎに気をつけてくださいね。
もっとも梨の寒の性質は、加熱することで多少弱まるとされています。
シロップで煮ると、食感が変わって目新しいデザートになりますよ。この際、生姜をほんの少し効かせると、より一層寒の性質を抑えることができて安心です。
■梨の品種あれこれ
梨は歴史が古い分、品種もたくさんあります。
基本的にそれぞれの地域でもっとも栽培されているもの、食べられているものがよいと思います。しかし、いろいろな味を食べ比べるのもおすすめです。
ざっとあげてみると「豊水梨」「幸水梨」「二十世紀」「秀麗」「秀玉」「新高梨」「新興梨」「あきづき」などなど。
たくさんありますが、青味がかった梨(青梨)と、茶色の強い梨(赤梨)の大きく2種類に分けられます。
青がよい、赤のほうが美味しい、ということはありません。
品種によって味わいが大きく異なります。酸味が強いもの、糖度が高いものなど、食味のバリエーションが豊かな果物なので、お気に入りの品種に出合えるまで食べ比べてみるのもおすすめです。
わたしは個人的に「豊水」と呼ばれる、多少酸味のある品種が好きです。梨に限らずですが、酸味が好きなのです。
甘いだけの果物よりも、少し酸味があるものが好みなのですが、最近は糖度の高さが注目されていることが多く、個人的には残念な気分になることもあります。
皆さんのお好みは、どの品種でしょうか??
■梨の選び方と保存方法
せっかくの梨です。美味しいものを選びたいですね。
品種にかかわらず、ポイントとなるのが全体の形です。
梨はどっしりと横にやや広がった扁平な形のものが美味しいです。
縦長のスマートさんより、ぽっちゃりさんが良い、というわけです。また持ったときに、重量感のあるものがおすすめです。
梨のほとんどが水なので、重さはみずみずしさのバロメーターでもあります。
それから軸にも注目してみてください。
軸が枯れてカサカサしているものは避けましょう。皮に傷等がないものがおすすめです。
傷ついたり、打ったりしていないものを選びましょう。いわゆる「キズモノ」は避けることをおすすめします。
購入後は常温保存でもかまいません。あまり追熟するタイプの果物ではないので大丈夫です。
冷やすのは食べる1時間ほど前がよいとされています。あまり長時間冷やすと、糖度が低くなるとされるためです。
とはいえ、わたしは購入後すぐに冷蔵庫に入れてしまいます。
福岡は梨が出回る季節がまだまだ暑く、シャキシャキの歯ごたえを長く保ちたいわたしとしては、冷蔵庫保存を選んでしまうのです。
糖度は…もともと酸味が好きなくらいですから、多少低くなっても気になったことがありません。
生で食べるのが一般的ですが、先ほど書いたようにシロップ漬けもおすすめです。
生なら、すりおろしてドレッシングにするのもいいですよ。とくにホタテとの組み合わせは相性がよくておすすめです。