やさい薬膳料理教室「ベジ楽」の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
今日のテーマは「風邪予防」です。
Contents
■風邪を中医学ではどうとらえる?
中医学とは、中国やアジア諸国(まあ、おもに中国ですが)で昔から伝わる伝統医学です。
昔から信じられている医療の考え方、しかも中国メイン、と考えていただいて構いません。
わたし自身は、中医学の熱烈な信奉者ではありません。
というと、中医学をもとに考えている薬膳を無視しているかのようですが、そうではありません。中医学も、薬膳も「自分にとって美味しいトコどり」をしている、ということです。
言い換えれば、全部を丸のみしていないということです。ただ、共感できるものに関しては肯定的に取り入れるようにしています、ということです。
だから、「ゆるベジらく膳」をうたっている、ベジ楽の料理は薬膳の要素を盛り込んではいますが、必ずしもイコールではありません。
皆さんにも、ベジ楽の料理や考え方をぜひ「美味しいトコどり」していただけたらな、と思います。
話がそれてしまいました。戻しましょう。
さて、風邪です。
風邪を薬膳では「風によって運ばれて来た邪気が体内に入り込んで起きる不調」というように考えます。
それも、季節によって邪気の性質が異なる、と考えられています。
春=風邪
梅雨=湿邪
夏=暑邪・火邪
秋=燥邪
冬=寒邪
いずれも気が不足すると邪気が体内に入りやすくなり、風邪をひく、と言われています。
ただ、「気」という言葉に非科学的な雰囲気を感じる方もいるかもしれませんね。そういう方は、ぜひとも軽く流していただいて…(笑)。
邪気は、弱っている人間の肩や首から入り込む、と言われています。ここでいう「弱っている状態」とは、体力が落ちていたり、疲れていたり、睡眠不足だったり…要するに「不調(薬膳では未病といいます)」の状態を意味します。
風邪のひき始めに、肩や首がゾクゾクする感じです。あれを中医学では邪気が入り込んだ、と考えるわけです。
さて、秋の「燥邪(そうじゃ)」ですが、これは寒気と共にやってくると考えられています。ちょうど秋風が吹いてくる季節ですね。
現代風に言うと、秋から冬にかけて空気が乾燥することも風邪の原因です。
風邪の原因とされるウィルスは、乾燥した状態を好みます。つまり、空気が乾燥する秋から冬にかけてはウィルスが活発に動き、風邪をひきやすくさせるのです。
■乾燥は風邪の原因です
空気が乾燥する時期に風邪の原因となるウィルスが活発になることは、先ほど書いたとおりです。
人間もまた、秋から冬にかけては乾燥しやすくなります。
とくに鼻やのどがポイントです。
空気の乾燥と共に、外気が入りこむ鼻やのども乾燥します。
鼻やのどは、健康であればうるおいがあり、ウィルスの侵入を防ぎます。しかし、乾燥していると、ウィルスをシャットアウトできずにとりこんでしまいます。
これが、一般に風邪の原因と言われるものです。
ウィルスが体内入り込んだとしても、その症状はさまざまです。体調の良し悪しによっても異なります。
鼻水、咳、発熱、腹痛…。どのような症状が現れてもつらいことにはかわりません。
ただし、インフルエンザと風邪は別物として考えてくださいね。
■風邪予防の考え方と食べ物
◇秋冬の風邪にはどうしたらいい?
風邪をひかないようにするにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょう。
とくに今頃の風は「燥邪」によるものなので、もっとも大切なのは温めること。
そして、発熱している場合(発熱しそうな場合)には冷やすことも大切です。
◇どんな食べ物を選べばよい?
温めるのに効果が高いのは「辛」や「温」の性質のあるものがぴったりです。
ショウガ、ニンニク、大根、ネギ…このあたりが風邪で冷えてしまった身体にはプラスです。
これらをおかゆやスープにプラスすると食べやすく、身体をポカポカにしてくれますよ。
ただし、「辛」のものは多用しすぎは禁物です。刺激が強すぎてしまうので、食べて心地よい程度に留めましょう。また、お腹をくだしているような場合は控えてくださいね。
さらに発熱している場合は、解熱効果のある野菜がおすすめです。
具体的には、白菜、ネギ、大根がこれにあたります。
また、熱があるときには、ビタミンCが体内で不足しがちです。食欲がないときに無理をする必要はありませんが、果物や野菜に含まれるビタミンCを意識して摂るようにしてください。
■つらいくしゃみや鼻水には?
くしゃみや鼻水だけのときは皆さん、どうされていますか?
熱はない、仕事や学校を休むほどではないけれど、とにかくつらい。このような感じではないでしょうか。
しんどいですよね、くしゃみも鼻水も。
薬膳では、くしゃみや鼻水が出るときには「水のめぐりが悪くなり、体内に余分な水分が滞っている状態」だと考えます。
そのようなときは意識して身体の水をスムーズにめぐるようにしましょう。
わかめ、黒豆、ハト麦などがおすすめです。
■体質で風邪もいろいろ?
風邪の諸症状は人によってさまざまです。
ただ、体質によって、現れる症状には傾向があると言われています。あくまでも薬膳では、ですよ。
まず、高熱が出て症状が比較的重い方。
実は、このタイプの方はもともと丈夫で、身体の抵抗力もしっかりあることが多いです。症状が重くなるのは、身体が必至に抵抗しているからだと考えられます。そのため、風邪をひいても短時間で回復がみられます。
反対に、熱はさほど出ないけれど、咳や鼻水などが続く方の場合です。
実は、抵抗力が弱く、風邪が長引く傾向があるとされています。そのため、体力や気力を補いつつ、しっかり養生する時間が必要になります。
■それでも風邪をひいてしまったら?
気をつけていても、風邪をひいてしまうこともあります。
わたしも、あります。ちなみに少し前がダウン状態でした(お恥ずかしいのですが)。
そのようなときにはどうするか。
実は、薬膳ではそういったことまでは指導できません。ひかないように、不調の状態からバランスをとってより良い状態に導くのが薬膳の考えです。未病から健康に戻す、と言い換えても構いません。
そのため、ひいてしまったら言えることは、ひとつだけ。
しっかりお休みください。
そして、病院での診察を受けましょう。
一見、とても無責任のようですが、責任をもって発言するならこういうことになってしまいます。
ただ、日ごろから食養生で労わっておけば、未病の状態になってもダウンせずに回復しやすくなりますよ、とはいえます。
わたしも風邪をひいたばかり。皆さんはいかがですか?
寒さや乾燥が気になる時季です。パクパク食べて、しっかりご自身を労わってくださいね。