やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
今日のテーマは「ひじき」です。
■ひじきの旬はいつ?
そもそも「ひじき」とは何か、というところから始めましょう。
ひじきは、海藻です。
北海道より南の海で採れる海藻で、その歴史はとても古くまでさかのぼることができます。実は、縄文時代の遺跡からひじきを食べていたことが推測されるのです。そのくらい、日本人の食生活に深いかかわりのある海藻です。
日本の大地には、もともとカルシウム分がとても少ないことで知られています。米などの農作物だけでは、なかなか必要なカルシウムをとれません。
そこで、古代の人々は自然と海藻類を食べるようになったのではないか、と言われています。
なかでもひじきは、海岸近くに生息しているので、容易に手に入れることができたので自然と食べられるようになったと考えられています。
カルシウム云々…という話をおそらく縄文時代の人たちは知らなかったに違いありません。何度も繰り返して書いてしまいますが、先人の知恵には本当に頭が下がります。
ひじきの旬は2~3月です。
このころになると、魚屋さんの店頭には「生のひじき」が並びます。地域によっては、9~10月頃にも入手することができますよ。ちなみに、福岡は10月も入手可能です。うれしい!
ただ、ひじきは皆さんもご存知のように乾物が出回っていますから、基本的に年間を通じて入手することができます。
「戻すのが面倒」「戻し方がよくわからない」と、乾物を敬遠される方もいるようです。実際に、レッスンでひじきを扱うと、そういった声をよく聞きます。
でも、実は乾物を戻すのって、そう難しくありません。次のパラグラフで取り上げましょう。
■乾物のひじき戻し方
ひじきの戻し方は、実はとても簡単です。必要なのは水と時間。これだけです。
まず、ざっと洗います。
その後、ボウルにたっぷりの水に浸して約20分放置。
ひじきが全体にふっくらしたら調理開始です。
ただ、ひじきには「芽ひじき」と「長ひじき」と呼ばれる2種類があります。芽ひじきのほうが小さく、そして細いです。長ひじきは、太く長いです。
芽ひじきは20分かからずに戻ることもありますが、長ひじきの場合は20分を目安にしてください。
2種類のひじきの使いわけですが、そう難しいことではありません。
単に好みで構いません!
小さいお子さんや年配の方が召し上がる料理なら芽ひじきのほうがおすすめです。
■ひじきは身体にどういいの?
ここからはひじきの気になる栄養について取り上げます。
「海藻だし、なんとなく身体にいいよね」と思われている方も多いと思いますが、そのパワーをちゃんと知って食べるのと、知らないまま食べるのとでは効果が変わってきますよ。
と、これはあくまでもわたし個人の考えですが。
◇薬膳でチェック
ひじきを薬膳で分類すると「寒・鹹」に分けられます。
人によっては「寒・苦鹹」と分けることもあります。
寒の性質があるので、解熱効果を期待できます。身体に熱がこもっているときなどには、ぜひ積極的に食べてください。
ただし、冷え性の方が食べる場合、辛や温という性質の食べ物と組み合わせるようにしましょう。
とくに女性の場合、冷えすぎはマイナスです。気をつけてくださいね。
さて、鹹についてです。鹹は「かん」と発音します。
これは海藻や貝など、海に関係する食べ物に多くみられる五味のひとつです。
腎臓や膀胱や骨髄、耳といった器官を補います。
鹹の食べ物は、かたいものをやわらかくしたり、排泄を促したりする力があります。
ひじき、すごい!
◇現代栄養学でチェック
ひじきは、カルシウムがとても豊富な海藻のひとつです。
冒頭で日本の大地にはカルシムが少ないので、海藻で補ってきた、という話を書きました。なかでもひじきはカルシウム含有量がトップクラスです。
カルシウムは骨をじょうぶにすることでも知られていますが、イライラの軽減にも役立ちます。不眠にも効果があるとされます。
スムーズな睡眠は身体を休めて、不安感を取り除くことも期待できます。
忙しくてバタバタ。睡眠不足も重なって、些細なことでイライラ…。
これは、特別なことではありません。女性ならず、男性でも起こり得ます。
ひじきで忙しさを軽減できるわけではありませんが、イライラを抑えるのに少しだけプラスの力をもらえます。それなら、食べてみようかな、と思われませんか?
さらに、もうひとつ。
ひじきは鉄分が含まれています。
鉄分は血液と深い繋がりがあります。鉄分は血を補います。
これによって貧血の予防や改善を期待できます。
そして、血液循環がよくなることは皮膚にも髪にもプラスです。血色のよい、うるおいのある皮膚は健康的で、そして美しく見えますね。これ、ひじきのもつ力で実現できそうです。髪も同様で、パサパサの髪から脱却できたらうれしいですね。
ひじき、召し上がりたくなったのではないでしょうか?
■ひじきはどう食べたらいい?
ひじきは、一般に煮物にすることが多いように感じます。
実際、大豆や人参などの野菜と煮ることは、栄養の面から見てもとてもよい組み合わせです。
実は、ひじきの鉄分は消化吸収されにくいことでも知られています。鉄分をスムーズに体内に摂り入れるには、タンパク質やビタミンCが必要です。
大豆や油揚げのタンパク質、ニンジンのビタミンCなどはとても有効なのです。
また、ひじきは煮るだけではありません。
ベーコン(タンパク質)やピーマン(ビタミンC)と炒めてもいいですよ。
ベジ楽で人気のひじきメニューは、佃煮です。ちりめんじゃこと一緒に炒め煮にするだけです。おすすめですよ。