こんにちは。
林かよこです。
薬膳では、人の体質を大きく(かなり大きく)ふたつのタイプに分けて健康を考えます。
今回は、その体質についてお話します。
Contents
■陰と陽 タイプは大きくふたつ
◇陰陽学説について知る
薬膳では、万物を陰と陽の2つに分けて考えます。
月は陰、太陽は陽。女性は陰、男性は陽。お腹は陰で、背中は陽。
これらは一例ですがどちらが優れていて、どちらが劣っているということはありません。どちらを優先すべきか、ということもありません。
大切なのは、陰と陽のバランスです。バランスが崩れると、身体の場合でいえば「不調」を感じるようになります。
病気ではないけれど、なんとなく不調の状態。これを薬膳では「未病」と呼びます。
病院に行くほどではないけれど、身体が重い状態をイメージしてください。イメージするだけで辛いですよね。
この「未病の状態」にならないためにも、バランスを整える必要性を薬膳では説いています。万物を陰と陽に分けて、それぞれのバランスを整えるという考え。
この考え方を「陰陽学説」と呼びます。
◇人の体質も陰と陽に分ける
万物…すべてのもの、という意味です。
陰陽学説では、万物を陰と陽に分けますから、人を含むすべてのものが陰と陽に分けられます。
万物というこは、当然ですが、人の体質に関しても同じです。人もまた陰と陽、ふたつのタイプに分けることができます。
ご自身のタイプを知ることは、体調不良から脱するヒントを得ることに繋がります。
この「陰」と「陽」をキーワードにそれぞれのタイプについて説明したいと思います。
■陰体質
まずは、陰陽の「陰」にカテゴライズされる人について説明しましょう。
◇陰体質ってどんな人?
陰体質は、「おとなしい人」という印象を与えます。
具体的にいうと
- 内向的
- 声は小さめ
- あまり体力がない
この3つがおもな特徴としてあげられます。
基本的に「虚弱体質」「病弱」といった印象を与え、実際、身体の不調を訴えることの多いタイプです。
陰体質の人は、身体のバランスが崩れて「陰の状態」になりやすいと言われています。
抵抗力が旺盛なタイプではないので、気が付いたら未病どころか病気になっていた、というケースも。
当てはまると思った人はいませんか? あるある、と感じたら陰タイプかもしれません。
◇陰体質の人におすすめのケア
陰体質の人が意識して取り入れてほしいものがあります。
それは…
- 補うこと(補する)
- 身体を温めること(温陽する)
陰体質の人は、必要な要素が不足しがちです。
必要な要素としてあげられるのが、熱・筋力・血などです。これらを補うことで、陰に傾いたバランスを整えることができます。
ちなみに、薬膳では「補う」を「補する(ほする)」といいます。
また、陰体質の人は意識して身体を温めましょう。
とくに「身体を温める性質」がある食べ物を摂るようにしてください。
食べ物の性質は「温」や「辛」と呼ばれるものが効果的。
たとえば、ネギや生姜などがこれにあたります。
■陽体質
続いては、陽体質の人について説明します。
◇陽体質ってどんな人?
陽体質は、「活発な人」という印象を与えます。
具体的にいうと
- 社交的
- 声は大きめ
- 体力がない
この3つがおもな特徴としてあげられます。
第一印象で「元気な人だなぁ」や「積極的な人だな」と思われる人は、たいがい陽体質です。
陽体質の人は、健康だから不調知らずと思われがちですが、そうではありません。
不調を感じていても、「まだがんばれる」「大丈夫」と自分を鼓舞してしまって、ある日突然無理がきかない状態まで陥ってしまう、というケースが多いです。思い当る人はいませんか?
急な発熱(それも高め)、皮膚の炎症、身体のコリ…これらが陽体質の人に見られる、ありがちな症状です。
また、汗をかきやすく、冷たい飲み物を好むという一面もあります。
◇陽体質の人におすすめのケア
陽体質の人が意識して取り入れてほしいものがあります。
それは…
- 吐き出すこと(瀉する)
- 身体の余分な熱を冷ます(清熱する)
陽体質の人は、体内に熱や不必要なものを貯めがち。
身体のめぐりをよくすることがとても大切です。また、涼・寒の性質のある食品を摂って体内の熱を冷ましてバランスをとる必要があります。
ちなみに、薬膳では「吐き出す」を「瀉する(しゃする)」、「熱を冷ます」を「清熱する」といいます。
涼や寒の性質のある食べ物は、基本的に身体の熱を冷ます役割を果たします。おもだったところでは、キュウリやレタス、ナスなどがあげられます。
■それでも体質がわからない場合
ご自身の体質は陰と陽、どちらだと感じましたか?
なかにはどちらの要素も持っているから、わからない、という方もいるかもしれませんね。
そもそも人間をたった2つにキッチリ分類できるなんてオカシイ、と思われたとしても当然です。実際に曖昧な部分があってもよいのです。
たとえば、陰陽学説では「陰陽太極図」を用いて陰と陽のバランスについて表します。
これを見ると、白い領域に黒の小さい●があります。逆に、黒の領域に白い〇があります。
これは、陽の中にも陰があり、陰の中にも陽があるという曖昧さと、それらは表裏一体であることを示しているのです。
だから、陰体質ではあるけれど、陽の要素を持ち合わせている人がいたり、その逆があったりします。
しかも、もって生まれた体質であっても、生活習慣や食生活によって微妙にバランスが変わったりします。
キッチリ分けて、自身の体質を理解するというようりは、「どちらかというと陽」「多くの場合で陰」くらいのゆるさがあって構いません。
それでも、自身の体質を知らないよりは知っていたほうがずっと楽に暮らせると、わたしは考えています。
ちなみに。
わたしは元々は陰の体質。それを環境やらなにやらで(自身の意思も含め)、あえて陽に寄せたバランスをとるようになった、という感じでしょうか。だから、今はたぶんに陽の体質の印象を与えるようです。
さらに、この体質に関しては、薬膳ではもっと詳しく細かく分けられるので、これはおいおいご紹介していきます。お楽しみに。