こんにちは。
やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日もやさい薬膳料理を作っています。
今日は肉じゃがをテーマにとりあげます。
Contents
■肉じゃがと薬膳の関係
肉じゃがはお好きですか?
家庭料理の定番ですね。
そういえば、男性が女性に作ってほしい料理ナンバーワンだと聞いたこともあります。
彼氏が彼女にリクエストする料理?
これって、本当なのでしょうか。
私の回りには、肉じゃがを彼女にリクエストしたことがある男性も、リクエストされたことのある女性もいません。…私もありません。
都市伝説的なもの??
話がそれましたが、肉じゃがは薬膳的視点からいって、とても優秀な料理です。
肉じゃがに使われている材料は、家庭によって多少の差がありますが、私の場合は
- 牛肉(時々豚肉)
- ジャガイモ(男爵系が好き。煮崩れやすいのですが)
- 人参
- 玉ねぎ
この4つがスタメンメンバー。
それに白滝がプラスされます。もっとも、白滝は「あー、買い忘れた」という叫び声とともにこんにゃく(素材としては同じですね)に代わったり、諦めてしまったりしますが。
ひとまず、レギュラー陣を薬膳的視点で五味五性に分け、身体に及ぼす影響をご紹介しましょう。
また、それぞれの食材について料理上手になるためのコツを取り上げます。
■パワフル食材の牛肉
牛肉は、とてもパワフルな食材です。薬膳的には「平・甘」で、血を補う食材のひとつです。
貧血予防や冷え性改善に役立ちます。そして、血を補って肌の色艶をアップしてくれます。
さらに牛肉で注目されるのが、疲労回復力です。
疲れた顔の女性と会った際に心配はしても、きれいだなぁと感心することは…ほぼないでしょう。
自分がそのような状態かも、と気になる人に牛肉はとてもおすすめです。
また、消化吸収されやすいタンパク質が豊富なのも、女性には嬉しいですね。
タンパク質は、皮膚や髪のもとになります。ダイエットや美容に気を遣う人は、ビタミンや低脂肪という言葉に反応しやすいように感じますが、実はタンパク質をしっかりとって筋力をつけることも大切です。
筋肉の代謝は馬鹿になりません。適度についた筋肉は、全身のシルエットの引き締め効果もあります。
健康的な皮膚や髪にも大切です。ぜひ、良質のタンパク質を摂ってくださいね。
■むくみ解消のジャガイモ
◇薬膳的視点から見るジャガイモ
ジャガイモもまた、疲労回復を期待できる食材のひとつです。
ちょうど梅雨前後は新ジャガが出回るので、美味しいジャガイモを食べる意味でも、この時期に肉じゃがを作って食べるのは、味覚からいってもベストタイミング。
ジャガイモは薬膳でいうところの「平・甘」の野菜です。
胃腸のはたらきを整えることで、スムーズな消化吸収を促します。余分な水分を排出するにも有効なのも、女性にとってジャガイモが嬉しい理由です。
余分な水分が体内にある状態を「むくむ」といいます。
「むくみ」。
手足がむくんだり、顔がむくんだりした経験はありませんか? この状態は、水分排出が上手にできていないことが原因だとされています。
むくんだ脚は通常より太く見えます(まあ、水が余分にある状態ですから、当然といえば当然です)。
水分排出ができるということは、そのむくみが解消されやすいということ。
ジャガイモ、食べたくなったのでは?
