やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
今日のテーマはサツマイモです。
Contents
■サツマイモは貴重な救荒食
まずは、「救荒食」について説明しましょう。
救荒食とは、飢饉の際に人々を救う食べ物、という意味です。
今でこそ、日本では飢饉を実感することは少なくなりました。「お腹が空いた」とは感じても、「死」を感じるような飢えを体験したことのある方は少数だと思います。
もちろん、世界ではまだまだ食べ物に困る国や地域がたくさんあって、心が痛みます。
その昔、日本も同じで人々は常に飢えとの闘いを強いられていました。
いわゆる飢饉と呼ばれるもので、歴史的にも有名な飢饉はいくつかあります。
江戸時代、全国的な飢饉の際、薩摩藩(現代の鹿児島県)では犠牲者が少なかったとされています。その理由として、薩摩藩ではサツマイモを栽培し、食べていたからだと考えられました。
ほかにも温暖な気候であったことなどもあげられるとは思いますが、ほかにはない食べ物として「サツマイモ」が注目されるようになったのです。
そのため、飢饉に強い食べ物として、全国的に栽培が推奨され、広まりました。
だから、名前も「サツマの芋」で「サツマイモ」というのですね。
しかし、もともとサツマイモは中国から、琉球(現在の沖縄県)、そして薩摩藩へと持ち込まれたものです。
なので、薩摩で栽培される前は「唐芋」や「甘藷(かんしょ)」と呼ばれていました。唐は当時、中国を指しましたから、「中国の芋」という意味ですね。甘藷については文字から推測できますが、その字のとおり「甘い芋」という意味です。
サツマイモは病気に強く、いろいろな環境でタフに生き抜く力のある植物です。そのため、全国に広がり、多くの人の命を救ってきました。
ちなみに、現在でも生産量日本一なのは鹿児島県ですよ。
■サツマイモの栄養を考える
◇薬膳的視点からチェック
サツマイモは「平・甘」に分類することができます。
平とは、身体を冷やすわけでも温めるわけでもない、中庸の性質である、という意味です。そのためほとんどの体質の人にとってOKな食材です。
また、甘は胃を補うことを示しています。
胃を補うことで、消化吸収をよくし、活力をアップしてくれます。ポジティブに過ごすパワーの源になるというわけですね。
◇現代栄養学からチェック
栄養学の観点からいっても、サツマイモはとても優れています。
まず、でんぷんがたっぷりです。でんぷんは、脳をはじめとする身体のエネルギー源になりますから、とても大切です。
そしてビタミンCもたっぷりです。ビタミンCは風邪の予防に効果的なので、これから寒くなる時期には欠かせません。
さらに、ビタミンCは一般的に美白効果があるともされています。女性には嬉しいポイントですね。
まだまだ、あります。
食物繊維についても忘れてはいけません。サツマイモは食物繊維が豊富で、整腸作用があります。おなかスッキリは、きれいに不可欠。便秘に悩まれている方はぜひ積極的にとりましょう。
いかがでしょうか。
サツマイモの魅力を感じていただけましたか?
■サツマイモは寒さが苦手?
サツマイモは、暑さには強いのですが、寒さにはとても弱い野菜です。
収穫後もその性質は変わりません。
多くの方が野菜を冷蔵庫(野菜室)に入れて保管されていると思います。ところが、サツマイモに関しては、その保存方法はNGです。
というのも、サツマイモはとても寒さに弱い野菜だからです。
冷蔵庫の温度は、サツマイモには寒すぎてしまい、味が著しく落ちてしまうのです。
そこで、おすすめなのが、常温保存。
しかし乾燥もさけたいので、新聞紙などにくるんで冷暗所においておきましょう。
サツマイモは比較的日持ちする野菜ですが、それでも2週間程度を目安に食べきりましょう。
■美味しいサツマイモの見分け方
どうせなら、美味しいサツマイモを食べたい! ですよね?
ここからは、美味しいサツマイモの見分け方についてご紹介します。
美味しいサツマイモの条件をあげてみますと…
- 適度に太い(太すぎるのは避けてください)
- 重量感がある
- 色が濃い
- ひげ根がない!
とくに4のひげ根は避けましょう。
ひげ根があることで、サツマイモの栄養が根に集中してしまうのです。結果的に、肝心のサツマイモはスカスカ状態になってしまい、当然ですが味も落ちてしまうためです。
■サツマイモの品種
サツマイモは品種がとても多い野菜です。
最近では、品種名を明記して販売されていることが増えました。
どれがいい、これはダメ、ということはありません。しかし、ざっくりとした特徴を知っていると、選びやすいですよね。
そこで、大まかに味の特徴と品種について書いておきます。
あくまでも、わたしの個人的感想でもあるので、そこはご了承くださいね。
紅あずま…ホクホク。サツマイモの代表的な品種。大きい。
鳴門金時…徳島県の代表選手。ホクホク&しっとり。お菓子にもよく使われる。
安納芋…最近、とくに人気。オレンジ色で、ねっとり甘い。
紅はるか…しっとり。爽やかな甘さ。←わたしの好みはコレ。
シルクスイート…ねっとり、しっとり。とても甘い。
パープルスイートロード…紫色。甘みが少ない紫芋のなかでは甘みがあるほう。スイートポテトなど、加工向き。
いかがでしたか?
サツマイモの魅力を感じて頂けたでしょうか。ぜひ、美味しいサツマイモを選び、召し上がってくださいね。
ただし、サツマイモはカロリーが高いので、食べすぎには注意してくださいね。