やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
今日のテーマは「サンマ」です。
■秋の味覚といえば?
「食欲の秋」という言葉がありますが、皆さんは秋に美味しい食べ物として何を思い浮かべますか?
栗? ブドウ? 柿? 梨??
サンマはどうでしょうか? 「秋刀魚」と書くだけあって、サンマはまさに秋に美味しい魚のひとつ。
毎年のように漁獲量についてニュース等で取り上げられますから、「そうそう、サンマも秋だよね」と納得される方も多いのではないでしょうか。
サンマの旬は8月末頃から12月と比較的長めです。
ただし、もっとも脂がのっていて刺身でも美味しくいただけるのは、9~10月。まさに今です!
食べたくなりましたか?
■サンマの栄養を知る
◇薬膳でサンマはどう見る?
サンマを薬膳で分類すると、「平・甘」に分類されます。
これは、胃腸の活動を補い(活発にし、とも言えます)、食欲不振を改善することに繋がる、と言い換えることができます。
また、血のめぐりを改善する役割があることでも知られています。
薬膳では、血のめぐりが悪いことを「瘀血(おけつ)」と呼びますが、この瘀血の状態が続くと、肩こりや頭痛、しもやけといった症状に現れます。
サンマには、血のめぐりをよくする力があるので、肩こりや頭痛(血の巡りの悪さが原因の場合に限ります)、しもやけを防いだり改善したりする効果を期待できます。
肩こりに悩まれている女性は多いので(わたし自身もそうです!)、秋の味覚のサンマをしっかり食べたいものですね。
また、血のめぐりをよくすることは、貧血改善にもプラスです。さらに、顔のくすみやクマにもプラスに働きます。
これをまとめて「美肌効果あり!」と言っても、決して過言ではありません。
さらに、気力を充実させることでも知られています。気力とは、「生きる力」「ポジティブに過ごす気持ち」というように解釈できます。
つまり、ポジティブに元気に過ごす力を充実させてくれるのが、サンマの力です。
イイコト尽くめだと思われませんか?
◇現代栄養学では?
サンマは、青魚です。青背の魚、とも呼びます。他には、鯵や鯖などが青魚の仲間として知られています。
「大衆魚」ばかりですね。つまり、わたしたち日本人が古くから食べてきた魚に青魚はとても多いのです。
この青魚の栄養として、もっとも有名なものが「DHA」と「EPA」だと思います。
DHAとは、ドコサヘキサエン酸。EPAとはエイコサペンタエン酸です。
これらは、脳細胞を活性化することでも知られています。よく、「魚を食べると頭がよくなる」とコマーシャル等で言っていますが、これはDHAやEPAが脳細胞にプラスになることを、わかりやすい表現にしているのだと思われます。
ちなみに、DHAは子供が摂取するとより有効で、EPAは大人が摂取するとより有効であることも証明されています。
脳によいことに加え、血管を拡張して血流をよくする効果でも知られています。
いわゆる「血液サラサラ」という言葉で表現されることの多い効果ですね。
この「血管を拡張して血流がよくする」という言葉、先ほど薬膳的視点で見た「血のめぐりをよくする」と同じことを指していることに気づかれる方も多いのではないでしょうか。
実は、薬膳と栄養学は分断して考えられることが少なくないと思うのですが、その境はとてもあいまいです。あ、あくまでもわたし個人の意見ですよ。
境があるようでなく、とても流動的。
だから、実は「薬膳では」とか「現代栄養学では」という分離は必要ないのではないと考えています。ただ、便宜上使うだけで。
話が少しそれてしまいましたが、栄養学の話に戻しましょう。
サンマは鉄分やビタミンB12もたくさん含まれています。これらは貧血に効果がある栄養素です。
ビタミンAもたくさん含まれています。ビタミンAは、皮膚や粘膜をうるおす栄養素です。
皮膚をうるおす…お肌ぷるぷる!
粘膜をうるおす…風邪の予防に効果あり!
どうでしょう? サンマってすごいと思いませんか?
■サンマといえば…?
ここまでサンマについて熱く語ってしまいましたが、野菜は登場していません。
ここから、登場しますよ、ご安心ください。
サンマを焼いたら、皆さんはなにが欲しくなりますか?
そう、大根おろしとスダチやカボスなどの柑橘類です。
この、「サンマ&大根&柑橘」の組み合わせは、薬膳的に実にすばらしいトリオです。
大根おろしと柑橘類は、食中毒を防ぐはたらきがあります。
サンマを消化するのに、多少なりとも身体には負担がかかりますが、それを軽減してくれる役割をはたします。
さらに、サンマの甘、大根の辛、柑橘の酸、塩(サンマにふる塩)の鹹と、五味五性のほとんどがバランスよく含まれています。
バランスが整っている点で、とても素晴らしい組み合わせです。
■美味しいサンマの見分け方
美味しいサンマの見分け方についてもご紹介しましょう。
どうせなら、美味しく鮮度のよいサンマを選びたいですものね。
口の先端が黄色っぽいもの、肩から背にかけて厚みのあるもの、背中の模様がハッキリしているもの。
これらの条件が見られるものが、鮮度のよい美味しいサンマです。
なお、サンマのわた(内臓)は鮮度がよければ食べられます。
実はサンマは、餌を食べてから消化するまでがとても短い魚です。排泄物がほとんど体内に残っていないので、臭みが少なく、独特の苦みを楽しめます。苦手な方もいると思いますが、鮮度のよいサンマが手に入ったら、ぜひ召し上がってみてくださいね。