◇料理上手になるための ジャガイモ選択
ジャガイモは、品種の多い野菜のひとつ。最近では、スーパーなどでいろいろなジャガイモを目にするようになりました。
味もそれぞれですが、特徴から大きく2種類に大別できます。
ひとつは、男爵(男爵系)。
もうひとつは、メークイン(メークイン系)。
男爵はゴロンと丸い形が特徴的です。そして、ほくほくとしていて煮崩れやすい。
メークインはほっそり長い形が特徴的です。そしてしっとりと煮崩れしにくい。
男爵ではありませんが、男爵系の品種として、「キタアカリ」や「インカのめざめ」などが有名です。
メークイン系としては「ホッカイコガネ」や「レッドムーン」などをあげることができます。
どちらが良い、悪いはあまりありません。あくまでも好みで選んでいただいて構いません。
ただ、特性をしっておくと選びやすく、調理しやすくなりますよ。
わたしは昔から男爵派。煮崩れやすいとは知っていますが、それでも煮物にも男爵系を使います。
ちなみに、品種でいちばん好きなのは「キタアカリ」です。
■美肌の人参とコツ
◇人参の美肌効果
ここでは、人参についてもう少し詳しくご紹介します。
薬膳において人参は「平・甘」で、身体を温めて血を補うとされています。
血を補うことは、滋養効果があることに繋がります。
血を補うことで、女性に多い冷え性や貧血の改善も望めます。
別の言い方をすれば、血を補うことで肌の色艶がよくなります。
貧血を改善し、肌艶がよくなる。イイコト尽くめです。
さらに、薬膳とは少し離れますが、人参の食物繊維も見逃せません。
食物繊維は便秘予防に効果的。
便秘も女性に多い悩みのひとつです。腸がスッキリしたら嬉しいですよね。
この腸がスッキリした状態も肌には大いにプラスです。
なにより、人参は鮮やかな色合いが素敵ですよね。視覚的にも元気をもらえる野菜です。
◇人参を使うときは「2割」がポイント
人参は、色も味も強い野菜です。とくに色は先ほど書いたように鮮やかで、料理に混ぜても存在感抜群です。
そこで、人参を入れる際には、他の材料より2割小さくカットするか、2割少なくするかしてください。
小さくても、少なくても、人参は不思議と他の材料に負けずに自己主張してくるので、心配いりません。
逆に、同じ大きさで他の野菜と同量入れると、「人参が多いよね??」と思わせる一皿になってしまいます。
わたしの感覚でいうと、2割が妥当なラインですが、ご自身の感覚で微調整していただいて構いません。
■血液サラサラの玉ねぎ
◇玉ねぎで血も気もめぐる
玉ねぎは薬膳的には「平・甘辛」に分類されます。
「辛」は身体を温める性質があります。身体を温めるのと同時に、牛肉や人参で血を補えば無敵状態。
身体が温まると、血流もよくなります。一般に「血液サラサラ」といった言葉で表現されますが、薬膳的視点からいっても同じです。
玉ねぎは、気のめぐりをよくする働きもあると、薬膳では考えます。
気がしっかりめぐると、気力をもたらすとされます。
身体も元気で、気持ちも充実。とてもよい状態ですね。
さらに消化を促進して、大腸のはたらきをスムーズにするはたらきも。
イイコト尽くめです。
◇玉ねぎは切り方が決め手
玉ねぎは繊維の向きに沿って切るか、繊維を断って切るかによって、食感や火のとおり具合も大きく変わります。
そもそも玉ねぎの繊維とはなにか、ということから説明しましょう。
野菜にはすべて繊維があります。
よく見てみてください。たいてい野菜の上下に線が入っています。これが、繊維です。
この繊維を残すと、加熱しても野菜の形は残りやすくなります。煮ても玉ねぎの存在を感じる仕上がりになります。
逆に繊維を断って切ると、早く火が通ってくったりします。煮崩れしやすくもなります。
生で食べる場合、繊維に沿って切ったほうが辛みを感じません。辛みを感じる原因は硫化アリルという成分です。
硫化アリルは水溶性なので、水にさらすことで溶けだしてしまいます。玉ねぎを水にさらすのには理由があるのです。
■肉じゃがは薬膳的視点からも 美容と健康にプラスの料理です
ここまで、肉じゃがを薬膳の視点からみてきました。
きれいと元気のもとがたくさん含まれていると、感じていただけたのではないかと思います。
疲れた顔にさよならしたいとき、肌を明るく健康的に見せたいときにこそ、肉じゃがを食べていただけたらと思います。
そうそう、冒頭の「肉じゃがは彼女に作ってほしい料理か否か」は、情報をお待ちしています。知りたいなぁ。