やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ベジらく膳」料理を楽しんでいます。
今日のテーマは栗です。ほくほく美味しい栗について考えます。
■栗の旬はいつ?
秋の味覚の代表格・栗。
当然ですが、旬は9月から10月にかけてです。秋といってもまだ比較的暖かい頃ですね。
ただ、栗が出回ることろには、空気が乾燥して朝晩の冷えが気になる頃です。
ちょうど風邪がはやり始めるころです。
もっとも栗は加工品としてはほぼ1年中出回っていますが、収穫したばかりの栗の美味しさは格別です。今の味を楽しんでくださいね。
ちなみに、日本人と栗の関わりをひも解くと、かなり昔までさかのぼることができます。
もっとも古いものだと、縄文時代の遺跡から炭状になった栗が発見されています。つまり、稲作が始まる前から、わたしたち日本人は栗を備蓄し、食べていたと考えられます。
■栗を薬膳で見ると?
栗を薬膳的視点で分類すると「温・甘」になります。
温は、身体を温めるという意味です。
また、甘の味を持つ食べ物は脾や胃を補うことができます。
別の言い方をすれば、胃腸の動きをスムーズにし、血行を促進します。水分の吸収と排出をスムーズにしてくれる働きもあるので、むくみにも効きます。
ただ、薬膳の指導者によっては、栗を「温・鹹(かん)」に分類することもあります。
性質としては「温」で同じなのですが、甘と鹹でははたらきが少し異なります。
鹹の場合、腎をサポートすると考えます。
腎は体内の水分がスムーズにめぐるのを助けてくれます。これは脾と似ています。
それに加え、細胞の成長や骨や歯の生成にも関係しているとされます。
これをもう少し別の言い方にしてみましょう。
細胞の成長を促すことは、いわゆる皮膚のターンオーバーも健全な状態にしてくれるということに繋がります。
そうです! 肌を美しく健康的に保つのにプラスになるというわけです。
骨や歯の生成に関しては、足腰を丈夫にする、と言い換えることもできます。
美しい姿勢を保つのに、足腰がシャンとしていることは年を重ねるほど大切になってきます。姿勢がよい方は、それだけで美人度がアップすることに異議を唱える方はいないでしょう。
わたしも、気が付くと姿勢が悪くなっていて、慌ててシャンと背筋を伸ばすこともしばしば。
姿勢美人、後ろ姿美人を見習って、栗をしっかり食べたいと思います。
現代栄養学からいっても、栗はとても優秀な食材です。
食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCが含まれています。
また、妊婦に嬉しい葉酸も含まれます。
さらに、クマリン誘導体も入っています。このクマリン誘導体は、いわゆる「抗酸化物質」の一種です。アンチエイジングが期待できる成分です。
しかも、ナッツ類であるにもかかわらず、カロリーが控えめなのは嬉しいですよね。
■美味しい栗の見分け方
栗は、全体に厚みのあるぷっくりとした球体のもの、色が濃く、全体にツヤのあるもの、表面に傷がついていないものがおすすめです。
重量感があるものも美味しい栗を選ぶ際の目安になります。
とはいえ、店頭に並んでいる栗の多くがネットに入っていたり、ざるに盛られていたりしますよね。
その場合は、ネットの隙間から栗の形状や表面の色などをチェックしてください。ここは図々しく見てしまいましょう。
さらに、重量に関しては、お店に迷惑をかけない程度にそっと持ち上げてみるといいですよ。
■栗の皮をどう剥いていますか?
栗の話をすると、かなりの確率で聞くのが「皮むきが面倒」「大変」といった「皮」に関する話題です。
皮を殻と呼ぶ方もいますが…まずは一般的な名称から書きましょう。
実のすぐ外側にある薄い皮を「渋皮」と呼びます。
その外側の硬い皮を「鬼皮」と言います。
さらに外側のトゲトゲの部分を「イガ」を呼びます。
イガはほとんどの場合、取り除かれて販売されているので問題ないと思います。
最近はすべての皮を剥いた状態で販売されているものもあります。ただ、個人的には食べる際に剥いたほうが美味しいと感じるので、あまりおすすめしません。
面倒なのは、鬼皮と渋皮でしょうか。
とくに硬い鬼皮を面倒に感じる方が多いように思います。
いろいろな方法がありますが、わたしの場合、表面の汚れをさっと落としてから、ボウルに栗を全部入れます。
そこに熱湯をざっと注ぎ入れて、放置。
触れても問題ない程度に湯がぬるくなったら、鬼皮もやわらかくなっているのでぐっと剥きやすくなります。
渋皮は鬼皮がむければさほど難しくはありません。
わたしは新聞紙をドーンと敷いて、そのうえでせっせと剥きます。もくもくと剥き続ける作業…実は結構好きです。あの黙々感は堪りません。剥き終わったときの達成感も好きです。
ベジ楽流の皮むき、ぜひお試しください。