日本で唯一の「ゆるベジらく膳料理教室」【ベジ楽】の林かよこです。
福岡・姪の浜で今日も「ゆるベジらく膳」を楽しんでいます。
冬に美味しい大根です。
しみしみに煮た大根はお好きですか?
おでんも、ふろふき大根も、わたしはゴロンゴロンに切って食べるのが大好きです。
今も、思い出すだけヨダレがじゅるじゅるです。
白菜と並んで冬を代表する野菜のひとう、大根を今日は取り上げてみます。
■大根を薬膳でみるとどうなる?
大根は薬膳で分類すると「涼・辛」。人によっては「涼」を「寒」に分類することもあります。
涼にしろ、寒にしろ、身体を冷やす効果があります。
身体にほてりを感じたり、熱っぽいときなどには有効だと考えていいでしょう。一方、冷え性の人は「え? ますます冷えちゃうの?」と心配になってしまったかもしれません。
確かに、大根は冷えを促進する野菜のひとつです。
そのため、冷え性の方に「そのままガンガン食べてください」とはなかなか言いにくい…。ただ、冷えを心配するあまり、旬を迎えた大根を我慢するのはモッタイナイです!
そこで、ご提案したいのが、「冷えないひと工夫」です。
大根に限らず「野菜の冷え」の性質は、加熱することでぐっと弱まります。
大根の場合、生でサラダやおろして食べるより、煮るなど加熱して「涼」の性質を弱めてみましょう。
さらに、組み合わせにも注目です!
大根の涼を弱めるために、「温」や「熱」に分類される食材と組み合わせるのです。
おすすめしたいのは、柚子の皮と味噌。
柚子の皮は温。味噌も温に分類されます。
つまり、どちらも身体を温める性質があるので、大根がもつ涼の性質と相殺し合ってフラットな状態になる、というわけ。
このフラットな状態を薬膳では「中庸」と呼ぶこともあります。食べ物によって身体のバランスをとって中庸な状態にしていくことを目指しているとも言えます。
さて、話を戻して、「大根・柚子・味噌」の組み合わせで何か思い浮かぶものはありませんか?
そうそう、ふろふき大根です。肉味噌もいいのですが、柚子味噌もおすすめですよ。
むしろ薬膳だけの視点でいうなら、柚子味噌がおすすめです。
さて、もうひとつの大根の性質「辛」についてです
辛は血行を促し、発汗作用もあります。
この発汗作用は意外とクセモノで、扱いや取り入れ方に注意が必要です。
少しとるなら「汗をかく=身体を温める」と考えてもよいのですが、「大量に汗をかく=熱を奪う」となります。
熱い国で汗をかく料理が好まれることからも、大量の汗は熱を奪うのだとイメージしやすいかもしれません。
なにごともホドホドを目指している「ゆるベジらく膳料理」ですから、ここでもホドホドに。大量の食べすぎはNGです。
それにしても、涼と辛って一見矛盾しているようですね。
しかしながら、複数の性質を持っているということは、それだけ多くの方の体質に合わせやすいということだと、わたしは考えています。あくまでも、わたし個人の考えですけれども。
1月のレッスンでは大根と柚子の組み合わせで逸品作る予定です。
写真でいうと、右下の赤紫色のもの(これ、大根です)です。お楽しみに!
■大根は食べる胃腸薬?
大根の栄養で、注目されるのが「ジアスターゼ」と呼ばれるものです。
これは消化酵素の一種で、文字どおり消化を促してお腹をスッキリさせてくれる力があります。
もう少し詳しくご紹介すると、ジアスターゼは主にでんぷんの分解を促進して胃がもたれたときの不快感を軽減してくれると言われています。
ただ、ジアスターゼは熱に弱いという側面も。
胃腸のスッキリ感を重視するなら生のまま食べたほうがよさそうです。
身体を冷やさないためには加熱が大切で、胃腸スッキリを狙うなら生食で。
このあたりは自分の身体と相談しながら選択できたらいいのではないかと思います。先ほど書いたように、バランスが大切なのではないかな、と。
たとえば…
今日は胃がもたれているから、大根を生で食べよう。でも、冷えも気になるから、その分ショウガ(温)を効かせた紅茶(温)を飲んで温まろう、など。
ほかにも、いろいろな方法がありますが、1食でバランスがとれない場合は、3食で。それでもバランスがとれてないと感じる場合は1週間単位で考えてみてください。
「ゆるベジらく膳料理」では無理をしない、も大切なコンセプトです。
■大根役者の由来
皆さんは「大根役者」という言葉を聞いたことがありますか?
そう、演技の下手くそな役者さんを揶揄するような場面で使う言葉です。
この大根役者という言葉が、これまでご紹介してきた大根の栄養に由来した言葉だとしたら、どうでしょうか?
実は、「大根役者=あたらない役者」だと言われています。
大根は消化吸収を促す野菜なので、「あたらない」。だから、「あたらない役者=大根役者」とういわけです。
なるほど! ですね。
この「あたらない」は大根を刺身のツマにしたり、焼き魚やてんぷらに大根おろしを添えたりする場面でも見受けられます。
スムーズに消化して「あたらない」。
消化酵素という言葉も知らない先人たちは、感覚的に大根の良さを知っていたのでしょう。毎回書くようですが、本当に先人の知恵には頭が下がる思いです。
と、今日はここまで。
明日は美味しい大根の見分け方と、ベジ楽的簡単大根料理をお伝えします。